第3301回 前半戦を終えたフランスリーグ(3) キリアン・ムバッペの活躍で秋の王者はパリサンジェルマン

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■チーム合流後にゴールを量産したキリアン・ムバッペ

 前回の本連載では、南野拓実が覚醒したモナコ、無敗記録を続けてきたニースが序盤戦のフランスリーグの主役となったことを紹介したが、第12節でニースをとらえ、首位に浮上したのはパリサンジェルマンであった。
 前々回の本連載でシーズン開幕前からチーム編成に苦労したパリサンジェルマンを紹介したが、このチームに生命を与えたのはキリアン・ムバッペであった。開幕戦はメンバー外であったが、第2節のトゥールーズ戦ではベンチ入りし、途中出場してPKで得点をあげる。第3節からは先発出場、RCランス、リヨン、ニースを相手に3試合連続で2得点をあげたことは特筆すべきである。ニース戦に敗れて首位浮上はならなかったが、その4日後に開幕したチャンピオンズリーグのボルシア・ドルトムント(ドイツ)戦ではムバッペが先制のPKを決めて2-0と勝利し、結局この勝利がチームをチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに導くこととなった。

■ムバッペのハットトリックで勝利し、今季初の首位に

 本連載ではチャンピオンズリーグのグループリーグについて紹介してきたが、パリサンジェルマンは2勝2分2敗でグループ2位となったが、グループリーグの段階で2敗をしたのはカタール資本になってから初めてのことである。それだけに今季のパリサンジェルマンについては不安視されているが、それでもリーグ戦では戦力の違いを見せた。チャンピオンズリーグのグループリーグ第4節のアウエーのACミラン(イタリア)戦で敗れた直後の11月11日アウエーでのスタッド・ド・ランス戦ではムバッペのハットトリックで3-0と勝利、前日に引き分けていたニースを抜いて今季初めてリーグ戦の首位に立った。

■モナコに勝利し、首位固め

 首位になったパリサンジェルマンが次にリーグ戦を戦うのは11月のインターナショナルマッチデー明けの11月24日、ほぼ2週間ぶりの試合の相手は序盤戦の主役、モナコである。この時点での上位の勝ち点を紹介すると首位パリサンジェルマンは27、2位ニースは26、3位モナコは24、すなわち、パリサンジェルマンは首位を奪われる可能性もある。今季でパリを去るであろうムバッペ、そしてムバッペの後のフランスリーグのスターの看板を引き継ぐであろう南野、首位攻防戦に加え、この2人の対決はフランス国内の注目を集めた。
 満員のパルク・デ・プランス、18分にパリサンジェルマンのゴンサロ・ラモスが先制点を決めるが、21分に南野がほぼ3か月ぶりのゴールでモナコが追いつく。39分のムバッペのPKで勝ち越したパリサンジェルマンはその後も得点を重ね、5-2と勝利、首位の座を明け渡さなかった。

■パリサンジェルマンが秋の王者、ムバッペは2位の2倍以上の18得点

 結局、パリサンジェルマンはフランスリーグの前半戦で敗れたのはニース戦のみ、17試合を終えて12勝4分1敗、勝ち点40で秋の王者となった。2位は勝ち点5差でニースが続き、3位のモナコは首位と勝ち点7差である。4位はブレストとなり、欧州カップに出場していないチームが2位から4位までを占めた。欧州カップ出場組はリールが5位、マルセイユが6位、RCランスが7位、レンヌが10位、トゥールーズ16位となっており、欧州カップの決勝トーナメントやフランスカップという日程の加わる後半戦でどこまで順位を上げるのか注目したい。
 また得点王争いでは、ムバッペが異次元の数字を記録している。前半戦だけで18得点をあげてトップである。第2節から前期最終戦の第17節まですべての試合で先発し、途中交代したのは負傷で前半のうちにピッチを後にしたマルセイユ戦のみ、それ以外の15試合はフル出場である。出場した16試合のうち、無得点に終わったのは5試合だけである。2位のウィッサム・ベンイェデルが8点、3位のアレクサンドル・ラカゼットとアコル・アダムズが7点と、ムバッペの半分以下のゴールしか決めておらず、ムバッペの得点王はほぼ確定といってよいであろう。(続く)

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