第1879回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(6) 強豪ぞろいの決勝トーナメントの山、準々決勝でドイツと対戦

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■来年のオリンピックの出場権を獲得したフランス

 グループリーグ最終戦のメキシコ戦、決勝トーナメント初戦の韓国戦でようやく目を覚ましたフランス、昨年の男子ワールドカップと同様に準々決勝に進出した。
 韓国戦の翌日、イングランドがノルウェーに勝利し、フランスはドイツと共に来年のリオデジャネイロオリンピックの出場権を獲得した。今回のワールドカップの欧州からの出場国のうち、上位3チームにオリンピックのチケットが渡されるが、決勝トーナメントに残った欧州勢はドイツ、スウェーデン、フランス、オランダ、ノルウェー、イングランド、スイスの7チーム。このうち、ドイツ、フランス、イングランドが準々決勝進出、スウェーデン、スイス、ノルウェーが1回戦で敗退している。イングランドはオリンピックに出場する資格がないため、試合未消化のオランダ-日本戦を前に、ドイツとフランスは欧州勢の上位3位の座を確保した。フィリップ・ベルジュロー監督は選手として1984年欧州選手権で優勝、コーチとして1998年ワールドカップで優勝しているが、オリンピックには縁がなく、来年のオリンピックでも指揮を執るのであれば、自身にとって初めてのオリンピックである。

■世界ランキングの1位から3位までが片側の山に集中した決勝トーナメント

 もちろんオリンピック出場は大きな目標であるが、カナダでのワールドカップでのフランスの狙いはメダル獲得、さらには決勝戦を戦い、優勝することであろう。
 グループリーグのコロンビア戦でまさかの敗戦を喫したフランスであるが、あの敗戦がグループリーグの2位通過を狙うための伏線だったという声も存在する。なぜならば、グループFを首位で通過したとしても決勝トーナメント1回戦はグループEの2位通過チームであり、3位通過のチームとは対戦できない、ということがまず1点。そして第2点としてはグループFを首位で通過した場合、決勝トーナメントは世界ランキング首位のドイツ、世界ランキング2位で現体制になってから2敗を喫している米国が同じ山に存在する。ドイツも米国もフランスよりも早く日程を消化し、すでにグループ首位を確定している。これにフランスも続き、世界ランキングの1位から3位までがトーナメントの片側の山に集中してしまった。そしてもう一方の山には世界ランキング4位の日本、7位のブラジル、開催国のカナダがグループリーグを首位で突破してきたが、バランスの悪さは否めない。

■圧倒的にドイツが優勢だった1990年代

 そのフランスの準々決勝の相手はドイツである。男子同様、フランスとドイツのライバル関係は特別なものがある。1990年のドイツ統合とほぼ機を同じくして、女子サッカーの世界ではワールドカップが始まった。フランスがドイツと初めて対戦したのは1991年3月28日のことである。パリ南方のアントニーで対戦した。この時すでにドイツは欧州チャンピオンであり、フランスは0-2と完敗する。現在のドイツ女子代表の監督であるシルビア・ニードもこの試合に出場し、得点をあげている。その後もドイツが優勢で、1990年代は結局フランスは4戦して4敗、中には0-7という大敗もあり、実力の違いは明白であった。

■前回のワールドカップでもグループリーグ最終戦で対戦

 ようやくフランスはドイツに対して初勝利をあげる日がやってきた。2003年4月17日、パリ近郊のオゾワール・ラフェリエールでの試合、65分にカンディ・エルベールが得点をあげ、1-0という最少得点でフランスはドイツ戦初勝利をあげる。
 2001年以降のフランスとドイツは互角の成績を残しており、3勝2分3敗という戦績である。本連載第1268回でも紹介した通り、前回のワールドカップでもフランスとドイツはグループリーグで対戦している。ただし、この時は両チームとも決勝トーナメント進出を決めた後のことであり、敗れたフランスが決勝トーナメントの組み合わせで有利になり、準々決勝でイングランドを下し準決勝に進出、逆に勝利したドイツは準々決勝で優勝した日本と対戦し、敗れ去ったのである。(続く)

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