第2688回 再開のスケジュールを発表(5) 新チャネルで放映されるフランスリーグ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■これまではカナルプリュスとビーインスポーツが中継してきたフランス1部リーグ

 前回の本連載では新シーズンから1部はウーバーイーツ、2部はBKTがタイトルスポンサーとなってリーグ戦を支えていくことを紹介した。
 今回はリーグ戦を収益面で支え、そして多くのファンが試合を観戦することができるテレビ放映について大きな動きがあったことを紹介したい。
 20チームから形成されるフランスリーグの1部の試合は週に10試合ある。これまでは最終節などを除くと10試合のうちいくつかの試合が異なるキックオフの時間で行われてきた。この理由はチームやスタジアムのスケジュールに起因するよりも、むしろテレビ中継のスケジュールによるところが大きい。昨季まではカナルプリュスとビーインスポーツで放映されてきた。

■サッカー中継を支えてきたカナルプリュスとビーインスポーツ

 カナルプリュスは1984年に開局した契約型の有料放送局である。スポーツ、映画、音楽などの各種エンターテインメントの放映に力を入れているだけではなく、映画製作にも参画し、本連載の読者の方も映画のエンドロールでCanal + のロゴをご覧になった経験は少なくないであろう。もともとは水道会社であったジェネラル・デ・ゾーがその所有するインフラストラクチャーを利活用してメディアや通信業に参画するビバンディという大企業となった。その後、インフラ業である水道事業を分離し、メディアと電気通信業に専念している。
 ビーイン(BeIN)は数多くのサッカーチームのユニフォームに広告を出しており、認知度は高いであろう。カタールにあるスポーツ専門チャネルである。もともとはアルジャジーラスポーツチャネルであり、現在はスポーツ番組を放映するだけではなく、各種のスポーツイベントに出資するなど勢力を増している。
 毎週の10試合のうち、3試合をカナルプリュスが放映し、金曜日の1試合、土曜日に行われる試合の中で他の試合と違う時間に行われる1試合、日曜日に行われる試合で一番遅くキックオフされる試合を中継している。昨季の最終節となった第28節を例にとれば、3月6日の金曜日のマルセイユ-アミアン戦、7日の土曜日の17時30分キックオフのストラスブール-パリサンジェルマン戦(結果的には中止)、8日の日曜日の21時からのリール-リヨン戦がカナルプリュスで中継、それ以外の7日の20時キックオフの5試合、8日の15時からと17時からキックオフの試合はビーインスポーツでの中継となった。もちろんシーズンの終盤は10試合全部が同じ時間にキックオフされ、このフォーメーションは崩れることになる。

■メディアプロ社が設立した新チャネルのテレフット

 来季からは新たなテレビ放映の契約となり、10試合中2試合はカナルプリュスが放映するが、8試合がテレフットという新たなスポーツチャネルで放映される。テレフットというとサッカー番組の草分けとして1977年にTF1で始まった人気番組である。この番組をステップとして人気アナウンサーになったケースも少なくない。
 ところが、スペインの巨大メディア会社のメディアプロがテレフットという放送局を設立し、このテレフットがほとんどの試合を放映することとなった。メディアプロはこれまでもスペインリーグ、イタリアリーグを放映してきたが、このたび中国で合弁会社を設立するなど勢力を伸ばしており、今回のフランスリーグの放映につながった次第である。

■テレフットの参入で大幅に変わる週末の試合のキックオフ時間

 40年以上テレフットという番組に慣れ親しんだフランスのファンからは反発もあったが、メディアプロ社はテレフットを中継しているTF1とパートナー契約を結び、現在のMCであるグレゴワール・マルゴットン、解説者である元フランス代表のビシャンテ・リザラズを番組の中で起用する。
 来季の週末のリーグ戦はテレビ中継を意識したスケジュールとなり、キックオフ時間は金曜日の21時に1試合、土曜日の17時に1試合、21時に1試合、日曜日の13時に1試合、15時に4試合、17時に1試合、21時に1試合となり、これまでと大きく異なる。カナルプリュスは土曜日と日曜日の21時の試合を中継し、それ以外はテレフットでの中継となるのである。(この項、終わり)

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