第1567回 フランス代表、南米遠征(6) 同時に王国を訪問するサッカーとラグビー

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ディディエ・デシャン監督体制で成績不振のフランス

 ウルグアイでの初めてのウルグアイとの対戦は、フランスが終始押し気味に試合を進めながら、ヨアン・グルクフが決定的なシュートチャンスを外すなどフランスは無得点に終わり、ウルグアイはルイス・スアレスがゴールをあげてウルグアイは1-0と勝利した。敗れたフランスはこれで今年になってからの戦績は1勝3敗、1勝はワールドカップ予選のグルジア戦であり、ドイツ、スペイン、ウルグアイというワールドカップ本大会に出場してくる強豪国に敗れている。ディディエ・デシャン監督は昨年夏に就任したが、就任以来10戦の戦績は4勝2分4敗となった。

■王国ブラジルに6戦無敗中のフランス

 ウルグアイに敗れたフランスは、ウルグアイ戦の4日後の6月9日にブラジルと対戦するために、ウルグアイ戦後すみやかに移動し、ブラジルのポルトアレグレに向かう。王国と言われるブラジルであるが、このところのフランスはブラジルに対して滅法相性がいい。自国開催のワールドカップの前年に行われたフランストーナメントで1-1と引き分け、1998年のワールドカップ本大会の決勝で対戦し、3-0とフランスが勝利、2001年には日韓ワールドカップのプレ大会となるコンフェデレーションズカップで、両チームともベストメンバーでなかったとはいえ、フランスが勝利する。2004年5月には欧州選手権を控えたフランスがブラジルを招いて親善試合を行い、0-0のドロー、2006年にドイツで開催されたワールドカップでは準々決勝で対戦し、フランスは1-0と勝利する。そして直近の対戦は2011年2月9日、本連載第1214回から第1217回で紹介している通り、フランスが1-0と勝利している。すなわち過去6戦フランスが負けなしであり、フランスの最後の黒星は1992年8月26日にパルク・デ・プランスで行われた親善試合までさかのぼらなくてはならない。

■ラグビーのフランス代表も王国ニュージーランドに遠征

 このようにサッカーの「王国」相手に近年は好成績を残しているフランスであるが、実はフランスのスポーツ界は同時期にもう1つの王国を訪問している。それがラグビーである。ラグビーのフランス代表は2011年ワールドカップで準優勝したが、その後は振るわず、2012年の6か国対抗では4位、そして今年の大会では6か国になって初めての最下位となっている。しかしながら国内における代表チーム、クラブチームの人気はサッカーをしのぐものがある。サッカーのチャンピオンズリーグに相当するハイネケンカップではフランス勢同士の決勝となり、トゥーロンがクレルモンを下し、初優勝している。
 北半球では代表チーム、クラブチームともフランスはいい成績を残しているが、このラグビーの世界で王国の名にふさわしいのがニュージーランドである。1987年に開催された第1回のワールドカップ、そして2年前のワールドカップ、いずれも優勝したのはニュージーランドであり、フランスは決勝で敗れている。このラグビーの王国ニュージーランドを今年の6月はフランス代表が訪問する。 ニュージーランド代表であるオールブラックスとは6月8日、15日、22日と土曜日に3試合テストマッチを行い、平日の6月15日にはオークランド・ブルースと試合を行う。

■2年前のワールドカップ以来の対戦となるオールブラックス戦

 フランスとニュージーランドの対戦は2011年ワールドカップ以来である。このニュージーランドで行われたワールドカップではフランスはニュージーランド相手に予選プールで17-37と大敗し、決勝では7-8と僅差で敗れている。
 フランスが6月にニュージーランドを訪問するのは2009年以来4年ぶりのことである。4年前のニュージーランドツアーでは2回テストマッチを行い、ダニーデンでの第1テストでフランスが27-22と勝利、ウェリントンでの第2テストはニュージーランドが14-10と勝利し、1勝1敗であった。ダニーデンでの勝利以降、フランスは4連敗中である。
 ラグビーとサッカーが同時に王国を訪問するとあって、フランスのスポーツファンの注目は南半球に向いたのである。(続く)

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