第1476回 本年最終戦、イタリアとの親善試合(3) イタリア代表に2人のパリサンジェルマンの選手

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州選手権準優勝後のイタリア

 ディディエ・デシャン監督もユベントスの選手としてプレーしたことのあるパルマのエンニオ・タルディーニ競技場、満員とまではいかないが、2万人の観衆が集まった。これまでフランスはイタリアと36戦し、8勝10分18敗と大きく負け越しているが、この30年間、親善試合では負けておらず、またワールドカップや欧州選手権でもほぼ互角の成績を残しており、1978年以来、フランスはイタリアでは負けていない。
 イタリアは欧州選手権の準優勝チームとなったが、欧州選手権後の最初の試合は8月15日にスイスのベルンで行われた親善試合、なんとこの相手は欧州選手権の準々決勝でも対戦したイングランド。欧州選手権ではイタリアがPK戦で勝利したが、イングランドが2-1と競り勝っている。イタリアがイングランドに敗れたのは1998年ワールドカップのプレ大会として行われた1997年のフランストーナメントが最後である。イタリアはナントでの敗戦以来15年ぶりの黒星となった。9月に開幕したワールドカップ予選ではチェコ、デンマークという強国も所属するグループBに入る。初戦は第4シードのブルガリアとのアウエーゲーム、この試合で2-2と引き分け、チームの状態を危ぶむ声も強かったものの、その後はマルタ、アルメニアに連勝、10月16日にはライバルと目されるデンマークをホームに迎え、3-1と勝利、現在3勝1分でグループ首位である。

■2年前から指揮を執るチェザーレ・プランデッリ監督

 イタリアは、前回優勝国がグループリーグ敗退をするという2010年ワールドカップの後に就任したチェザーレ・プランデッリ監督が、大きく選手を若返らせ、今夏の欧州選手権では準優勝とチームは躍進した。プランデッリ監督は2002年から2004年までこのパルマで指揮を執り、当時中田英寿も所属していたことから日本のファンの皆様はよくご存じの監督であろう。

■アンドレア・ピルロの後継者と目される20歳のマルコ・ベラッティ

 さて、青いユニフォームのイタリアであるが、この日も若い選手がピッチに立った。その代表格は守備的MFのマルコ・ベラッティであろう。今季セリエAに復帰したペスカーラからパリサンジェルマンに移籍してきた選手であり、このフランス戦の直前に20歳になったばかりであるが、リーグ戦、チャンピオンズリーグにも出場し、ファンの期待に十分応えている。また、代表については、先述のイングランドとの親善試合で19歳にしてデビューしている。アンドレア・ピルロの後継者として注目されている選手であるが、秋以降のワールドカップ予選では出場の機会に恵まれなかった。ところが、デンマーク戦で2得点をアシストするなど活躍したピルロの負傷により、大役が回ってきた。

■代表4試合目の25歳のサルバトーレ・シリグ

 そして、もう1人、パリサンジェルマンからイタリア代表入りしているのがGKのサルバトーレ・シリグである。昨夏から大型補強を進めているパリサンジェルマン、今季から加入したズラタン・イブラヒモビッチや先述のベラッティが2期生であるとするならば、1期生は昨夏加入したシリグであり、ハビエル・パストーレである。イタリアのパレルモから移籍してきた若きシリグは昨シーズンはリーグ戦全38試合に出場し、今季もほとんどの試合に出場しており、伝統的に好GKを擁するパリサンジェルマンのファンの期待に応えている。代表については2010年のワールドカップ後最初の試合であるコートジボワールとの親善試合でデビューしているが、ジャンルイジ・ブッフォンという偉大なる正GKの陰に隠れ、これまで代表での試合出場はまだ3試合である。8月15日のイングランド戦には出場したが、現在行われているワールドカップ予選ではまだ出場の機会はない。10月16日のデンマーク戦はブッフォンが故障のためメンバーから外れ、ブッフォンより1歳年上のモルガン・デサンクティスが出場したがイエローカードをもらっている。そのような状況もあり、25歳のシリグがこのフランス戦のゴールを守ることになったのである。(続く)

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