第737回 グアドループ、ゴールドカップで大活躍(6) ジョセリン・アングロマの活躍で準決勝に進出

■他グループの結果を待ってグアドループ準々決勝進出

 シード国のカナダ相手に大番狂わせを演じ、グループリーグの日程を1勝1分1敗で終えたグアドループは勝ち点でコスタリカと並んだが、直接対決の結果、グループAで3位になった。このゴールドカップは4チームずつの3つのグループに分かれてグループリーグを戦う。各グループリーグの上位2チームに加え、2位のチームの中で成績の良い2チームが準々決勝に進むことになる。
 グアドループの所属するグループAはグループBより1日、グループCより2日、早く日程を消化する。したがって、グアドループが準々決勝に進出できるかどうかは残り2日間待つことになる。グループBは開催国の米国のいるグループであり、2試合終えた時点で米国が連勝、2位は1勝1敗のグアテマラとエルサルバドル、2敗のトリニダード・トバゴが最下位であり、最終日は米国-エルサルバドル戦とトリニダード・トバゴ-グアテマラ戦が行われる。グアテマラもしくはエルサルバドルが敗れれば、勝ち点3にとどまるため、勝ち点4でグループリーグの日程を終えたグアドループが上回ることになる。また、グアテマラやエルサルバドルが引き分けた場合は、グアドループと勝ち点だけではなく得失点差でも並び、グループCの結果も待たなくてはならない。
 グループBの最終戦はまず、米国-エルサルバドル戦で始まった。この試合、すでに準々決勝進出を決めている米国は序盤にてこずったものの、前半の終盤に先制点を挙げるとゴールラッシュ、4-0と圧勝する。そしてこの瞬間にグアドループの準々決勝進出が確定したのである。

■5チームがワールドカップ経験のある8強

 これまでのゴールドカップでフランスの海外県の最高の成績は2002年大会のマルティニックの準々決勝進出である。初出場のグアドループにとってはここまでで十分なミラクルであったが、奇跡はまた続いた。
 準々決勝に進出したのはグループAからカナダ、コスタリカ、グアドループ、グループBから米国、グアテマラ、グループCからメキシコ、ホンジュラス、パナマと言うメンバーであり、このうちカナダ、コスタリカ、米国、メキシコ、ホンジュラスの5か国はワールドカップ出場経験がある。

■7万大観衆の前でジョセリン・アングロマが勝利を呼ぶ先制点

 グアドループは4つの準々決勝の最後の試合に登場することとなった。準々決勝ではカナダ、米国、メキシコという3つの本戦ストレートイン組が勝ちあがる。グアドループの相手はホンジュラスである。ホンジュラスはグループCの2位であるが、メキシコを倒している。舞台となったヒューストンのリライアント競技場は7万の大観衆で埋まる。フランス代表ですらスタッド・ド・フランスで7万人の観衆を集める試合はあまりないこと、グアドループの人口が45万人であることを考えれば、イレブンにとっては信じられない大観衆であろう。第1試合ではメキシコがコスタリカ相手に延長戦の末勝利したが、7万人の観衆は第2試合ではホンジュラスの勝利を予想していた。
 しかし、その大観衆を驚かせたのがジョセリン・アングロマであった。17分に先制点を挙げ、カナダ戦に次ぐ、アップセットの序幕を開いたのである。アングロマがフランス代表で活躍したのは1990年から1996年まで、すなわち1992年欧州選手権スウェーデン大会予選から1996年欧州選手権イングランド大会本大会までの間である。まだスタッド・ド・フランスが完成していなかった時代であり、豊富なキャリアを誇るアングロマですら、代表のメンバーとしてこれだけの大観衆の前で試合をしたことはないのである。ちなみにアングロマは、スペインのバレンシアに所属していた2000年5月24日に、スタッド・ド・フランスの7万8000人の観衆の前でチャンピオンズリーグ決勝を同じスペイン勢のレアル・マドリッドと争っている。
 そのアングロマの先制点に刺激されたグアドループは3分後にリシャール・ソクリエが追加点を上げる。ホンジュラスの反撃を1点に押さえ、準決勝へ進出したのである。

■準決勝ではメキシコに惜敗

 準決勝はシカゴのソルジャーフィールドで行われ、相手はこれまでゴールドカップで最多の4回の優勝を誇るメキシコである。メキシコ相手にグアドループはよく守ったが、70分に痛恨の失点、グアドループの夢は途絶えた。しかしこのFIFA未加盟のチームの大活躍はグアドループ、そしてフランス本土に移り住んだ多くの同郷の人々に最大の勇気を与えたのである。(この項、終わり)

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