第2622回 最後のファイナリストが決まったリーグカップ(2) 決勝戦はリヨン-パリサンジェルマン戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスカップから中2日でリーグカップを戦う3チーム

 リーグカップの四強はスタッド・ド・ランス、リヨン、リール、パリサンジェルマン、チャンピオンズリーグに出場した3チームはすべて残り、そこに古豪スタッド・ド・ランスが食い込んだ。
 準決勝は1月21日の火曜日にリヨン-リール戦、22日の水曜日にスタッド・ド・ランス-パリサンジェルマン戦が行われた。直前の週末にはリーグ戦は行われず、フランスカップのベスト16決定戦が行われている。フランスカップの模様は別途紹介するが、リヨンとリールは土曜日、パリサンジェルマンは日曜日に試合を行い、チャンピオンズリーグ組は中2日でリーグカップを戦うことになる。また、スタッド・ド・ランスはフランスカップのベスト32決定戦で敗れており、1月15日のリーグ戦以来ちょうど1週間ぶりの試合となる。

■後半アディショナルタイムに追いつかれながらPK戦でリールを振り切ったリヨン

 チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに臨むリヨンとパリサンジェルマンにとってはそれまでの国内の試合はなるべく負担をかけずに乗り切りたい。リヨンはリール戦の前日にスペインのビジャレアルからカメルーン代表のカール・トコ・エカンビをレンタル移籍で獲得した。トコ・エカンビはリール戦の出場資格はないが、チームのタイトル獲得にかける意欲のわかる移籍である。
 リヨンの本拠地グルーパマ競技場は真冬の平日の夜間であるが3万5000人以上のファンが集まった。先制点は13分にリール、しかしリヨンも17分にムーサ・ダンベレのPKで追いつく。試合の終盤になり、85分にアウアが勝ち越しゴールをリヨンは決めるが、リールも引き下がらない。後半のアディショナルタイムにリヨンはラファエルがペナルティエリア内でファウルを犯してしまう。同点のチャンスを得たリールのキッカーはロイック・レミ、なんとここでレミはパネンカで同点のPKを決める。試合はその直後にホイッスルが吹かれ、PK戦となる。リールは先頭のキッカーが失敗、リヨンは4人全員が決める。そしてリールの5人目はこの日先制点を決めたレナート・サンチェス、しかしサンチェスの蹴ったボールは枠をわずかに外れ、これでリヨンが勝利し、決勝進出を決めた。

■17歳のアマチュア選手が得点を決めたパリサンジェルマン

 その翌日にはパリサンジェルマンがランスに1000人のファンとともに乗り込んだ。ランスのオーギュスト・ドローン競技場には一泡吹かせる瞬間を見ようと20500人のファンが集まった。パリサンジェルマンはキリアン・ムバッペ、ネイマールなども先発メンバーに名を連ねる。芝の態は劣悪であったが、先制点を決めたのはパリサンジェルマン、ネイマールからのCKをゴール前に上がっていたこの日主将を務めるマルキーニョスがヘディングで決める。さらに31分にはネイマールのFKをスタッド・ド・ランスのクリアボールが味方にあたり、そのまま自らのゴールにボールは吸い込まれてしまう。幸運なゴールでパリサンジェルマンは2点のリードで後半を迎える。
 ところが69分、パリサンジェルマンの主将で先制点を決めたマルキーニョスが負傷してピッチを後にする。マルキーニョスに代わって入ったのはタンギ・クアッシ、17歳のアマチュア選手である。昨年12月のチャンピオンズリーグのガラタサライ(トルコ)戦にはクラブ史上最年少で先発している。このクアッシが78分にはパレデスのボレーシュートのこぼれ球を左足で押し込んで、得点を決める。これがパリサンジェルマンにとってはクラブ史上4000得点目というメモリアルゴールとなった。

■決勝に強いパリサンジェルマン、決勝に弱いリヨン

 このままパリサンジェルマンが3-0で勝利する。4月4日の決勝戦はリヨンとパリサンジェルマンの顔合わせとなる。パリサンジェルマンは2年ぶり10回目の決勝進出、リヨンは2014年以来6年ぶり6回目の決勝進出となる。ただし、パリサンジェルマンがこれまで決勝で1回しか敗れていないのに対し、リヨンは1回しか勝利したことがない。そして6年前に決勝で敗れた相手もパリサンジェルマンだったのである。(この項、終わり)

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