第1337回 上海申花に移籍したニコラ・アネルカとジャン・ティガナ

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■代表チームもクラブチームも振るわない中国

 2011年も間もなく終わろうとしている。今年のアジアは日本での東日本大震災が起こり、タイでの大洪水と災害が相次いだが、年末のフランスサッカーの世界では中国への風が吹いている。
 今年1月にカタールで行われたアジアカップが2011年のサッカー界の幕開けであったが、日本が優勝したこの大会で中国はグループリーグで1勝1分1敗と言う成績でウズベキスタン、カタールに及ばず3位となり、早々に敗退している。その後、2014年ワールドカップブラジル大会の予選は2次予選から参戦、ラオスに連勝して3次予選に進出した。3次予選はシード国(日本、韓国、豪州、北朝鮮、バーレーン)が不在というグループAに入る幸運に恵まれ、初戦はシンガポールに勝利したが、ヨルダンに敗れ、イラクには連敗し、1勝3敗となり、残り2試合で2位のイラクと勝ち点6点差と言う剣が峰に立たされた。11月15日にアウエーでシンガポールに4-0と勝利したが、同日に行われたヨルダン-イラク戦でイラクが勝利したため、勝ち点12のヨルダンとイラクが最終予選進出を決定し、中国はワールドカップへの道が断たれたのである。
 一方のクラブシーンでもアジアチャンピオンズリーグには中国スーパーリーグの1位から4位までの山東魯能、天津泰達、上海申花、杭州緑城の4チームが出場したが、この中でグループリーグを突破したのはガンバ大阪と同じグループEに入った天津泰達だけであり、残り3チームはグループリーグで敗退している。そしてこの天津泰達も決勝トーナメントの1回戦で韓国の全北現代に0-3と敗れている。すなわち中国勢はアジアのベスト8にクラブレベルでも残ることができなかったのである。

■チェルシーのニコラ・アネルカ、上海申花へ移籍

 さて、このように代表チームもクラブチームも低迷している中国サッカーであるが、年末になり、フランスサッカー界をにぎわせている。
 まず、イングランドのチェルシーに所属しているニコラ・アネルカが上海申花への2012年1月からの移籍を発表し、それに引き続きジャン・ティガナが監督に就任することになった。
 アネルカは2010年ワールドカップで当時のレイモン・ドメネク監督に暴言を吐いたことから代表の試合は18試合出場停止となり、実質的に代表からの引退を余儀なくされている。一方、2008年から所属しているチェルシーでは、昨季まではコンスタントに出場していたが、今季は出場機会に恵まれず、前半戦を終えた段階で先発出場3試合、途中交代出場6試合と、半分くらいの試合にしか出場していない。
 そこに目を付けたのが前年度3位から今年度は9位にリーグ順位を落とした上海申花であり、アネルカを週給23万ユーロという中国サッカー史上最高給で獲得し、2012年シーズンの巻き返しを図るのである。

■中国へのパイオニア、クリスチャン・ぺレス

 上海申花は1996年から1997年にかけてクリスチャン・ぺレスが所属している。ペレスはフランスのトップ選手として初めて中国でプレーした選手である。フランス代表としてミッシェル・プラティニの後に背番号10をつけたペレスはパリサンジェルマンで活躍し、33歳で中国に移籍、選手生活の最後を中国で過ごしている。もともと上海はフランスとのつながりが強い都市であったこともペレスを中国へ移籍させるきっかけとなったであろう。

■監督にジャン・ティガナを招聘

 そして上海申花は、監督をクロアチア人のドラゼン・ベセックを更迭し、リヨン、モナコ、フラム(イングランド)、ベジクタシュ(トルコ)、ボルドーで監督の経験のあるティガナを獲得する。ティガナは2010-11シーズンにボルドーの監督となったが7位に終わり1シーズンで監督の座を追われている。ティガナはコーチとしてロジェ・プロポ、GKコーチにマルク・レビと気心の知れたスタッフとともに中国に乗り込む。そしてディディエ・ドログバの移籍も噂されている。
 さて、中国でのフランス人監督といえば、深圳紅鑽に今年初めに就任したフィリップ・トルシエを読者の皆様はよくご存じであろう。しかしトルシエ率いる深圳紅鑽は中国スーパーリーグで最下位に沈み、2部に相当する甲級リーグに降格してしまった。さて、3月12日から始まるリーグ戦でフランス人監督とフランス人FWのコンビはどのような成果を残すだろうか。(この項、終わり)

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