第3603回 2025-26フランスリーグ開幕(2) 昇格3チームはいずれも0-1で黒星スタート

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■21世紀になり7回目の1部昇格となるメッス

 前回の本連載では今季1部に昇格した3チームのうち、2部で2位以内に入り、自動昇格となったロリアンとパリFCを紹介した。今回は入替戦を経由して1部に昇格したメッスを紹介しよう。
 メッスは本連載では過去3か月に2回登場している。まず、第3557回から第3558回では2部リーグで3位となった入替戦に至るまでの道のりと入替戦の結果を紹介している。2部3位は自動昇格ではなく、2部の上位チームでのプレーオフを経て、入替戦になる。5位のギャンガンを下した4位のダンケルクとメッスはプレーオフを戦い、メッスは後半アディショナルタイムに相手のオウンゴールで勝利する。そして入替戦では1部16位のスタッド・ド・ランスと対戦、メッスでの第1戦は1-1のドロー、ランスでの第2戦は1-1のまま90分が終了、延長戦となり、延長後半にメッスが2点を取り、メッスが1部昇格、スタッド・ド・ランスが2部降格となった。メッスはポストシーズンの試合は2勝1分、前後半の90分までのスコアだけなら3引き分けであるが、終盤に勝負強さを見せた。
 メッスは1960年代から2000年代初めまで1部に30年以上在籍してきたが、2002年に2部に降格すると、1部と2部を行き来するヨーヨークラブとなった。21世紀に入ってから2部に7度降格し、1部に7回昇格した。2部に降格して複数年2部以下に在籍したのは2008年から2014年までの6シーズン(この際は1季だけ、3部相当のナショナルリーグに陥落)だけで、それ以外の6回は1年で1部に復帰している。降格と昇格を繰り返すのも勝負強さがあるからなのであろう。

■ドイツとフランスに帰属が変わる中で1部65年目のシーズンを迎えるメッス

 そして近いところで登場したのが第3595回、戦争中のフランスサッカーを紹介する中で、1941-42シーズンにメッスはドイツ領となり、ドイツのリーグ戦に参戦したことを紹介した。メッスの本拠地のサン・サンフォリアン競技場は、1939年にナチス・ドイツに接収され利用できなくなる。1941-42シーズンから1943-44シーズンまでの3シーズンはFVメッスという名称でドイツのリーグに参加している。1919年にクラブは創立しているが、ドイツ領だった1900年代にクラブの源流が存在している。
 ドイツとフランスに帰属が変わるアルザス・ロレーヌ地方を代表するクラブ、今季で1部でプレーするのは65年目、今季の1部参戦チームでこれより多く1部に在籍しているのはマルセイユ(77年目)、レンヌ(70年目)、リヨン(69年目)、モナコ、ニース(以上68年目)、リール(67年目)、ストラスブール(66年目)だけである。

■アルザス・ロレーヌ地方のストラスブールに敗れたメッス

 さて、これらの昇格チームの初戦であるが、いずれも8月17日の日曜日の17時15分にキックオフを迎えた。3チームのうち、ホームで開幕を迎えたのはメッス、相手は同じアルザス・ロレーヌ地方のストラスブールである。ストラスブールはドイツ領となった第二次世界大戦中は南西部のペリグーに移転してアマチュアクラブとして活動を続けた。戦争が両チームをプロリーグであるフランスリーグから記録を抹消している。試合はストラスブールが圧倒する。メッスは防戦一方でストラスブールの攻撃をしのいだが、終盤の86分位ゴールを許し、0-1で敗れた。

■パリFC、ロリアンはアウエーで敗れる

 今季が1部参戦4季目となるパリFCはアンジェのレイモン・コパ競技場で対戦する。パリFCが創設された時、すでにコパは引退しており、歴史の流れを感じさせる。アンジェが開始早々に先制するが、後半に入って57分にレッドカードで1人を失う。パリFCはボールを支配するが、なかなかシュートを放つことができず、0-1で敗れる。
 ロリアンはオセールのアベ・デシャン競技場で開幕を迎える。優勢に試合を進めたものの、オセールはマリ代表のラシヌ・シナヨコが得点をあげ、守り切って勝利する。
 1部に昇格した3チームは開幕戦でそろって0-1で敗れたのである。(続く)

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