第3605回 2025-26フランスリーグ開幕(4) 13年ぶりにフランスリーグに復帰したオリビエ・ジルー

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■公式戦で3連敗となったニース

 前回の本連載では昨季2位のマルセイユと3位のモナコの第1節の戦いぶりを紹介したが、続いて開幕2日目の8月16日に行われた残り2試合から紹介しよう。
 昨季4位のニースはホームにトゥールーズを迎えた。ニースはガエタン・ラボルドがサウジアラビアのチームに移籍、逆に新加入は若い選手が中心であり、いわゆる即戦力の補強は手薄である。ニースはチャンピオンズリーグの予備戦3回戦に出場したが、ポルトガルのベンフィカに連敗し、ヨーロッパリーグに転戦することになっている。一方のトゥールーズは昨季10位、プレシーズンマッチでは振るわず、2分4敗という勝利のない状況でシーズンを迎える。両チームともリーグ戦開幕に当たって不安な要素を持っていたが、試合はニースのテンポで進む。ニースはたびたびシュートを放つが、トゥールーズの守備陣の体を張った守備とGKのギヨーム・レストのセーブによってなかなかゴールを奪うことができない。
 後半に入ってもニースは試合を優勢に進めるが、シュートが惜しいところで外れる。守備の時間の多かったトゥールーズであるが、終了間際の90分、左サイドからグボホがグラウンダーでゴール前にクロスを供給、これをゴール正面で待ち受けていたサンチアゴ・イダルゴがジャストミートできずに、ボールはファーサイドに流れる。ここに走りこんできたのが元フランス代表のジブリル・シディベ、ニアサイドにシュートを放ち、これが決勝点となった。ホームの開幕戦を落としたニースはチャンピオンズリーグの予備戦から通算して公式戦3連敗となったのである。

■財政問題により、多数の選手を放出したリヨン

 そしてもう1試合、土曜日に行われた試合がRCランス-リヨン戦である。リヨンは昨季6位であったが、財政的な問題により降格処分も検討されていた。結局は、アレクサンドル・ラカゼット、ラヤン・シェルキ、サイード・ベンラーマ、ジョルダン・ベルトゥ、ドゥイエ・チャレタ・ツアルなどの主力選手を次々と放出し、1部に残留することになった。新戦力はイングランドのリバプールからタイラー・モートンを獲得したくらいである。RCランスは2018年のワールドカップ優勝メンバーの1人であるフローリアン・トーバンをイタリアのウディネーゼから獲得している。

■ジョージ・ミカウターゼのゴールを守り切って勝利したリヨン

 試合はリヨンのジョージ・ミカウターゼが活躍する。前半11分にはミカウターゼからのパスをコランタン・トリッソがシュート、RCランスのGKのセーブに阻まれ先制点には至らなかった。その後はRCランスがチャンスをつかむが、得点できない。
 リヨンは前半のアディショナルタイムには左サイドを駆け上がったマリック・フォファナがグラウンダーのクロスをあげる。これをミカウターゼが倒れながらシュートし、先制点となる。試合はホームのRCランスが優位に進め、再三再四、リヨンのゴールを襲う。好守が光ったのはリヨンのGKレミ・デカンである。セーブを重ね、RCランスのゴールを許さず、リヨンが1点を守り切り、開幕戦を白星で飾った。

■フランスリーグに復帰したオリビエ・ジルーが先制点

 リーグ開幕3日目となる8月17日、まだ日も高い15時にキックオフを迎えたのが昨季リーグ5位のリールとチャンピオンズリーグで活躍したブレストの試合である。ブレストで行われたこの試合、最も注目を集めた選手はビジターのリールのオリビエ・ジルーであった。長らく、国外のクラブに所属していたジルーがロサンゼルスFC(米国)から移籍、実に13年ぶりのフランスリーグ復帰となった。そのジルーは11分に先制点を決める。リールはハコン・アルナル・ハラルドソンが追加点を決め2-0とリードする。
 ブレストは34分と後半立ち上がりの51分にカモリ・ドゥンビアが連続ゴールで追いつく。リールは66分にヌガル・ムカウが勝ち越し点を決めるが、ブレストも75分のジュリアン・ルカルディナルのゴールで追いつく。3-3という点の取り合いで第1節唯一のドローとなったのである。(続く)

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