第1583回 U-20ワールドカップで初優勝(2) U-19欧州選手権準決勝でスペインにPK負け

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■U-20ワールドカップの予選となる前年のU-19欧州選手権

 これまで18回開催されたU-20ワールドカップでわずか4回しか出場したことのないフランスであるが、通常、前年に行われるU-19欧州選手権がその予選となる。2013年大会の予選に相当するU-19欧州選手権2012年大会は昨年7月上旬にエストニアで決勝大会が行われた。決勝大会というからにはその予選がある。U-19欧州選手権の決勝大会の出場国は開催国以外はわずか7か国であり、フランスはこれまでこの欧州選手権の予選でしばしば敗退している。ところが、前回の本連載で紹介したとおり、フランスは2010年のU-19欧州選手権で優勝しており、2011年大会優勝のスペインとともに、一次予選を免除され、二次予選からの参戦となる。

■一次予選免除のフランス、最終予選全勝で本大会へ

 一次予選を勝ち抜いた26チームとスペイン、フランスからなる28チームが4チームずつ7つのグループに分かれ最終予選を戦う。この4チームの中で首位になったチームだけがエストニアで開催されるU-19欧州選手権に出場できる。フランスはオランダ、ノルウェー、チェコと同じグループに入ったが、見事に3戦全勝し、エストニア行きを決めたのである。

■クロアチア、セルビアに連勝し、U-20ワールドカップ出場権獲得

 エストニアに集まった8チームのうち6チームが翌年にトルコで行われるU-20ワールドカップへの出場権を得る。U-20ワールドカップの開催国のトルコはこのU-19欧州選手権は最終予選でグループ3位となり敗退している。
 フランスはイングランド、クロアチア、セルビアとともにグループBになった。グループAには開催国とはいえ、やや力の劣るエストニアがいただけに悔しいドローとなったが、少なくともこれら3チームのうち1チームから勝ち星をあげたい。フランスは第1戦でクロアチアに3-0と完勝、第2戦でセルビアに1-0と連勝し、早々とU-20ワールドカップ出場の権利を獲得する。

■スペインに2たび追いつき、PK戦で敗れる

 グループリーグ最終戦のイングランド戦ではメンバーを落としたため1-2と敗れたが、決勝トーナメントに進出、2年ぶりの優勝を目指すが、決勝トーナメント1回戦(準決勝)の相手は2年前の決勝を戦い、前年度大会で優勝したスペインである。
 タリンで行われたこの試合、フランスはサミュエル・アンティティが26分に先制する。しかしスペインは後半に同点に追いつき、終盤に逆転する。このまま試合終了かと思われたが、フランスはロスタイムに入り、アンティティが同点ゴール、試合は延長戦になる。延長戦で先手を取ったのはスペイン、延長後半の112分に勝ち越し点をあげる。再びリードを奪われたフランスであるが、117分に主将のポール・ポグバが同点ゴール、3-3となって決勝進出はPK戦で決めることとなったのである。
 PK戦では両チームとも最初のキッカーは主将が務める。先蹴はスペイン、スペインの主将のホセ・カンパーニャが失敗、後蹴のフランスはポグバが決める。優位に立ったかに見えたフランスであるが、スペインは2人目以降は次々と成功、一方のフランスは2人目は成功させたが、この日120分間の試合では2得点をあげているアンティティが3人目のキッカーとなったが失敗、続く4人目も失敗し、5人目を迎える段階でスペインが3-2とリードする。そしてスペインの5人目のキッカー、ジェラール・デウロフェウが決めてスペインが3大会連続の決勝進出を決め、フランスは準決勝敗退となったのである。
 スペインは決勝でもギリシャを下し、連覇する。スペインは19歳以下の若い世代も欧州のトップレベルの地位を継続しており、フル代表同様の力を示す。しかし、フランスはそのスペインに対し準決勝では互角に渡り合った。U-19欧州選手権のリトアニアンほぼ1年後に、トルコでU-20ワールドカップが開催される。若きフランス代表のメンバーはトルコの地でのスペインへの雪辱を誓ったのである。(続く)

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