第1367回 世界ランキング2位のドイツに勝利(3) 見事なパスワークでドイツを圧倒

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■17試合連続無敗同士の両国

 ライバル国であるフランスとドイツ、南アフリカのワールドカップでは、かたやチームの内紛によりグループリーグで惨敗、かたや若手選手の活躍で2大会連続の3位と明暗の別れたライン川をはさむ両国であるが、奇しくもフランスもドイツもこの日まで17試合連続で無敗という記録を続けている。

■経験の多い選手の戻った守備陣、初先発のオリビエ・ジルー

 フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、キャプテンマークを左腕につける。DFは右サイドはマチュー・ドビュッシー、左サイドはエリック・アビダル、中央の2人はアディル・ラミとフィリップ・メクセスである。このところ代表経験の浅いメンバーで最終ラインを組むことが多かったが、アビダル、メクセスという代表歴の多い選手が名を連ねた。
 MFは守備的な位置に2人、ヤン・エムビラが右、ヨアン・カバイエが左に入る。攻撃的な位置は3人、右はマチュー・バルブエナ、中央にサミール・ナスリ、左はフランク・リベリーである。
 そして1トップは前回の米国、ベルギーとの連戦で代表にデビューしたばかりのオリビエ・ジルーである。ジルーは米国戦、ベルギー戦とも後半70分ころからの交代出場であり、このドイツ戦が先発デビューとなった。今回のメンバーで唯一初めての代表入りとなったモルガン・アマルフィターノはベンチでラ・マルセイエーズを合唱した。

■エレガントな純白のセカンドユニフォームもデビュー

 そしてデビューが注目されたのは選手だけではない。今回はフランスのアウエーゲーム。フランス代表がアウエーで試合を行うのは昨年9月6日の欧州選手権予選のルーマニア戦(ブカレスト)以来のことである。ルーマニア戦以降、10月にアルバニア戦とボスニア・ヘルツェゴビナ戦、11月に米国戦、ベルギー戦と4試合連続でスタッド・ド・フランスで試合を行ってきた。フランス代表は昨年2月にユニフォームのサプライヤーをアディダスからナイキに変えた際に、セカンドユニフォームは白地に横縞であったが、今回のドイツ戦からはセカンドユニフォームを白一色に変更した。マリンルックではなく、コンセプトはエレガント、参謀型エレガントOLがキーワードとなっている日本の皆様にもわかりやすい新ユニフォームである。この純白のセカンドユニフォームもデビュー戦である。

■先制点はジルー、同じ展開から追加点

 対するドイツも緑色のセカンドユニフォームを着用し、2月29日20時45分、試合はキックオフされる。開始早々からフランスはピンチを迎え、さらにリベリーが負傷でピッチに倒れるなど苦しい立ち上がりとなる。しかし防戦一方だったフランスも次第にリズムをつかみ、10分過ぎからはゲームを組み立てることができるようになった。そして15分には右CKからカバイエがヘディングでゴールを襲うが、地元ベルダー・ブレーメン所属のGKティム・ビーゼが見事なセービングで地元ファンを沸かせる。
 そして先制点はこの日代表初先発のジルーであった。21分、ナスリが、右サイドをオーバーラップしてきたドビュッシーにパス、そしてドビュッシーはスピードに乗ったドリブルからセンタリング、ボールは背番号9のジルーの足元に収まり、ジルーがシュート、6分前に見事なセービングを見せたビーゼも追いつけず、フランスが先制する。
 30分過ぎからはドイツの攻撃陣がフランスゴールをしばしば襲うが、キャプテンマークを付けたロリスの鬼気迫るセービングで得点を許さず、フランスは1点リードのまま後半を迎えた。
 後半に入るとフランスのパスが面白いようにつながるようになる。67分にはバルブエナに代わり、アマルフィターノがピッチに入り、代表にデビューする。69分には1点目と同じパターンで、ナスリから右サイドのドビュッシーに展開、ドビュッシーのセンタリングがジルーへとつながる。ジルーはシュートすることができなかったが、途中出場のフローラン・マルーダが追加点をあげる。
 2点リードのフランスは余裕の戦い、試合終了直前のロスタイムに1点失ったが、強敵ドイツにアウエーで勝利し、18試合連続無敗となったのである。(この項、終わり)

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