第413回 第三のタイトル、リーグカップ(1) 欧州への最短ルートに44チームが挑戦

■地位を向上し、欧州への道が開けたタイトル

 前回までの本連載では年初に本格化したフランスカップの模様をお伝えしたが、リーグ、フランスカップに次ぐ第三のタイトルが今回から紹介するリーグカップである。
 リーグカップはこれまでも本連載でたびたび取り上げてきたが、年を追うごとに相対的な地位を向上させてきている。従来はシーズンオフに各チームの本拠地以外で行われ、若手選手の育成とサッカーの普及のために行われていた。しかし、近年はフランスカップ同様、リーグ戦開催期間に国内外の試合の合間に行われるようになった。本連載の読者の皆様ならばよくご存知の通り、優勝チームに翌シーズンのUEFAカップ出場権が与えられることから、欧州への道と言う点では、フランスカップと同じ位置づけになった。

■テレビマネーを取り込み、魅力的な賞金

 さらに、魅力的なのは賞金であり、優勝チームだけではなく途中で敗退したチームにもフランスカップ以上の賞金が与えられることになった。フランス国営テレビであり、地上波で2チャンネルを持つフランス・テレビジョンがこの大会のパートナーとなり、独占中継を行うとともに、TF1と系列であるブイグ・テレコムも公式パートナーであり、ダイジェスト映像がTF1のサッカー番組でも放映されることになっている。フランスリーグは地上波での放映はなく、フランスカップもごく限られた試合しかテレビ中継はされないため、もっともテレビへの露出度の高い大会となった。その結果として多くの賞金が各チームに流れ込むこととなった。
 リーグ戦とは異なり、ホームアンドアウエーではなく、いずれかのチームのホームグラウンドで試合が行われるが、ビジターチームに対して交通費が主催者から支給され、さらにコルス島に遠征するチームには交通費が割り増しされるような仕組みになっており、参加チームの費用負担を抑制する仕組みになっている。

■他のタイトルが佳境を迎える前に行われる決勝

 そして今年の決勝が行われるのは4月30日であり、他のタイトルに比べて早い日程であることも欧州を目指すクラブにとっては魅力的である。この段階でリーグ戦は第34節を終了した段階であり、残りが4試合もある。さすがにこの段階では欧州カップ出場を確定しているチームは少ないであろう。また、この段階になれば優勝争い、UEFAカップやインタートトカップへの出場権争いだけではなく、下位リーグへの降格争いもあり、油断のならない相手との対戦が続くことも想定される。そしてフランスカップは準々決勝を終了したところで、優勝まで残り2試合。それ以外にも欧州カップで勝ち残れば決勝戦も控えており、そのようなスケジュールになるか見当もつかない。

■初日で消えたナショナルリーグ勢4チーム

 このように考えると、テレビマネーを獲得するとともに、シーズン終盤の大一番でプレッシャーのかかる連戦の始まる前にUEFAカップ出場権を手中にすることのできるリーグカップは各クラブにとっては欧州への最短ルートに見えるであろう。
 さて、今年のリーグカップにエントリーしたのは44チームである。欧州への最短ルートとは言っても、優勝してUEFAカップへの出場権を得ることができるのはわずか1チームである。大会は10月第1週に予備戦12試合が行われ、2部20チームとナショナルリーグの中からプロのステータスを持つ4チームが出場して戦いの火蓋が切って落とされた。
 ナショナルリーグから出場したのはブザンソン、バランス、ルーアン、バスケルの4チーム。このうちブザンソン、バランス、ルーアンの3チームは今季2部から降格しており、昨季2部から降格したバスケルも2部での経験が長い。大会初日の10月5日に行われた4試合はいずれもナショナルリーグのチームが2部のチームに挑戦すると言う組み合わせであった。しかし、ブザンソン、ルーアンは延長戦の末、敗れる。バスケアルはブレストに0-1と惜敗、バランスはルアーブルに0-5と大敗し、ナショナルリーグの挑戦は大会初日で終わってしまったのである。(続く)

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