第738回 シーズン開幕に向けて再起動した各チーム

■リーグ再開までに公式戦のある3チーム

 前回までの本連載では北中米・カリブ海地域の大陸別選手権であるゴールドカップについて紹介してきた。この時期、欧州では大陸別選手権もなく、各クラブはオフを迎え、欧州のスポーツファンの注目はローラン・ギャロス、ウィンブルドンというテニスのグランドスラム、そしてF1のモナコ、フランス、英国グランプリ、ラグビーの代表チームの南半球遠征、そして自転車のツール・ド・フランスとサッカー以外の競技に釘付けになる。そうこうしているうちにフランスではシーズン開幕に向けて各チームが始動した。
 2007-08シーズンの開幕は8月4日が予定されている。(実際にはテレビ中継の関係で金曜日の3日に行われる試合も想定される)そのシーズン開幕に向けて6月末から7月初めにかけて各チームは始動することになる。ほぼ半数のチームが6月25日の月曜日にチームとしての活動を再開する。
 さて、1部リーグの20チームであるが、リーグ戦の開幕までの日程に2つのパターンがある。すなわち、リーグ戦の開幕までに公式戦を戦うチームとそうではないチームである。さらに公式戦にも2つあり、昨季のリーグチャンピオンとカップウィナーが争うチャンピオンズトロフィーとUEFAカップの予選に相当するインタートトカップに出場するチームである。昨季リーグチャンピオンのリヨン、昨季のフランスカップの勝者であるソショー、そしてリーグ戦5位となったランスの3チームがこれに当たるが、これらのチームは他のチームとは異なるコンディショニングが必要であり、3チームとも日本と関連のある準備となる。

■昨季リーグ最終節で苦汁を飲んだランス

 インタートトカップはその後UEFAカップにも続き、来年5月までの戦いとなる可能性がある。昨季のリーグ戦最終戦については本連載第725回で紹介したとおりであるが、ランスは3位になれば出場権のあるチャンピオンズリーグに最も近いと試合開始前には目されながら、すでに2部降格が決まったトロワにまさかの敗戦を喫し、5位に沈んでしまった。ランスにとってはその悔しさを晴らすためにもUEFAカップに出場するだけではなく、3位になってチャンピオンズリーグに出場するトゥールーズ、4位になってUEFAカップに出場するレンヌよりも優れた成績を残したいところである。

■インタートトカップ勝利を意識した日程のランス

 インタートトカップにフランスから唯一出場するランスは3回戦からの参戦となり、この3回戦を勝ち抜けばUEFAカップの予備戦2回戦に出場することができる。インタートトカップ3回戦は、第1戦がアウエーで7月21日または22日、第2戦がホームで7月28日または29日に行われる。すなわちランスにとってはリーグ戦が2週間早く始まるような形となる。
 ランスはチームの始動は6月25日ということで他のチームと変わらないが、合宿の期間が7月15日から15日と明らかにインタートトカップを意識した日程となっている。合宿はスイスのアンゼールで行われ、合宿中に日本の中田浩二が所属しているバーゼル、シオンというスイスの強豪チームと対戦する予定になっている。そして肝心の3回戦の相手はウクライナのチェルノモレッツ・オデッサとベラルーシのシャクティオール・ソリグルスクの勝者である。
 続いてソショーは6月25日に集合し、7月初めに合宿、合宿明けに日本資本のグルノーブル、FCチューリッヒなどと練習試合を行う。

■3度目のピースカップ出場となるリヨン

 そして、リーグチャンピオンのリヨンであるが、チームの始動は1部20チームの中ではもっとも遅い7月2日である。フランス代表の合宿で有名になったティーニュで合宿し、練習試合でリールを下している。
 また、12日から21日まで韓国で開催されるピースカップに参加する。今回が3回目となるこの大会にはアルゼンチンのリバープレート、イタリアのウディネーゼ、韓国の城南一和などに加え、日本の清水エスパルスも出場することから、日本の皆様も注目の大会であろう。リヨンは過去2回の大会にも出場し、いずれも決勝で敗れており、悲願の初優勝を果たしたいところである。リヨンは初戦で清水を2-0と下し、好スタートを切った。なお、リヨン以外に国外の大会に出場するのは、ロンドンカップに出場するパリサンジェルマンだけである。(この項、終わり)

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