第2874回 2021-22シーズン開幕(7) パリサンジェルマン、2部から復帰のトロワを下す

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■昨季4位のリヨンはブレストと引き分け

 シーズン開幕戦について紹介してきたが、今回は最も注目を集めているパリサンジェルマンがテーマである。すでに本連載第2869回で紹介した通り、選手を補強し、シーズン開幕後にリオネル・メッシを獲得した。現在、欧州で最も注目を集めるクラブであることは間違いなく、新・銀河系集団ともいわれている。
 そのパリサンジェルマンはシーズン開幕直前のチャンピオンズトロフィーでは、フルメンバーではなかったこともあり、リールに敗れている。パリサンジェルマンの開幕戦は土曜日の8月7日である。この日は17時からリヨン-ブレスト戦が行われた。昨季4位のリヨンは本拠地グルーパマ競技場に2万9000人の観衆を集めてキックオフ、前半終了間際にブレストに先制を許したが、後半に入ってイスラム・スリマニのゴールで追いつき、引き分けている。なお、リヨンのブルーノ・ギマラエスは東京オリンピックで優勝したブラジル代表のメンバーであり、この試合には出場していないが、フランスリーグ唯一の金メダリストとして次週以降に注目が集まるであろう。

■3年ぶりに1部に復帰、今度は定着したいトロワ

 前日のモナコ-ナント戦に続いてこの試合も引き分けに終わり、各チームが勝ち点1ずつ獲得したところで21時からトロワ-パリサンジェルマン戦がキックオフされる。トロワは昨季2部で優勝し、3年ぶりに1部に復帰してきた。古豪トロワであるが、最近は2部が定位置、1部に復帰しても過去3回は1シーズン限りで2部に降格している。トロワが最後に1部に残留したのは2005-06シーズンまでさかのぼらなくてはならない。今回こそ1部定着を目指したい。相手がパリサンジェルマンとあって本拠地のオーブ競技場には1万7000人の観衆が集まる。
 注目のパリサンジェルマンの先発メンバーであるが、今季新加入のメンバーで先発に名を連ねたのは右サイドの2人、アクラフ・ハキムとジョルジニオ・ワイナルドゥムだけである。セルヒオ・ラモス、ジャンルイジ・ドンナルンマはベンチにも入っていない。そしてパリサンジェルマンの攻撃陣であるが、キリアン・ムバッペとマウロ・イカルディの2トップである。

■トロワ、苦手のパリサンジェルマン相手に先制点

 トロワはパリサンジェルマンとの相性は悪く、2001年に勝利したのを最後に20年間勝ったことがない。しかし、先制点を決めたのはトロワであった。9分にCKからウアリッド・エルハジャムがヘディングで先制、1部復帰初戦で大金星を挙げるかとファンは興奮した。トロワは押されながらも少ないチャンスをものにしてシュートまで結びつける。シーズン開幕前は1部勢相手に親善試合で勝利できず、ファンも心配していたが、この先制点で心配は期待に変わった。

■激戦区のGK、ケイロル・ナバスが好プレーを連発

 ところがパリサンジェルマンは19分にハキミがボレーシュートで同点に追いつく。今季のチームの初ゴールはDFの選手がマークしたが、ハキミは昨季もインテルミラノ(イタリア)で7得点を決めており、これは欧州五大リーグのDFとしては2番目に多い数字である。その2分後にはイカルディがムバッペのパスを受けて逆転ゴールを決める。常に5点差で勝つことを目標とするパリサンジェルマンのマウリシオ・ポチェッティーノ監督であるが、ここから得点を重ねることができない。逆にトロワの攻撃をしばしば受けることになる。
 ここで活躍したのがGKのケイロル・ナバスである。決定的なシュートを前半に2本止める。さらに後半はアディショナルタイムに2回ピンチをしのぐ。この日のパリサンジェルマンのGKにはスペイン代表のセルヒオ・リコがベンチに控え、さらにイタリア代表で欧州選手権を制したドンナルンマが加わった。背番号1のコスタリカ代表は自身のポジションを守るアピールをし、それがチームの勝利につながった。パリサンジェルマンは開幕戦を白星で飾り、今季のフランスリーグの白星第1号となったのである。(続く)

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