第1326回 米国、ベルギーと親善試合(6) ベストメンバーで臨むが、ベルギーとスコアレスドロー

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベルギー戦に起用するベストメンバー

 フランス代表にとって今年最後の試合が11月15日のベルギー戦である。親善試合とはいえ、ベストメンバーで今年知念を締めくくりたいところである。このベストメンバーにローラン・ブラン監督はベテランを選ぶのか、それとも成長著しい若手を選ぶのか、興味深い論点であったが、結論としては若手選手に重きを置いた布陣となった。
 GKはウーゴ・ロリス、DFは右にアントニー・レベイエール、左にエリック・アビダル、中央はママドゥ・サコとアディル・ラミ、MFは守備的な位置にヤン・エムビラ、攻撃的な位置はヨアン・カバイエとマルバン・マルタン、そしてウイングは右にロイック・レミ、左にフランク・リベリー、そして中央の1 トップはカリム・ベンゼマである。

■わずか1月前のボスニア・ヘルツェゴビナ戦との選手の比較

 この布陣を最近では最も重要な試合となった10月11日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦と比較してみよう。ボスニア・ヘルツェゴビナ戦もブラン監督は1トップで両ウイングを配置し、守備的MFは1人と同じフォーメーションであったが、同じポジションで先発メンバーになったのは半数以下の5人しかいない。代表での試合出場数が70を超えるフローラン・マルーダはベンチに追いやられている。このベルギー戦の先発メンバーのうち、代表歴が30試合以上と言うのはアビダル、リベリー、ベンゼマの3人だけである。サコ、マルタン、カバイエはまだ代表歴がひとけたである。

■輝いたベルギーの若手選手

 さて、平日とあって客足は伸びず、5万人の観衆の前でキックオフされた。前回の本連載で紹介したベルギーの若い才能、フランスのベンゼマ、リベリーと言う経験豊かな選手、そしてフランスの若手選手、これらの3つの集団がどのようにプレーするか興味深いところであったが、一番この中で輝いていたのがベルギーの若手選手たちである。11月15日はサッカーの世界ではインターナショナルマッチデーであるが、ベルギー人にとってはキングスデー、すなわちベルギー王室の日である。このメモリアルデーにベルギーの選手が躍動した。
 一方のフランスはホームで久しぶりの勝利をあげたいところであるが、ベンゼマ、ナスリが攻撃の形を作ることができない。リベリーはそれでも前半に角度のないところからシュートを2回放つが、この日が代表デビューとなるベルギーの19歳のGKティボー・クルトワに阻まれる。

■後半の積極的な選手交代もノーゴールに終わる

 前半は両チーム無得点のまま後半を迎える。親善試合と言うことで選手交代は両チーム6人まで可能である。フランスの次の試合は来年2月のドイツ戦、相手との力関係を考慮すれば、戦力をテストするのはこのベルギー戦で済ませておきたいところである。
 前半の終盤に動きの良くないエムビラに代えて、米国戦で代表にデビューしたばかりのマキシム・ゴナロンを投入、そして後半に入ってゴナロンは近距離からシュートを放つがボールはGKの頭上を越え、得点ならず。
 後半に入って半ばを過ぎた頃に、ブラン監督は次々と選手を交代させる。ジェレミー・メネス、マルーダ、フランスリーグの得点王のオリビエ・ジルーを、ベンゼマ、リベリー・レミという3人の攻撃陣に入れ替える。
 しかしそれでもフランスはゴールが遠くノーゴール、フランスの守備陣に関しては中央の守備が安定しており、長い間の懸案事項であったストッパーに関して21歳のサコが務まる見込みが立った。 
 試合は結局0-0のスコアレスドローとなった。ブラン監督にとっては得点を奪うことができずに不満な内容であったが、若手の選手が短い時間であるが積極的に攻撃を継続したことは評価したい。
 フランスはこれで無敗と言う記録を17試合連続に伸ばした。次の代表の試合は2月29日のドイツ戦、強豪相手にどのような布陣で戦うのか興味は尽きない。(この項、終わり)

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