第517回 2006年アフリカ選手権(1) フランスのクラブから72人が出場

■偶数年の早春の風物詩、アフリカ選手権

 前回までは年初めの風物詩となった1部勢のフランスカップ参戦について紹介したが、偶数年、すなわちワールドカップイヤーと欧州選手権イヤーの1月から2月にかけて行われるのがアフリカ選手権である。本連載でも2002年大会(第26回から第31回)、2004年大会(第288回から第293回)を紹介しているが、好評を博しているので、今大会も取り上げることとしたい。
 フランスにおいてアフリカ選手権が注目を集める理由は過去の大会の際にも紹介したが、フランスに多くのアフリカ諸国の人々が在住していること、フランスリーグから多数の選手がアフリカ選手権に出場すること、そして多くのフランス人監督がアフリカのチームを率いていることが挙げられる。

■前回の77人を若干下回る72人がフランスからエジプトへ

 今大会はエジプトでの開催となる。エジプトにはアフリカサッカー連盟の所在地であり、1959年大会、1974年、1986年に続き、今回が4回目の開催となる。エジプトも最近は西アフリカ地域、マグレブ地域の国に押され気味であるが、第1回の1957年大会の優勝国というアフリカの古豪である。
 そのエジプトでの大会に今回も多くのフランスリーグに所属する選手が出場している。各チーム23人ずつ、16チームが出場するため全体で368人がエントリーしているが、そのうち2割にあたる72人がフランスのクラブに所属している。16チームのうちフランスのクラブに所属している選手がいないチームはわずかに4チーム。12チームにはフランスのクラブで活躍している選手がいる。フランスのクラブに所属する選手の出場は。2002年の大会は67人、2004年のチュニジア大会は77人であり、数的には前回大会を下回っているが、この詳細を分析してみよう。

■旧フランス領からの出場が2か国減少

 アフリカ選手権は予選を経た15か国と開催国が出場する仕組みとなっている。今回する出場国のうち連続出場となるのは10チーム、つまり6チームが入れ替わっているが、この入れ替わった6か国の旧宗主国の分布に注目したい。前回出場して今回出場を逃した6か国とその旧宗主国を見ると、ブルキナファソ、アルジェリア、マリ、ベナン(以上旧宗主国フランス)、ルワンダ(ベルギー)、ケニア(英国)、逆に前回出場せず、今回出場する6か国はコートジボワール、トーゴ、(以上フランス)、ザンビア、ガーナ(以上英国)、リビア(イタリア)、アンゴラ(ポルトガル)である。すなわちフランスを旧宗主国とする参加国が2つ減っている。ちなみに連続出場する10か国はチュニジア、ギニア、カメルーン、モロッコ、セネガル(以上フランス)、ジンバブエ、ナイジェリア、南アフリカ(以上英国)、コンゴ民主共和国(ベルギー)、エジプト(旧宗主国なし)と言う顔ぶれである。すなわち、フランスを旧宗主国とするチームは前回大会の9チームから7チームに減っており、フランス人選手の数はわずか5人減っただけであると言う評価が正しいであろう。

■連続出場する国からは前回を上回る数の選手がフランスのクラブから出場

 連続出場するチームのフランスのクラブ所属選手の増減を見るとフランスを旧宗主国とする国ではチュニジア(前回大会5人→今大会6人)、ギニア(1人→11人)、カメルーン(8人→3人)、モロッコ(6人→5人)、セネガル(12人→15人)となり合計32人から40人へと増加している。
 一方、フランスを旧宗主国としない国について見ると、ジンバブエ(1人→0人)、ナイジェリア(1人→3人)、南アフリカ(1人→0人)、コンゴ民主共和国(3人→3人)、エジプト(1人→1人)と7人と変化していない。
 今回出場権を失ったチームが前回大会で何人のフランスのクラブに所属する選手を抱えていたかを見ると、マリが10人、ブルキナファソ8人、アルジェリア8人、ベナン7人の合計33人にのぼる。逆に今回新たに出場するチームではコートジボワール14人、トーゴ6人の合計20人であり、出場チームの入れ替えによってフランスのクラブの選手が13人減っている。
 このように考えるとフランスのクラブに所属する選手の数の減少は出場国の入れ替わりが要因であり、今回もフランスのクラブの選手がアフリカの地で活躍するであろう。(続く)

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