第1695回 リーグカップ、パリサンジェルマン優勝(2) 名誉挽回、エディンソン・カバーニが2ゴール

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季初の連敗を喫したパリサンジェルマン

 リーグカップ前哨戦ともいえるリーグ戦第33節でリヨンに0-1と敗れたパリサンジェルマン、5日前のチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦のチェルシー(イングランド)戦に次ぐ連敗となった。パリサンジェルマンにとって今季初めての連敗である。パリサンジェルマンが国内リーグで敗れるのは昨年12月4日の第16節のエビアン戦以来のことであり、チェルシー戦に敗れるまで2月14日のリーグ戦第25節のバランシエンヌ戦から、チャンピオンズリーグの3試合も加えて11連勝という快進撃を続けてきたわけであるから、この連敗は衝撃的なことであった。

■リーグカップの戦績では優位なパリサンジェルマン

 このように今季最大の窮地を迎えたパリサンジェルマン、リヨンで敗れた6日後の4月19日には舞台をスタッド・ド・フランスに移してリヨンとの夢の決勝を迎える。
 両チームは今回がリーグカップで6回目の対戦となる。これはリーグカップの歴史の中で最も対戦の多い組み合わせである。過去の戦績はパリサンジェルマンが3勝2敗と勝ち越しているが、両チームが決勝で顔を合わせるのはこれが初めてである。
 両チームとも今回が5回目のリーグカップ決勝となり、過去4回の決勝はパリサンジェルマンは3勝1敗、逆にリヨンは1勝3敗と決勝での成績は対照的である。カップ戦のスペシャリストであるパリサンジェルマンはリーグカップでも優勝3回、これまでに最多の37勝を挙げている。リーグカップは1995年に始まった歴史の浅いタイトルであり、この間にリヨンはリーグで7連覇を達成しているから、優勝回数も通算勝ち星も上位であってもおかしくないが、唯一の優勝は2001年と7連覇が始まる前のことである。さらに、通算勝ち星も26勝、歴代9位にとどまっている。

■来季からのユニフォームを着用したリヨン

 このように心理的には直前の試合で勝利したリヨン、過去の実績からいえば最多3回の優勝を誇るパリサンジェルマンという構図である。自チームのファンに、リヨンは1万8000枚、パリサンジェルマンは2万4000枚のチケットを販売し、満員の観衆が集まる。パリサンジェルマンは青と赤、リヨンは白と6日前と同じ色のユニフォームでピッチに表れたが、リヨンは来季から使用する新しいユニフォームを着用する。リーグ優勝が不可能なリヨンの今季最後のタイトルに向け、並々ならぬ闘志を感じさせる。

■エディンソン・カバーニの活躍で4回目の優勝を飾ったパリサンジェルマン

 試合はステファン・ラノイ主審の笛でキックオフ。ラノイ主審は本連載第1658回で紹介した通り、ワールドカップに選ばれず、この試合が今季最後のビッグゲームとなるかもしれない。この日も両チームとも主力に負傷者が多く、パリサンジェルマンはズラタン・イブラヒモビッチがこの日も不在、チェルシーとの第2戦、リーグ戦のリヨン戦に続き、トップにはエディンソン・カバーニを起用する。
 連敗の原因の張本人ともいえるカバーニだったが、この日は結果を残した。開始3分、左サイドのマクスウェルとエセキエル・ラベッシがワンツーパスで前進、マクスウェルのパスに対し、リヨンのGKアントニー・ロペスが前に出てしまい、カバーニは無人のゴールのボールを流し込み、パリサンジェルマンが先制、スタッド・ド・フランスの過半数を占めるファンを歓喜させる。
 そして32分、リヨンのGKロペスがパリサンジェルマンのルーカスへファウルを犯したとラノイ主審はジャッジ、ロペスにイエローカード、リヨンにPKが与えられ、カバーニが決めるが、この判定はリヨンにとっては不満なものであったであろう。
 リヨンは後半の56分にアレクサンドル・ラカゼットがスピードのある個人技で1点を返すが、リヨンの得点はこれだけで、2-1で勝利したパリサンジェルマンが6年ぶり4回目の優勝を果たす。
 すでにチャンピオンズリーグの出場権を確保しているパリサンジェルマンが優勝したことにより、ヨーロッパリーグ出場権が与えられるリーグカップ優勝枠はリーグの5位チームに振り分けられることになったのである。(この項、終わり)

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