第2694回 パリサンジェルマン、国内三冠制覇(1) ヨーロッパリーグ出場を目指すリヨン

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■フランスカップ決勝での負傷で離脱したキリアン・ムバッペ

 前回までの本連載ではパリサンジェルマンがフランスカップ決勝でサンテチエンヌを破り、最多となる13回目の優勝を果たしたことを紹介した。パリサンジェルマンの主将のチアゴ・シウバは歴代最多タイの5回目の優勝を果たした。一方、サンテチエンヌの主将のロイック・ペランは、この試合が引退試合となったが、パリサンジェルマンのキリアン・ムバッペに対するファウルで退場処分を受けてしまった。そしてムバッペはペランのファウルを受けて試合継続ができなくなり、途中退場となり、負傷は長期にわたる見込みで、リーグカップ決勝、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントへの出場も絶望的な状態にある。

■3シーズンぶりにヨーロッパリーグに出場するニース

 また、パリサンジェルマンが優勝したことにより、フランスカップ優勝チームに与えられる来季のヨーロッパリーグへの出場権はリーグ5位のニースに与えられることになった。ニースが欧州カップに出場するのは3シーズンぶりのこととなる。
 そのようなドラマがあったが、パリサンジェルマンのイレブンは休養する間もなく、翌週の金曜日のリーグカップ決勝、その後にポルトガルのリスボンで行われるチャンピオンズリーグの決勝トーナメント、さらには新シーズンに向けてギアをあげる。

■欧州カップ出場に向けてグラウンド外で画策したリヨン

 そのパリサンジェルマンとリーグカップ決勝を争うのがリヨンである。今年3月にリーグ戦をはじめとする試合が行われなくなった中でピッチの外での動きが一番大きかったのがリヨンであったといっても過言ではなかろう。
 中断した時点でのリヨンはリーグ戦では7位、フランスカップでは敗退、リーグカップでは決勝進出決定、チャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦でイタリアのユベントスと対戦し、第1戦で敗れて第2戦を控えたところであった。もしシーズンが打ち切りになってしまえば、翌シーズンの欧州カップ(チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)への出場権が危ぶまれるからである。国内カップ戦が行われないのであれば、これら欧州へのチケットは国内リーグ戦の結果によって割り当てられる。フランスのクラブに割り当てられている欧州へのチケットは6枚であり、リーグ戦の成績で決まるとなると、リヨンは欧州カップへの出場が23年間連続で途絶えてしまう。
 リヨンのジャン・ミッシェル・オラス会長は、2019-20シーズンのリーグ戦の順位をなかったことにし、2020-21シーズンの欧州カップは前年と同じチームが出場することを主張し、2部への降格チームなど、当該シーズンの成績を白紙にしたいチームと連携してフランスサッカー界ばかりではなく司法の世界にも揺さぶりをかけたが、結局その主張は認められなかった。

■リーグカップ決勝の実施に向けて6月8日に始動したリヨン

 そのリヨンにラストチャンスが訪れた。それがリーグカップ決勝の実施である。リーグカップで優勝すれば、来季のヨーロッパリーグの予備戦2回戦への出場が認められる。そしてこのリーグカップは今年で終了となる。また2019-20シーズン最後の試合となり、この最後の試合でリヨンが来季のヨーロッパリーグ出場権を獲得することができれば大逆転劇となり、リヨンにとっては忘れられないタイトルとなる。
 リヨンもチャンピオンズリーグの決勝トーナメントの戦いを継続中であり、1回戦の途中で中断したことから、来シーズン開幕までに戦う試合数はパリサンジェルマンよりも多くなるかもしれず、最大5試合となる。リヨンは6月8日から個人レベルでの練習を再開した。6月下旬からはエビアンで合宿を行い、7月1日にはスイスのアマチュアチームのポールバレー相手に最初の練習試合、12-0と大勝した。4日には本拠地のグルーパマ競技場にリーグ戦では5位となったニースを迎えて親善試合を行う。無観客であったが、カナルプリュスでも放映され、関心の高さがうかがわれた。開始早々にホッサム・アウアがPKを決めて、リヨンが1-0と勝利したのである。(続く)

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