第3606回 2025-26フランスリーグ開幕(5) 王者パリサンジェルマン、白星発進

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■開幕節の最後に登場するパリサンジェルマン

 今季も週末のフランスリーグは最終節等を除くと基本的に金曜から日曜までの3日間に分散されて行われる。3日目の日曜日は5試合が行われたが、15時からは前回の本連載で紹介したブレスト-リヨン戦が行われた。17時15分からは3試合、これは第3603回の本連載で紹介した昇格3チームの試合となる。そして開幕節で最後に行われた試合が20時45分キックオフのナント-パリサンジェルマン戦である。昨季のリーグチャンピオンというだけではなく、フランスカップも制し、さらに欧州の舞台でもチャンピオンズリーグで優勝し、シーズン開幕前にはUEFAスーパーカップも獲得している。クラブワールドカップの決勝でチェルシー(イングランド)に敗れたことだけが残念である。

■リーグ開幕直前に加わったウクライナのイリア・ザバルニー

 例年、大型補強を繰り返してきたパリサンジェルマンであるが、今年のシーズンオフは目立った補強はなく、GKのルカ・シュバリエをリールから獲得したくらいであるとUEFAスーパーカップについて取り上げた第3601回でお伝えした。
 しかし、リーグ開幕直前にイングランドのボーンマスからイリア・ザバルニーを獲得した。ウクライナのキーウ出身の22歳のストッパーである。パリサンジェルマンの50年余りの歴史の中で初めてのウクライナ人の選手となる。ザバルニーはウクライナ代表としても活躍しているが、代表にデビューしたのは5年前の2020年10月7日にスタッド・ド・フランスで行われたフランスとの親善試合である。ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大が始まった年で、次々とスポーツイベントが中止や延期となり、混乱の生じている時期であった。この年は元々6月に欧州選手権が予定されていたこともあり、3月にウクライナとフランスは親善試合を行う予定であったが、10月に延期された。さらに、フランスとの親善試合の時、ウクライナ代表チームの中で新型コロナウイルスが流行し、経験のない選手を多数代表に招集し、その中の1人がザバルニーであった。ザバルニーは1月前にディナモ・キーウとプロ契約を結び、21歳以下の代表に初めて選出されたばかりだった。18歳1月でのフランス戦はウクライナ史上2番目に若い代表デビューとなった。フランス戦は1-7と大敗を喫したが、ザバルニーはアンドレイ・シェフチェンコ監督の信を受け、その後も代表に定着、1年延期されて2021年に行われた欧州選手権にも出場している。

■ルカ・シュバリエとザバルニーが先発したナント戦

 ナントのボージョワール競技場で行われた開幕戦、パリサンジェルマンは2人の新戦力が先発した。控えのGKにはジャンルイジ・ドンナルンマではなく、マトベイ・サフォノフが入る。ザバルニーはルーカス・ベラウドとコンビを組み、マルキーニョスとウィリアン・パチョはベンチに控える。マルキーニョスに代わって主将を務めたのはビティーニャであった。
 赤いユニフォームを着用したパリサンジェルマンが、黄色いユニフォームのナントを圧倒する内容の試合となる。41分には左サイドから切れ込んだゴンサロ・ラモスがナントのGKのロペスを交わしてシュート、しかし、ロペスはすぐに立ち上がって片手でセーブ、シュートコースが変わってバーに当たる。45分にも李康成からのクロスをルカ・エルナンデスがヘディングシュートするがGKの真正面で前半は両チーム無得点に終わる。

■初めて主将を務めたビティーニャが決勝ゴール

 前半はパリサンジェルマンの攻撃陣を押さえていたナントであるが、後半に入るとその組織力が弱まり、パリサンジェルマンの選手がフリーでチャンスをつかむことが多くなる。67分のことであった。ヌーノ・メンデスがペナルティエリアの外でフリーとなっていたビティーニャにパス、ビティーニャのミドルシュートはナントの守備陣に当たってコースが変わり、ロペスのセーブも及ばず、この試合唯一のゴールとなる。ビティーニャはパリサンジェルマンで初めて主将を務めた試合で決勝点を上げた。王者パリサンジェルマンは白星でスタートした。(この項、終わり)

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