第1837回 ブラジル、デンマークと連戦(4) ブラジル、苦手意識を一掃する快勝

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■チーム最年少で最多出場歴、主将を務めるネイマール

 前回の本連載の最後ではフランスとブラジルの両チームの主将を紹介したが、フランスの主将のカリム・ベンゼマもブラジルのネイマールもこの先発メンバーの中で最多の代表出場歴を誇っている。フランスでこの日まで代表77試合出場のベンゼマに次ぐ出場歴があるのは、パトリス・エブラ(64試合)、バカリ・サーニャ(45試合)、マチュー・バルブエナ(44試合)、マツイディ(32試合)が30試合以上出場している。ブラジルに目を転じると60試合出場経験のあるネイマールに続くのはオスカル(44試合)、チアゴ・シウバ(53試合)、ルイス・グスタボ(31試合)となり、4人だけが30試合以上の出場歴がある。
 ベンゼマは27歳、フランスの先発メンバーでベンゼマよりも年長なのはエブラ(33歳)、バカリ・サーニャ(32歳)、マチュー・バルブエナ(30歳)、スティーブ・マンダンダ(29歳)の4人であり、ベンゼマは若くして代表キャリアを積んでいると言える。さらに注目すべきはブラジルのネイマールである。ネイマールは若干23歳であり、チーム最年少(ダニーロ、オスカル、ロベルト・フィルミノが同じ23歳)である。最年少の選手が最多出場であり、主将を務めているというところにネイマールのすごさがあると言えるであろう。

■ストッパーとして定着した21歳のラファエル・バラン、2試合連続ゴール

 そしてピッチ全体を見渡せば、ネイマールより若い選手が1人だけいる。それがフランスのストッパーの一角を務めるラファエル・バランである。バランは21歳にして代表出場歴17試合、そしてストッパーをママドゥ・サコーと組むが、このコンビはすでに7試合で組まれており、ディディエ・デシャン体制になってからローラン・コシエルニーとサコーのコンビと並ぶ最多の組み合わせである。サコーもまだ25歳、ローラン・ブラン、マルセル・デサイーといったビッグネームの後人材難に悩むフランス代表のストッパーの将来も明るくなってきた。
 さて、スタッド・ド・フランスには8万人の観衆が集まった。先制点を奪ったのはフランスである。21分に左CKをバルブエナが蹴る。ブラジルの守備陣はファーポストを警戒していたが、ニアポストに飛び込んできてヘディングで合わせたのはバランであった。バランはこれが代表での2得点目、昨年11月18日のスウェーデン戦に次いで2試合連続のゴールとなった。DFの選手の2試合連続ゴールは1989年から1990年にかけてのブラン以来のことである。

■ブラジル、3点を奪って逆転勝利

 しかし、フランスにとってこれが唯一の得点となる。中盤のポール・ポグバの欠場が次第にフランスに重くのしかかり、ブラジルに中盤を支配される展開となる。40分には左サイドでフィルミノとオスカルがワンツーパスで前進、最後はオスカルがシュートし、同点に追いつく。
 後半に入ると57分にエースのネイマールがウィリアンからのパスを受けて強烈なミドルシュート、マンダンダがセーブすることができず、フランスは逆転を許す。ネイマールは代表61試合目にして43ゴールとハイペースで得点を重ねている。さらに69分にはルイス・グスタボがダメ押し点となる3点目をCKからのヘディングで決め、ブラジルがフランスを3-1と下した。

■ショッキングな敗戦となったフランス

 主力選手の欠場があったとはいえ、フランスにとっては痛い敗戦となった。まず、ワールドカップ以降の無敗記録が途絶え、ワールドカップのドイツ戦以来の敗戦となった。
 また、ブラジルに対してフランスは相性は悪くなかったが、今回の敗戦はショッキングである。フランスが国内でブラジルに敗れたのは1992年8月以来23年ぶりのことである。フランスが3点を奪われたのは2013年の南米遠征のブラジルとの親善試合(0-3でフランスの負け)以来のことである。本拠地、スタッド・ド・フランスでの3失点は1999年6月のロシア戦以来2回目のことである。
 一方のブラジル、これまでにスタッド・ド・フランスでフランスと3試合戦ったが、今までは無得点、今回の3得点はフランスに対する苦手意識を一掃するかもしれないのである。(続く)

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