第63回 ベルギーとの壮行試合(1) フランスにとって最大のライバル・ベルギー

■地元での最終テストの相手はベルギー

 前回まではフランス国内のシーズン終盤の状況をレポートしたが、いよいよワールドカップ開幕まで2週間あまりとなった。23人の代表も決定し、5月18日のサンドニでのベルギー戦が壮行試合となり、アジアへの長旅に出発する。フランス代表が地元での最終テストの相手に選んだのは隣国ベルギー、連覇を狙う世界王者にとってこれ以上ふさわしい相手はないであろう。

■群を抜くベルギーとの対戦回数

 その理由はフランスにとってベルギーが最大のライバルであると言えるからである。98年前、フランスが最初の国際試合の相手に選んだのはベルギーであった。フランスにとって記念すべき最初の国際試合は1904年5月1日にブリュッセルで行われ、点の取り合いとなり、試合終盤にフランスが追いつき3-3で引き分けている。以来ベルギーとの対戦は68試合にのぼり、対戦成績はフランスが23勝17分28敗と負け越している。
 68試合というのはフランスにとって最多対戦国である。対戦回数がベルギーに次ぐのはイタリアとの32試合、イングランドならびにスペインとの対戦が27試合であるから、ベルギーとの交流が以下に頻繁であるかを物語っている。また、68試合のうちワールドカップ、欧州選手権の本大会ならびに予選での対戦は11試合であり57試合が親善試合である。98年の歴史で57の親善試合ということはかなりの数であるが、1904年の初対決以降1960年代まではほぼ毎年のように親善試合が行われ、1970年以降の親善試合はわずか5試合である。
 これは両国の政治的関係が希薄化したり、サッカーにおける力量に差が生じたりしたからではなく、むしろサッカーカレンダーの過密化によるものである。サッカーカレンダーの過密化というのは昨今話題になっているクラブの試合ではなく代表の試合のことである。かつては代表チームのタイトルマッチはワールドカップならびにその予選だけであったが、それに欧州選手権が加わった。また、ワールドカップや欧州選手権の予選も以前は3チームや4チームで争っていたが、欧州域内外からのエントリー国の増加により、予選を5チームあるいは6チームで争うようになってきた。この結果、ワールドカップならびに欧州選手権の予選の試合数が増加し、代表チームは親善試合の数を減少させざるを得なかった。したがって、毎年ほぼ定期的に開催されてきたベルギーとの親善試合は1970年代以降になるとめっきり減少してしまったのである。

■ワールドカップ、欧州選手権の本大会、予選での戦績

 逆にベルギーとはワールドカップや欧州選手権で対戦する機会が増え、ワールドカップでは1986年のメキシコ大会の3位決定戦、欧州選手権では1984年のフランス大会のグループリーグで対戦し、いずれも勝利をおさめている。またワールドカップ予選は1958年のスウェーデン大会予選、1982年のスペイン大会予選で同じグループとなり、両大会ともフランスが本大会出場のチケットを獲得している。一方、欧州選手権予選では1968年のイタリア大会予選、1976年のユーゴスラビア大会予選で同じグループとなり、いずれもフランスがアウエーで負け、ホームで引き分けであり、前者は本大会出場を果たしたが、後者は予選落ちとなっている。

■ルクセンブルク協会創立75周年に招待された両国

 1970年代以降の5つの親善試合ではフランスが3勝2分と勝ち越しているが、その中で中立地での対戦が2試合ある。まず、1983年5月31日にルクセンブルクで対戦したが、これはルクセンブルクサッカー協会の創立75周年を記念して行われた試合である。このような機会に両国が招待されるということはいかにこのフランス-ベルギー戦が長い伝統を有し、隣国から尊敬の念を持って受け入れられたかを示している。また最新の対戦となる1998年5月27日の試合はモロッコのカサブランカでハッサン二世杯を争って行われたものであり、この直後のワールドカップでフランスがどのような成績を残したかはここで改めて紹介する必要もないだろう。
 今回の対戦はワールドカップ前の壮行試合ということで「青一色で集まろう」と銘打ってキャンペーンが行われる。チケットも試合の5日前の月曜日に完売し、青一色に染まったスタッド・ド・フランスでの戦いが楽しみである。(続く)

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