第152回 レキップ紙の選んだフランスのベストイレブン(2) MF、FW編

■国内外の若手が目白押しの守備的MF

 前回はフランスのベストイレブンのうち、守備陣の5人について紹介したので、今回は攻撃陣のMF、FWの6人について紹介しよう。
 まず、2人の守備的MFの2人である。このポジションのフランス人選手はディディエ・デシャン、パトリック・ビエイラ、クロード・マケレレ、エマニュエル・プチと錚々たる名前が想起できるが、引退もしくは国外リーグに所属している選手ばかりである。フランスリーグに所属している守備的MFの名前が思いつかない読者の方も少なくはないであろう。その中で、トップの支持を受けたのが、フィンランド代表のティーム・タイニオである。UEFAカップ3回戦の第2戦で先制点をマークする活躍をしたタイニオは現在23歳であるが、フィンランドのハカから移籍してきたのは1997年のことである。当時弱冠17歳の北欧の原石を磨いたのはオセール伝統の育成システムである。そして2番目に支持を集めたのが、11月のユーゴスラビアとの親善試合でソショーから10年ぶりにフランス代表入りして話題を集めた22歳のブノワ・ペドレッティである。
 ストッパー同様若い選手が選出されたが、下位のリストを見ると興味深い。ロシア代表のアレクセイ・スメルティン(ボルドー)については日本の皆様もよくご存知であろう。それに加えて、昨シーズンまでオランダリーグのフィテッセに所属し、今季リヨンに移籍してきたマリのモハマドゥ・ディアラ、ブラジルのエデュアルド・コスタ(ボルドー)、ギリシャのバシリス・ジコス(AEKアテネからモナコへ移籍)という外国人の若手の選手が目白押しである。選出されたタイニオだけではなく、若手外国人選手がフランスのサッカーシーンを変えていくことになるであろう。

■3年連続選出のエリック・カリエール、ワールドカップでも活躍したロナウジーニョ

 さて、黄金の中盤を支える攻撃的MF、ここもジネディーヌ・ジダン、ロベール・ピレスなど世界的な選手が国外流出している。しかし、このポジションには国内外の大物選手が1人ずついる。まず、トップに輝いたのはワールドカップ優勝の原動力となったブラジルのロナウジーニョ(パリサンジェルマン)。ワールドカップでの活躍は日本の皆様もよくご存知であろうが、所属クラブでも本連載の第123回から第125回で紹介したマルセイユ戦で大活躍をしている。移籍2年目の今季の活躍は特筆すべきものがある。そして2位に輝いたのはリヨンのエリック・カリエール。カリエールはこれで3年連続の選出となる。3年連続の選出は1998年から2000年まで連続して選出されたファビアン・バルテス以来の偉業である。世界のベストイレブンではこのポジションにジネディーヌ・ジダン(フランス)とミハエル・バラック(ドイツ)が選出されているが、フランスリーグのベストイレブンとの格差の最も小さなポジションであろう。
 また、3位以下も頼もしいメンバーが揃っている。3位は11月のユーゴスラビア戦で2年ぶりに代表に復帰した26歳のルドビック・ギリ(モナコ)、4位はジャック・サンティーニ体制になってから代表の試合に2試合出場している22歳のオリビエ・カポ(オセール)、5位はアトランタオリンピックで活躍し、代表入りもしたが、3年間代表のゲームから遠ざかっているビカシュ・ドラッソー(ボルドーからリヨンに移籍)。ドラッソーは29歳だが、チームメートのカリエールも同じ年であり、チャンスはまだある。この攻撃的MFは非常に実り大きい1年であったと言えるであろう。

■2年連続で選出されたジブリル・シセとパウレタ

 最後に、2人のFWである。このポジションもティエリー・アンリ(アーセナル)、ダビッド・トレゼゲ(ユベントス)などフランス人選手の人材流出が著しいポジションであるが、前年と同じ2人が選出された。2001-02シーズンの得点王を分け合ったフランス代表のジブリル・シセ(オセール)とポルトガル代表のパウレタ(ボルドー)の2人である。この2人はワールドカップでは不本意な成績に終わったものの、所属クラブではファンを熱狂させている。特にパウレタは今季も得点ランキング2位、昨年の公式戦出場試合数が57とベストイレブンに選ばれたメンバーの中では最多であり、大活躍の1年であった。3位以下も紹介しよう。3位はブラジル代表のソニー・アンデルソン(リヨン)、国内リーグでの活躍が代表チームのスタッフから認められないのが不思議である。4位はサンティーニ体制で代表入りしたシドニー・ゴブー(リヨン)。そして5位は現在リーグ得点王のコンゴ民主共和国出身のシャビニ・ノンダである。ワールドカップで活躍し、ランスからリバプールに移籍したエル・ハジ・ディウフが6位にとどまっていることを考えれば、この攻撃陣のレベルの高さもよくお分かりであろう。
 このように興味深いメンバーの揃ったフランスリーグ、新年最初の試合が1月10日に行われ、3週間ぶりにリーグ戦が再開したのである。(この項、終わり)

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