第1836回 ブラジル、デンマークと連戦(3) 両チームの監督、主将のライバル関係

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1998年ワールドカップ決勝で主将を務めたディディエ・デシャンとドゥンガ

 ワールドカップ後、いずれも無敗のフランスとブラジル、前々回と前回の本連載では両チームの選手を紹介したが、両監督を忘れてはならない。フランスのディディエ・デシャン監督、ブラジルのドゥンガ監督、2人とも名選手であり、1998年のワールドカップ決勝で両国を率いた主将である。両者が代表チームで対戦したのはこのワールドカップ決勝とその前年に行われたフランストーナメントの2回だけである。デシャン自身はブラジル戦は1992年8月の親善試合にも出場しており、通算成績は1勝1敗1分であるが、最初の対戦で敗れ、2回目の対戦はドロー、そして最後の対戦は唯一のタイトルマッチ、しかもワールドカップ決勝という最高の舞台の中で勝利することができた。スタッド・ド・フランスで高々と優勝トロフィーを掲げた姿はいつまでも色あせることがないであろう。

■ドゥンガとディディエ・デシャンの監督としての戦績

 2人のうち先に代表監督になったのはドゥンガである。2006年のドイツワールドカップ後に監督に就任、2010年の南アフリカ大会まで監督を務め、準々決勝で敗退し、更迭されたが、昨年のワールドカップ後に監督にカムバックした。これまでの戦績は66試合で48勝12分6敗である。
 一方のデシャンは2012年の欧州選手権後に代表監督に就任、ドゥンガが現役引退後、クラブチームを含め監督、コーチ経験がないままで代表監督に就任したのとは対照的で、モナコ、ユベントス(イタリア)、マルセイユとビッグクラブで成果を残して代表の監督に就任している。就任後の戦績は33試合で18勝8分7敗である。ちょうどドゥンガの半分の試合数であり、戦績としては劣るが、監督としての初対決で一泡吹かせたいところである。

■フランスの主将を務めるレアル・マドリッドのカリム・ベンゼマ

 さて、スタッド・ド・フランスには8万人の観衆が集まった。前回の本連載でブラジル代表の選手の中でダビド・ルイスとマルキーニョスが負傷により離脱したことを紹介したが、フランスも正GKのウーゴ・ロリスが負傷のためメンバーから外れた。
 フランスの先発メンバーはGKはスティーブ・マンダンダ、DFは右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ママドゥ・サコー、パトリス・エブラ、MFは低い位置にモルガン・シュナイデルラン、右にムーサ・シッソコ、左にブレーズ・マツイディとなる。FWは右にマチュー・バルブエナ、左にアントワン・グリエズマン、そして中央にカリム・ベンゼマとなる。ロリスの欠場により、誰が主将を務めるかが注目された。最近でロリス以外には昨年10月のポルトガル戦ならびにアルメニア戦でのマツイディ、11月のスウェーデン戦ではバランが主将を務めている。
 今回は経験のある2人ではなくベンゼマに主将を託したのはベンゼマが所属チームのレアル・マドリッド(スペイン)では好調であるからであろう。

■ブラジルの主将を務めるバルセロナのネイマール

 一方のブラジルの先発メンバーであるが、システムは4-2-3-1、GKはジェフェルソン、DFは右からダニーロ、チアゴ・シウバ、ミランダ、フィリペ・ルイス、MFは守備的な位置にエリアスとルイス・グスタボ、攻撃的な位置には右にウィリアン、中央にオスカル、左にネイマール、そして1トップにはロベルト・フィルミノが入る。11人中ブラジル国内のチームに所属する選手は2人だけであり、9人は欧州組となった。そしてチアゴ・シウバはパリサンジェルマン所属である。ブラジルの主将を務めるのはネイマールである。
 ネイマールはスペインのバルセロナに所属しており、一方のフランスの主将のベンゼマはレアル・マドリッドの所属、スペインのライバルチームに所属する2人が主将として対決する。監督、主将のライバル心がこの大戦を盛り上げるのである。(続く)

このページのTOPへ