第2766回 秋の王者はリヨン(1) パリサンジェルマン、9年ぶりにマルセイユに敗れる

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季の秋の王者はリヨン

 第2760回の本連載で新型コロナウイルスの感染拡大によってフランス国内のサッカーカレンダーも変更されたことを紹介した。例年であれば年末に前半戦が終わるが、今年は前半戦2試合を残して年が変わるスケジュールになっている。前半戦首位のチームを「秋の王者」となるが、今年の秋の王者は1月9日に決定、リヨンがその座についた。今回からリーグ戦の前半戦を振り返ってみよう。

■チャンピオンズリーグ、新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れたチーム

 今季のリーグ戦は8月21日のボルドー-ナント戦で開幕した。まだ、前年度のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントが行われている時期であり、パリサンジェルマン-メッス戦とモンペリエ-リヨン戦は延期された。またマルセイユには多数の新型コロナウイルスの感染者がいたため、マルセイユ-サンテチエンヌ戦も延期された。これら有力チーム不在であったが、大幅に制限を設けながらも観客を入れて開幕した。

■パリサンジェルマンの連勝を止めたマルセイユ

 序盤戦の最大の驚きは9月13日に行われた第3節のパリサンジェルマン-マルセイユ戦である。フランスのクラシコとして両チームの戦いは国を二分する注目を集めるが、近年は大型補強を繰り返したパリサンジェルマンと経営面での混乱が続くマルセイユとのチーム力の格差が広がる。パリサンジェルマンがマルセイユに敗れたのは2011年11月のベロドロームでのリーグ戦が最後、それ以降リーグ戦およびその他のタイトルで過去20試合負けなし(17勝3分)である。
 パリサンジェルマンの今季初戦は9月10日、日程を遅らせた第2節のアウエーでのRCランス戦であった。この試合で0-1と敗れてマルセイユを本拠地に迎える。3月11日のチャンピオンズリーグのボルシア・ドルトムント(ドイツ)戦以来、半年ぶりのパルク・デ・プランスでの試合とあって3,900人のファンはお得意さんのマルセイユの来訪を心待ちにしていた。ところが、試合はマルセイユのフローリアン・トーバンがゴールを決め、マルセイユが1-0で勝利する。両チームで5人が退場処分になるという荒れた試合であったが、マルセイユがパリで勝利をあげるのは2010年2月以来という歴史的な結果になった。一方のパリサンジェルマンは変則日程とはいえ、開幕から2試合連続で完封負け、1978年以来42年ぶりの不名誉なスタートとなった。
 出足でつまずいたパリサンジェルマンであるが、3試合目の9月13日のメッス戦で勝利して、続くニース戦でも3-0と完勝し、リーグ戦では連勝を続け、10月下旬の第8節でリーグ首位に立ち、首位に立った後も連勝記録を8まで伸ばした。ところが11月20日にモナコに敗れてからはなかなか勝ち点を大きく上積みすることができなくなる。12月13日にパルク・デ・プランスで行われた第14節のリヨン戦で0-1と敗れ、首位から陥落してしまう。

■パリサンジェルマンを抜いて首位に立ったリール

 ここでパリサンジェルマンに代わって首位に立ったのがリールである。リールのヨーロッパリーグでの活躍については前回までの本連載で紹介した通りであるが、とにかくめけないチームであった。ヨーロッパリーグのグループリーグではすでに決勝トーナメント進出を確保した後の最終節でセルチック・グラスゴーに敗れたのが唯一の敗戦であったが、開幕戦のレンヌ戦で引き分けスタートしたリーグ戦でも負けがなく、第10節のブレスト戦で敗れるまで開幕から9戦連続負けなしであった。第7節のRCランス戦で4-0と大勝して、レンヌに代わって首位に立つ。第8節ではニースと引き分け、パリサンジェルマンにトップの座を奪われたが、負けないチームは着実に勝ち点を積み上げ、首位パリサンジェルマンを追走する。
 ヨーロッパリーグのグループリーグが終了した3日後の12月13日に行われた第14節でボルドーと対戦、この試合に勝利して、同日の遅い時間にリヨンに敗れたパリサンジェルマンを抜いて2度目の首位に立ったのである。(続く)

このページのTOPへ