第1474回 本年最終戦、イタリアとの親善試合(1) ダニエル・ブラボーの所属したパルマでの初対戦

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今年の最終戦はイタリアとの親善試合

 11月になり、サマータイムの終了もあり、一気に欧州は冬の到来となった。欧州選手権があり、ローラン・ブラン監督からディディエ・デシャン監督へバトンタッチされたフランス代表、ワールドカップ予選ではフィンランドとベラルーシに連勝、そしてアウエーのスペイン戦でも引き分けるというこの上ない成績で2012年の3試合を終えた。11月のインターナショナルマッチデーは11月14日、フランスはこの日にワールドカップ予選がなく、イタリアとパルマで親善試合を行う。

■ワールドカップ、欧州選手権で近年多数の対戦をしている両国

 フランスがイタリアと対戦するのは4年ぶりのことである。4年前の欧州選手権のグループリーグでフランスはイタリアとチューリヒで対戦し、0-2といいところなく敗れている。その前の両国の対戦はこの欧州選手権の予選で同じ組に入り、2006年9月に行われたフランスのホームゲームではフランスが勝利、2007年6月のイタリアでのゲームでは引き分けている。そしてその前の両国の対戦は2006年ワールドカップ決勝、ベルリンでの試合はジネディーヌ・ジダンの頭突きとともに世界のサッカーファンにとって忘れられない試合となったがPK戦でイタリアが勝利している。このように2006年から2008年にかけてわずか2年強の間に4回も公式戦で対戦している。また1998年ワールドカップの準々決勝、2000年欧州選手権の決勝でも対戦している。過去14年間にワールドカップと欧州選手権の決勝を含む決勝トーナメントで3回、欧州選手権のグループリーグで1回、欧州選手権予選で2回対戦しているが、親善試合は久しぶりのことである。

■15年ぶりとなるイタリアとの親善試合、過去50年間、親善試合ではフランスが圧倒

 フランスがイタリアと親善試合を組むのは1997年6月以来15年ぶりとなる。これはワールドカップのプレ大会となるフランストーナメントでの対戦であり、パルク・デ・プランスで行われた試合は2-2のドローであった。 この夏から来年初めにかけてフランスは、ウルグアイ、日本、イタリア、ドイツと強国と親善試合を組んでいるが、ワールドカップ予選の成績とは逆にウルグアイには引き分け、日本には黒星とホームで2試合戦い未勝利である。その中でアウエーのイタリア戦はかなり重い相手である。
 ただ、フランスは過去50年間の親善試合でイタリアを圧倒している。第二次世界大戦前には、両国は頻繁に親善試合で対戦していたが、戦後になるとワールドカップ、欧州選手権が創設されたことにより、親善試合での対戦は少なくなる。これはフランスとベルギーの関係も同様である。イタリアがフランスに親善試合で勝利したのは今から50年前、1962年5月5日のフィレンツェでの対戦が最後である。その後、パリで3回、イタリアで2回対戦しているが、フランスが2勝3分という成績を残している。

■初めてのパルマでの対戦、ダニエル・ブラボーの再来なるか

 今回がフランスとイタリアの37回目の対戦となるが、初めてパルマでの対戦となる。パルマはかつては食品大手のパルマラット社が親会社であり、イタリアの新勢力として1990年にセリエAに昇格するとリーグ上位に定着し、1990年代から2000年代初めにかけてUEFAカップの常連チームとなった。しかし、2003年に発覚した粉飾決算により、会社は破産に追い込まれる。同様にサッカークラブのパルマも主力選手が相次いで流出し、2007-08シーズンはリーグで19位となりセリエBに降格してしまう。
 このクラブに初めてフランス人選手がやってきたのが1996年のことである。モナコのリリアン・テュラム、パリサンジェルマンのダニエル・ブラボーである。パルマでの活躍は5季所属したテュラムの方が印象に残るが、イタリアとの代表での試合という点ではブラボーを忘れてはならない。1982年2月23日のパルク・デ・プランスでの試合、19歳のブラボーは後半の66分、ディディエ・シスに代わり出場する。82分にゴールをあげてイタリア戦2年ぶりの勝利に貢献する。そのブラボーゆかりのパルマで、シンデレラボーイは生まれるであろうか。(続く)

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