第2696回 パリサンジェルマン、国内三冠制覇(3) 決勝での成績が対照的なパリサンジェルマンとリヨン

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■特別な意味のある今回のリーグカップ決勝

 今シーズン、国内最後の試合となるリーグカップ決勝、パリサンジェルマンとリヨンの顔合わせとなった。これまで、リーグカップは第三のタイトルとして、フランスリーグ、フランスカップに比べて格の落ちるタイトルであるとみなされていた。 しかし、今年は特別な意味のあるタイトルとなった。まず、これまでの本連載で紹介している通り、リーグカップは今年で終了することから、最後の優勝チームとして名を残したいと思っているであろう。

■国内三冠を目指すパリサンジェルマン、ヨーロッパリーグ出場がかかるリヨン

 もう1つは今年のファイナリストにとって大きな意味のあるタイトルとなったことである。パリサンジェルマンにとっては国内三冠、リヨンにとっては来季のヨーロッパリーグ出場権がかかっている。両チームともリーグカップ決勝の後にチャンピオンズリーグの決勝トーナメントの再開が控えているが、このリーグカップ決勝への意欲は並々ならぬものがある。
 特に、前回、前々回で紹介した通り、欧州カップ連続出場記録が途切れるかもしれないリヨンのモチベーションは高い。ところが、今季はパリサンジェルマンと3回対戦し、いずれも敗れている。リーグ戦では9月22日にホームで対戦し、リヨンは枠内にシュートを放つことができず、終了間際のネイマールの得点を許し、0-1で敗れた。2月9日にはパルク・デ・プランスに乗り込んだが、3点を先行され、一時は1点差まで迫ったものの、エディンソン・カバーニにダメ押し点を奪われ、2-4と連敗した。さらに直近の戦いはフランスカップの準決勝である。リヨンで行われたこの試合、地元ファンはサンテチエンヌとのローヌダービーが決勝で実現することを期待したが、パリサンジェルマンはキリアン・ムバッペのハットトリックを含む大量得点で5-1と勝利した。

■2014年のリーグカップ決勝ではパリサンジェルマンが勝利

 このように今季のパリサンジェルマン戦では冴えない結果となったが、4回目の対戦では何とか鬱憤を晴らしたいところである。これまでのリーグカップでリヨンはパリサンジェルマンと8回対戦おり、今回で26回目を迎えたリーグカップでこのカードが最も多くの対戦歴となっている。リヨンとパリサンジェルマンとの最後の対戦は2014年の決勝であり、この時はリヨンが1-2で敗れている。リヨンが国内カップで決勝に進出したのはこれが最後であるが、これまでのリーグカップ決勝戦での成績は1勝4敗、唯一の優勝はモナコを延長で破った2001年のことである。
 一方のパリサンジェルマンはリヨンに勝利して4回目の優勝を決めてから5年連続優勝し、通算優勝回数は最多の8回、決勝戦で敗れたのはわずか1回であり、決勝戦での成績はリヨンとは対照的である。パリサンジェルマンが唯一決勝で敗れたのは2000年のことであり、対戦相手のグーニョンは2部のチームであり、このリーグカップで唯一の2部からの優勝チームとなった。

■7連覇の最終年のフランスカップ決勝でパリサンジェルマンを下したリヨン

 リヨンは7連覇の黄金期ですら、フランスカップ、リーグカップではなかなか優勝することができなかった。ようやく国内カップ戦で優勝することができたのは7連覇の最終年の2008年のフランスカップであった。すでにリーグ優勝を決めた後でフランスカップ決勝に臨む。相手はパリサンジェルマンである。前後半の90分間で両チームとも無得点、延長戦に入り、延長前半の102分、カリム・ベンゼマのクロスをシドニー・ゴブーが決めて決勝点となる。リヨンにとってスタッド・ド・フランスでの初めてのフランスカップ優勝であり、フランスカップ決勝で両チームが対戦したのはこれが最初で最後である。
 このようにこれまでの国内カップ決勝でのパリサンジェルマンとリヨンの対戦成績は1勝1敗、2008年のフランスカップでリヨンが、2014年のリーグカップでパリサンジェルマンがそれぞれ勝利しているが、6年周期の対戦となった今回のリーグカップ、栄冠を獲得するのはいずれであろうか。(続く)

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