第3299回 前半戦を終えたフランスリーグ(1) 序盤戦で波に乗れなかったパリサンジェルマン

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■18チームに減少した1部リーグ

 カタールでのワールドカップから1年、昨年は晩秋にワールドカップが開催される異例のスケジュールとなったが、今年は平常通りのスケジュールに戻り、1年の最後にリーグ戦の前半戦の最終戦が行われ、1年の最初に1部勢が登場するフランスカップが行われる。
 今季のフランスリーグの大きな変更点は1部リーグのチーム数が20から18に減少したことである。これは過密日程を解消し、選手の健康と安全を守るとともに、リーグ戦の合間に行われる欧州カップでフランス勢が好成績を残すことも考慮されている。その狙い通り、今季の欧州カップではエントリーした6チームすべてが年を越えて決勝トーナメントあるいはそのプレーオフに進出したことは前回までの本連載で紹介した通りである。

■シーズン開幕時にも有力選手の去就が決まらなかったパリサンジェルマン

 今回からは、通常スケジュールに戻ったフランスリーグの前半戦を振り返ってみよう。
 まず開幕前から話題となったのがパリサンジェルマンの新体制である。2011年にカタール資本となってから、毎年のように大型補強を繰り返してきたが、今年は逆の意味で注目を集めた。それはこれまで獲得してきたリオネル・メッシ、ネイマール、キリアン・ムバッペという3人がそろってチームを離れるかもしれないという動きであった。契約満了となるメッシは米国のマイアミへ移籍したが、ネイマールは去就が決まらないままシーズン開幕を迎え、今季終了後まで契約の残っているムバッペはシーズン終了後の移籍をめぐってクラブとムバッペが衝突、ムバッペはシーズン開幕時にはチームの活動から排除される形となった。シーズン開幕前の日本遠征では惨敗が続き、シーズン開幕直前にネイマールはサウジアラビアのアル・ヒラルへの移籍が決まった。

■2戦連続で引き分けから、RCランスとリヨンに連勝し、2位に浮上

 このように右肩上がりで戦力を増強してきたパリサンジェルマンは初めて戦力ダウンをしてシーズンに臨むことになった。ファンの心配は的中し、本連載第3239回で紹介した通り、クラブの創立記念日にパルク・デ・プランスで行われたロリアンとの開幕戦はスコアレスドローに終わった。
 パリサンジェルマンは第2節はフランスカップで優勝したトゥールーズとアウエーで対戦、この試合も75%近くのボール保持率を誇り、開幕戦ではメンバー外だったムバッペが後半途中から交代出場し、PKを決めて先制したが、終了間際にPKを決められてしまい、2試合連続のドローとなった。
 ようやくパリサンジェルマンが初勝利をあげたのは第3節で昨季リーグ2位のRCランスをパルク・デ・プランスに迎えた一戦であった。この日も圧倒的に攻めたものの、シュート数はわずかに4本、それでも新戦力のマルコ・アセンシオの初ゴール、ムバッペが2ゴール上げたところは力のあるところを見せた。第4節はここまで1分3敗と不振のリヨンにアウエーで4-1と完勝、ムバッペはハットトリックを達成した。

■ホームでニースに敗れ、首位獲りに失敗

 2勝2分として順位を2位まで順位を上げたパリサンジェルマンは第5節は翌週からチャンピオンズリーグのグループリーグが始まることもあり、金曜日の9月15日に試合が組まれた。ホームでの試合で勝利すれば、暫定首位に躍り出ることができる。この首位浮上をかけた試合でパルク・デ・プランスに乗り込んできたのがニースである。昨年は9位に終わり、欧州カップの出場権を逃したニースは開幕から3試合連続で引き分け、ようやく前節にストラスブール相手に初勝利をあげたばかりである。ニースに対してパリサンジェルマンはこの日も圧倒的にボールを支配したが、シュートに繋げられない。逆にテレム・モフィに先制点を許してしまう。ムバッペが前半のうちに同点ゴールをあげたが、前半は勝ち越すことができず、ニースは後半に入ってガエタン・ラボルドに勝ち越し点を許し、モッフィも追加点をあげる。ムバッペが1点差に迫るゴールをあげたが、2-3で敗れたパリサンジェルマンは首位獲りに失敗する。
 序盤戦のフランスリーグをリードしたチームは別にあったのである(続く)

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