第1587回 U-20ワールドカップで初優勝(6) ウズベキスタンを下し、準決勝に進出

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州勢が不振のこれまでの欧州開催の大会

 前回の本連載では決勝トーナメント1回戦でトルコに勝利したフランスが準々決勝に進出したことをお知らせしたが、準決勝の相手はアジア代表のウズベキスタンである。ウズベキスタンはここまで危うい試合を勝ち抜き、U-20ワールドカップ出場3回目で初めてグループリーグを突破し、さらに決勝トーナメントでも1回戦でギリシャを下し、アジア勢として4回目の準決勝進出を狙う。
 U-20ワールドカップは今回が19回目の開催となるが、欧州開催は今回が4回目である。この大会はサッカーの普及に力点が置かれていることから第1回大会はアフリカのチュニジア、第2回大会はアジアの日本、第3回はオセアニアの豪州で開催されており、サッカーの本場である欧州や南米での開催は実は少ない。過去3回の欧州開催の大会であるが、1985年のソ連大会はスペインが決勝に進出したもののブラジルに敗れ、1991年のポルトガル大会は開催国ポルトガルがフィーゴやルイ・コスタなどの黄金メンバーを擁して優勝したが、2005年のオランダ大会は欧州勢が準決勝に残ることができず、アルゼンチンが優勝している。

■ベスト8のうち欧州勢はフランスとスペインの2チーム

 このように欧州勢が欧州開催の大会で好成績を残せないが、今大会もまた同様である。欧州からは開催国のトルコを含む7チームが出場したが、このうちグループリーグで敗退したのがイングランドである。7チーム中6チームは決勝トーナメントに進出したが、決勝トーナメント1回戦で欧州勢は次々と敗れる。唯一欧州勢では2回の優勝を誇るポルトガルはガーナに2-3で敗れる。今大会の欧州予選に相当する昨年のU-19欧州選手権の準優勝チームのギリシャはウズベキスタンに1-3と敗れている。クロアチアはチリに敗れ、欧州勢同士の戦いで開催国のトルコが姿を消し、準々決勝に残った欧州勢はフランス以外には決勝トーナメント1回戦でメキシコを下したスペインだけである。

■今大会の台風の目のウズベキスタンと初対戦

 フランスは欧州のプライドをかけて初顔合わせとなるウズベキスタンと対戦する。フランスは1回戦をシリア国境に近い南部のガージアンテプで戦ったが、準々決勝は北に移動し、黒海に臨むリゼでの試合となり、フランスは未知の相手と未知の街で対戦することになった。
 フランスにとって、今大会で旋風を起こしているウズベキスタンに勝利し、準決勝に進出すれば、前回大会に続く成績となる。前回大会には現在代表入りしたグエイダ・フォファナ、クレマン・グルニエ、アレクサンドル・ラカゼット、そして日系三世として日本のファンの皆様ならおなじみのガエル・カクタというメンバーである。今回のメンバーを前回と比べるならば遜色はなく、準決勝進出は十分に可能である。

■フランスがウズベキスタンを圧倒、2大会連続の準決勝進出

 さて、フランスは2大会連続、ウズベキスタンは初の準決勝進出をかけて7月6日に試合は行われた。試合開始早々からフランスの攻撃陣がウズベキスタンのゴールを襲う。開始5分で早くもフランスは5本のシュートを放ち、ウズベキスタンを圧倒する。フランスの先制点は31分、ヤヤ・ソノゴがクロスを受けてゴール、ソノゴは今大会早くも5得点目である。守勢のウズベキスタンは35分にペナルティエリアの中でフランスの選手を倒し、フランスはPKを得る。このPKを主将のポール・ポグバが決めて、フランスは2-0とリードを広げる。さらに43分にはウズベキスタンの選手がペナルティエリア内でハンド、こんどはこのPKをフローリアン・トーバンが決めて3-0と大量にリードして折り返す。
 後半になってもフランスの攻撃はとどまるところを知らず、68分にクルト・ズーマが得点し、4-0となる。対するウズベキスタンはファイルが多く、イエローカード5枚、1人退場となり、まったく攻撃のチャンスがない。結局フランスはウズベキスタンの7倍となる28本のシュートを浴びせ、2試合連続の大勝、2大会連続で準決勝に進出したのである。(続く)

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