第3019回 2021-22フランスリーグフィナーレ(5) サンテチエンヌが入替戦、メッスとボルドーが2部降格

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■降格争いをするメッス、サンテチエンヌ、ボルドー

 前回までの本連載では欧州カップの出場権争いについて紹介してきたが、今回はリーグ終盤戦のもう1つの関心事である2部への降格について紹介しよう。20チームからなるフランスリーグの1部から最下位の20位と19位のチームが2部へ自動降格、18位のチームが2部の3位チームとのホームアンドアウエー形式による入替戦を戦うことになる。
 前半戦を終えた時点での最下位はサンテチエンヌ、19位はロリアン、18位はメッスであった。この中からロリアンが立ち直り、一方、調子を落としてきたのがボルドーである。第37節で17位のロリアンと最下位のボルドーが直接対決した。ボルドーは敗れれば2部降格であったが、スコアレスドローとなり、首の皮一枚を残したが、最下位から脱出することができなかった。一方のロリアンは17位以上を確定し、1部残留を決めた。
 最終戦を迎える段階で2部降格の危険性があるのは3チームである。18位のメッス(勝ち点31、得失点差-29)、19位のサンテチエンヌ(31、-35)、20位のボルドー(28、-41)である。これら3チームはすでに17位以上の可能性は消え、最良でも入替戦出場の18位までしか希望は残っていない。
 これらのチームの最終戦を確認しよう。いずれも最終戦はアウエーの戦い、最下位のボルドー11位のブレストと対戦する。ボルドーが勝利し、他の2チームが敗れ、さらに得失点差で上回った時のみボルドーは18位になることができる。勝ち点31で並ぶサンテチエンヌとメッスはタフな相手とアウエーで対戦する。サンテチエンヌはフランスカップ優勝のナント、メッスはリーグ優勝のパリサンジェルマンが相手である。ナントもパリサンジェルマンも本拠地で最終戦、特別なモチベーションで臨んでくるであろう。

■パリサンジェルマンの猛攻の前に失点を重ねたメッスは19位に後退

 国内各地で10試合が一斉にキックオフされたが、4万5000人の観衆がパルク・デ・プランスに集まった。キリアン・ムバッペがレアル・マドリッド(スペイン)へ移籍するのではないかということでファンはムバッペの最後の雄姿を見るべく、パルク・デ・プランスに足を運んだが、結局、ムバッペは残留の意思表示をした。リーグ王者に挑戦するメッスは2017年のカーンの再現を狙いたい。カーンは最終戦でパリサンジェルマンとパルク・デ・プランスで対戦、この試合をスコアレスドローで乗り切って勝ち点1を獲得して降格を免れた。
 1000人のファンがメッスから訪れたが、彼らの歓声はすぐにかき消された。試合はパリサンジェルマンの一方的なペースで進み、25分にはこの試合がパリサンジェルマンでの最後の試合となるアンヘル・ディマリアのパスからムバッペが先制ゴールを決める。ディマリアはクラブ史上最多の通算112アシストとなった。しかし、この日の主役はムバッペであった。28分に追加点、後半にも1点を加え、ハットトリックを達成している。パリサンジェルマンはそれ以外にネイマールが得点をあげ、67分にはディマリアが通算92ゴール目を決めて、パリサンジェルマンが5-0と勝利した。18位のメッスは勝ち点を加えることができず、得失点差を-34としてシーズンを終了し、18位をキープすることができなかった。

■ロマン・アムマの同点ゴールで入替戦のチャンスを得たサンテチエンヌ

 メッスに代わって18位となったのがサンテチエンヌである。ナントのルドビック・ブラに先制のPKを与えたが、終盤の79分にロマン・アムマが同点ゴールを決めた。サンテチエンヌは主将のカズリがブレーキ、カズリに代わって主将を務めたアムマが期待に応え、勝ち点1を加えて18位となり、入替戦に望みを託す。

■62年ぶりに成績で2部に降格したボルドー

 そしてボルドーは最終戦でブレストに4-2で勝利した。ボルドーは4月10日以来の勝利でメッスと勝ち点31で並んだが、得失点差で離され、最下位のままシーズンを終え、2部降格が決まった。ボルドーは財政的な問題で1991年に2部に降格したことがあったが、成績で降格するのは1960年以来のことである。60年近く1部リーグで活躍し、訪日したこともあるボルドーは捲土重来を期すのである。(続く)

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