第48回 伝統国スコットランドと対戦(5) 新生スコットランドに大勝、ついに勝ち越し

■ロベール・ピレス不在のスターティングメンバー

 いよいよスコットランドとの試合の日がやってきた。ロベール・ピレスの直前の負傷離脱だけではなく、サンドニから遠くはなくワールドカップフランス大会のメイン会場の有力候補であったナンテール市の市議会における殺傷事件というショッキングな出来事があったが、ピッチに両チームの選手が姿を現した。ホームのフランスが青のユニフォーム、アウエーのスコットランドは白のユニフォームをまといスタッド・ド・フランスのピッチに立つ。新生スコットランドは伝統を守り、1番から11番までの背番号で揃える。この先発メンバーのうち背番号3のステファン・クルーニーと背番号6のガリー・コールドウェルの2人が代表初出場である。
 一方のフランスの布陣であるが、GKはルーマニア戦には負傷欠場した背番号16のファビアン・バルテスが復帰する。DFラインは右にバンサン・カンデラ、中央にフランク・ルブッフとキャプテンのマルセル・デサイー、左にビシャンテ・リザラズ、守備的MFにはパトリック・ビエイラと背番号17が定着したエマニュエル・プチ、注目の攻撃的MFであるが、右はシルバン・ビルトール、中央には背番号10のジネディーヌ・ジダン、ピレス不在の左にはティエリー・アンリが入り、FWには背番号20のダビッド・トレゼゲのワントップ。ピレスが負傷したのと同日に行われたプレミアリーグのチャールトン戦で大活躍したボルトンのユーリ・ジョルカエフ、ジダンの最大のライバルであるエリック・カリエールの2人はベンチでキックオフを迎えた。

■前半からゴールラッシュ

 試合前には2つのセレモニーがあった。まず、その名もフランス・エコス(エコスはフランス語でスコットランドという意味)という女性がキックオフをする。そしてナンテール市議会で起こった殺傷事件の犠牲者を悼み1分間の黙祷。黙祷が終わり、ポーランド人のジャセック・グラナット氏がキックオフの笛を吹いた。グラナット氏の脳裏をかすめたのはナンテールの惨劇か、3時間前に母国が喫した無残な敗退か。
 試合は立ち上がりこそバルテスがバックパスの処理を誤り、観客を慌てさせたが、先制点は11分のフランス。ジダンがベンチに控える2人のライバルを前に豪快にネットを揺らす。23分にはジダンを起点にリザラズが左サイドからセンタリングし、トレゼゲがヘッドであわせて追加点。さらに32分には逆に右サイドのビルトールがセンタリングし、アンリが右足のボレーで3点目。42分にはビエイラとトレズゲがワンツーを繰り返し、最後はトレズゲがGKと1対1となった局面でゴールを決め、前半だけで4-0と大差がつく。

■ピレスの代役の座も目指すジョルカエフとカリエール

 余裕をもったフランスは後半に入ると次々と選手を交代させ、この試合の規定である7人の交代枠を使い切る。背番号22をつけたカリエールは74分にトレゼゲに代わって登場、そして81分にはジダンに代わってジョルカエフが登場する。ジョルカエフはピッチに入るやいなやカリエールと見事なワンツーを決める。ピレスのワールドカップ出場がほぼ不可能となった段階で、彼らにはジダンの控えだけではなくピレスの代役という新たなチャンスも芽生えてきた。そして終了間際の87分、プチからの縦パスをペナルティエリア内でカリエールが受け、ボールをキープし、ビルトールに代わって出場していたスティーブ・マルレにバックパス。このパスを受けたマルレが5点目をたたきこむ。
 両国の対戦において最も大差となる5-0というスコアで試合終了。フランスは1989年10月以来スコットランドに4連勝し、通算成績は7勝6敗となり、初対戦から72年でようやく初めて勝ち越したのである。

■敗戦と大勝を繰り返す不安定な戦績

 5-0というスコアは昨年の同時期に行われた日本戦と同じスコアである。この1年間、フランス代表は負けが重なり、昨年3月のスペイン戦、6月の豪州戦、9月のチリ戦と3回も敗戦を喫しているが、その一方、昨年3月の日本戦(5-0)、4月のポルトガル戦(4-0)、6月の韓国戦(5-0)、10月のアルジェリア戦(4-1)、そして今回のスコットランド戦(5-0)と大差をつけた勝利が多いこともまた事実である。波が大きく、決して安定している成績ではないが、次の親善試合はスタッド・ド・フランスで唯一フランス代表に土をつけているロシアである。昨年8月のデンマーク戦以来久しぶりのワールドカップ本大会出場国との対戦であり、ブルーの真価が問われるのである。(この項、終わり)

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