第935回 着々と進む国内カップ(4) ボルドー、パリサンジェルマン、準決勝に進出

■観客動員に悩むボルドー-シャトールー戦

 リーグカップ準々決勝の2日めは1月14日にボルドー-シャトールー、パリサンジェルマン-ランスという1部勢が2部のチームをホームに迎えるという試合が行われた。まず、18時45分にボルドーでキックオフされ、ちょうど試合が終わる頃の20時45分にパリで試合が始まるように設定された。両試合とも1部と2部の顔合わせであるが、注目度という点では後述するとおりパリサンジェルマン-ランス戦に軍配が上がる。
 ボルドーの試合はテレビ中継の関係もあり、早い時間帯のキックオフとなる。また、相手のシャトールーは2部で17位と低迷しており、2部残留のために四苦八苦しているチームであり、チケットセールスに苦慮した。この状況を踏まえて、ボルドーはシーズンチケット所有者は入場無料とするほか、入場料も最低2ユーロから最高でも18ユーロと破格の格安価格に設定した。そのようなクラブ側の決断もむなしくシャバン・デルマス競技場には9200人しか観衆が集まらなかった。しかし、サッカーのクラブにとって観客動員よりも試合結果が重要であることは間違いない。

■ジダンの後継者、ヨアン・グルコフの活躍でボルドーが勝利

 ボルドーの注目選手はヨアン・グルコフである。このシャトールー戦の直前の週末に行われたリーグ戦のパリサンジェルマン戦では大活躍し、チームを4-0の大勝に導き、ジネディーヌ・ジダンの後継者という評価を受けたばかりである。試合はそのグルコフを攻撃の軸とするボルドーが優位に進める。24分には左サイドからのロングパスを受けたグルコフが先制点を決める。
 2部残留が目標のシャトールーと、リヨンの優勝を阻止しようかと言う勢いのあるボルドーとの力の差は明白で、後半に入ってもボルドーは56分にダビッド・ベヨンが追加点を上げる。この追加点にもグルコフがからむ活躍をしている。対するシャトールーは、80分に1点を返すが、同点に追いつく力はなく、ボルドーが2-1と勝利して準決勝進出を決めたのである。

■注目を集めたパリサンジェルマン-ランス戦

 準々決勝4試合のうち最後の試合となったパリサンジェルマン-ランス戦は、うって変わって多くの注目を集めて行われた。このカードは昨年の決勝のカードであり、パリサンジェルマンは勝利したものの、ファンが試合中に掲げた横断幕が社会問題にもつながるような大問題となったことは本連載第833回から第838回で紹介したとおりである。また昨年の決勝では不可解な判定もあり、ランスはこの悔しい思いを晴らせずにいる。なぜならば、昨年のリーグカップ決勝のころはパリサンジェルマンもランスは2部降格圏内であったが、パリサンジェルマンは1部に残留できたが、ランスは2部に降格してしまい、リーグ戦で顔を合わせることがなくなったからである。そのようにランスにとってはこのリーグカップが絶好の復讐の機会なのである。ランスは2部リーグで首位を保っており、1部復帰は濃厚であり、それに勢いをつける意味でもパリサンジェルマンに勝利したいところである。ランスから2000人のサポーターが大挙した。
 テレビ中継もゴールデンタイムの全国放送、入場料も25ユーロから80ユーロと、前述したボルドー-シャトールー戦とは桁違いであるが、パルク・デ・プランスには通常のリーグ戦と同様の3万2000人の観衆が集まった。パルク・デ・プランスに集まったのは観客だけではなく、昨年3月29日の事件を踏まえ、セキュリティのための多数の警官が配備され、物々しい雰囲気の中で試合が行われた。

■パリサンジェルマン、3度めの対戦も制し、準決勝へ

 両チームとも直前のリーグ戦では上位陣と戦ったばかりであるが、大敗を喫している。先述の通りパリサンジェルマンはボルドーに0-4、ランスは2位のブローニュ・シュール・メールに1-3と敗れている。
 試合は前半13分にジェローム・ロタンのCKをランスの選手が誤って自陣ゴールに入れてしまい、パリサンジェルマンが相手のオウンゴールで先制する。それに対してランスも追いつこうとするが及ばず、逆に試合終了直前のロスタイムにパリサンジェルマンはジェレミー・クレマンが追加点を上げる。パリサンジェルマンはランスとのリーグカップでの対戦成績を3戦3勝とし、準決勝に進出したのである。(続く)

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