第3020回 2021-22フランスリーグフィナーレ(6) トゥールーズとACアジャクシオが1部昇格、オセールが入替戦へ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■昨季の悔しさを晴らしたトゥールーズが2部優勝し、1部復帰

 前回の本連載では1部の下位のチームについて取り上げ、19位のメッスと最下位のボルドーが2部に降格し、18位のサンテチエンヌが入替戦に臨むことを紹介した。
 一方、2部リーグの1部昇格争いであるが、日本代表のオナイウ阿道を擁するトゥールーズが序盤に首位に躍り出て、年初に一時期首位をアジャクシオに譲った以外は終始首位の座をキープする。後半戦は盤石で、4月25日の第35節のニオール戦に勝利して2位以内を確定、1部復帰を決め、最終的には2部で優勝した。トゥールーズは2020年に2部に降格し、降格初年の2020-21シーズンは3位にとどまった。このシーズンは3位チームが4位チームと対戦し、その勝者が1部の18位と入替戦を戦うという方式であった。トゥールーズは4位のグルノーブルを退け、1部18位のナントとの入替戦に臨んだが、ホームの第1戦で1-2と敗れ、アウエーの第2戦で1-0と勝利したが、アウエーゴール2倍ルールでナントが1部に残留した。前年の悔しさを晴らして1部復帰となった。

■記録的な守備成績を残した2位のACアジャクシオ

 そして2位に入ったのはACアジャクシオであった。年初に一時期首位に立ったことはあったが基本的に2位の座をキープした。しかし、終盤の2位争いは熾烈であった。4月末の第36節を終えた時点でACアジャクシオは3位のオセールに勝ち点3の差を付けていたが、第37節でオセールは勝利したものの、ACアジャクシオはグルノーブルと引き分けてしまい、2位をキープしたが、オセールとの勝ち点差は1となった。ACアジャクシオの最終戦は優勝を決めたトゥールーズとのホームでの戦いとなる。ACアジャクシオの本拠地、フランソワ・コティ競技場は満員の8500人の観衆で埋め尽くされる。ACアジャクシオは勝利すれば、2位が確定、引き分けるとオセールの試合結果次第である。ACアジャクシオは28分に得たPKをリヤド・ヌリが決めて1-0で逃げ切った。
 ACアジャクシオはシーズンを通じて失点がわずか19、そして完封勝ちが23試合という驚異的なディフェンス面での記録を残し、4回目の1部昇格となった。

■3位のオセールは1部18位のサンテチエンヌと入替戦

 そして終盤猛追したオセールは3位に食い込み、1部18位のサンテチエンヌと入替戦で対戦することとなった。第1戦は5月26日にオセール、第2戦は29日にサンテチエンヌで行われた。1部の18位が入替戦を戦うようになったのは2017年からであるが、初年の2017年こそ2部のトロワがロリアンを退けて1部に昇格したが、それ以降は新型コロナウイルスの感染拡大によって入替戦が行われなかった2020年を除いて1部勢が残留を決めている。

■1980年代から2000年代にかけて国内外で活躍したオセール

 10年間2部にくすぶっているオセールであるが、1980年代から2000年代にかけて多くの名選手を輩出し、フランスのサッカー界に衝撃を与えた。アマチュア時代の1961年から指揮を執ってきた名将ギ・ルーが育成したあまたのタレントが活躍する。リーグ優勝は1996年の1回だけであるが、このシーズンはフランスカップとの二冠を達成している。そのフランスカップでは1996年以外に1994年、2003年、2005年と4回優勝しているが、オセールにとって記念すべきフランスカップは1979年大会であろう。当時、アマチュアチームであったオセールは準々決勝でリール、準決勝でリーグチャンピオンとなるストラスブールを破り、フランスカップ史上初めてアマチュアチームとして決勝に進出した。決勝ではナントに1-4で敗れたものの、大きな衝撃を与えた。そして1980年には1部に昇格する。1980年代、1990年代と優れた育成組織から次々と輩出される選手が活躍する。
 国内タイトルよりもむしろ、欧州三大カップでの活躍が今でも鮮明に記憶に残る。いかにもイングランドの雰囲気を漂わせるアベ・デシャン競技場に欧州三大カップで数多くのビッグクラブを迎えた。1993年にはUEFAカップで準決勝進出、1995年にはカップウィナーズカップ、1997年にはチャンピオンズリーグで準々決勝に進出した。
 ところが、2012年に初昇格以来32年間守ってきた1部で最下位となり、2部に降格した。2部でも低空飛行が続き、10シーズン目の今季初めて昇格争いに加わって3位に入り、1部復帰のチャンスをつかんだのである。(続く)

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