第815回 2008年アフリカ選手権(7) 準決勝に進出したガーナとコートジボワール

■決勝までアクラで戦う開催国のガーナ

 決勝トーナメントに進出した8チームのうち、ガーナ(クロード・ルロワ)、ギニア(ロベール・ヌザレ)コートジボワール(ジェラール・ジリ)、チュニジア(ロジェ・ルメール)の4チームがフランス人監督のチームである。
 開催国のガーナはグループAを首位で通過したこともあり、グループリーグの3試合に引き続いて、準々決勝から決勝までメイン競技場のアクラのオヘン・ジャン競技場で戦うことになる。20年ぶり2回目の優勝を狙うルロワにとってポールポジションを獲得したに等しい。

■8年前の共催国であるナイジェリアとの戦いを制したガーナ

 そのガーナは2月3日の準々決勝の最初の試合でナイジェリアと対戦した。ガーナとナイジェリアと言えば2000年のアフリカ選手権を共同開催した経験がある。このときはガーナは準々決勝で南アフリカに敗れ、ナイジェリアは準決勝でそのナイジェリアを破り、決勝でPK戦の末、カメルーンに敗れて準優勝となり、両者の対戦はなかった。続く2002年大会では、両者は準々決勝で対戦し、マリではナイジェリアが勝利している。
 そのような最近の対戦成績もあり、スタンドは超満員となった。この試合、34分にガーナ絵の選手がペナルティエリア内でナイジェリアの選手のジャージーをつかみ、主審はためらいながらもペナルティスポットを指差した。このPKをナイジェリアのヤクブ・アイエグベニが決めて先制点、このまま前半が終了かと思われた前半のロスタイム、ガーナはCKから得たチャンスをミカエル・エシアンがヘッドでシュートし、ゴールポストに当たりながら得点となる。
 後半、ガーナは退場で1人少なくなるが、終盤の83分にジュニオール・アゴゴがセンタリングから得点をあげ、これが勝ち越し点となり、ガーナは準決勝進出、ルロワは栄冠へ一歩近づいた。

■フランス人監督同士の戦いで大勝したコートジボワール

 同日の21時30分からタマルではコートジボワールとギニアというフランス人監督同士の対戦になった。この試合の最大のスターはコートジボワールのディディエ・ドログバである。2007年のアフリカ最優秀選手にノミネートされていたがトーゴのラメで行われる表彰式への欠席を理由に落選、マリのフレデリック・カヌーテが最優秀選手に選出されたと報じられたばかりである。グループリーグで敗退した国の選手に最優秀選手の座を奪われ、コートジボワールの選手たちのこの試合にかける意気込みはただならぬものがあった。コートジボワールの攻撃陣は次々とゴールを決める。まず前半は25分にリヨンに所属するカデル・ケイタの1点だけであったが、後半に入り69分にはドログバが怒りのゴール、71分と80分にはドログバのチェルシーのチームメイトでもあるサロモン・カルーが2得点、さらに86分にはニースに所属するバカリ・コネがゴールネットを揺らし、5-0と言うスコアで大勝したのである。準々決勝初日の勝利監督は2人ともフランス人であった。

■チュニジアは延長戦で敗退、ロジェ・ルメールは2度目の優勝ならず

 翌日の2月4日には準々決勝の残りの2試合が行われた。双方ともフランス人監督ではない唯一のカードであるエジプト-アンゴラ戦がまず行われ、エジプトが2-1と勝利する。
 そして準々決勝最後の試合では、4年ぶり2回目の優勝監督を目指すルメールが率いるチュニジアがカメルーンと対戦した。今まで2回、フランス人監督の下でアフリカ王者に輝いたカメルーンであるが、今回の指揮官は70歳のドイツ人、オットー・フィスターである。高齢でありながら、フィスターは2006年にトーゴ代表を率い、ドイツでのワールドカップに出場している。1972年にルワンダ代表の監督になったのを皮切りに、以後、オートボルタ、セネガル、コートジボワール、ザイール、ガーナなどアフリカ諸国での代表監督の経験は比肩するものがいない。ただし、アフリカ王者の経験はいまだなく、そろそろ大輪の花を咲かせたいところである。
 試合はレンヌに所属するカメルーンのステファン・エムビアが先制点をあげ、ジェレミが追加点を上げる。チュニジアもバスティアに所属するシャウキ・ベンサーダのゴールなどで2点差を追いつく。グループリーグ3試合で5失点を喫しているカメルーンの守備の甘さが出た。試合は延長に入り、エムビアのゴールでカメルーンが勝ち越し、ルメールの野望は断ち切られたのである。(続く)

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