第1878回 女子も準々決勝でドイツに敗れる(5) 韓国にも大勝、完全に復調したフランス

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■決勝トーナメントの舞台はフランス語圏のモントリオール

 第2戦でコロンビアに敗れながらも、グループFを首位で通過したフランス、首位通過となったことで、決勝トーナメントは1回戦、準々決勝、準決勝とモントリオールで試合を行うことができる。1976年にオリンピックを開催したモントリオールはカナダではトロントに次ぐ第二の都市であるが、フランス語圏であり、世界でパリに次いで2番目にフランス語が話されている都市である。したがって、多くのフランス系住民の声援を受けて試合を行うことができる。これがフランスが首位突破にこだわった理由の1つであると言えるであろう。

■グループEで2位に入った韓国

 今大会は4チームずつの6グループに分かれてグループリーグを行い、各グループ上位2チームと3位6チームの中で成績の良かった4チームが決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメント1回戦でグループAからグループDまでの首位チームは3位から勝ち上がったチームと戦うが、グループEとグループFの首位チームは2位チームと対戦する。さらにグループA、C、E、Fの2位チームは決勝トーナメント1回戦は2位チームと対戦する。
 フランスはグループFの首位であるため、決勝トーナメント1回戦はグループEの2位との対戦となる。グループEは最終戦が6つのグループの中で最も遅く行われた。このグループはシード国のブラジルの力が図抜けており、2戦終えたところでブラジルが2勝、コスタリカが2分、スペイン、韓国が1分1敗となっていたが、最終戦でスペインを逆転で2-1と下した韓国が2位に滑り込む。
 韓国の女子サッカーは世界からは遠く、これまで2003年にワールドカップに出場したことがあるだけであり、この時は1勝もできずグループリーグで姿を消している。すなわち、今回のスペイン戦が韓国にとって初めての本大会での勝利となる。チェルシーに所属する池笑然、主将の趙昭賢が主力であるが、本大会で初勝利してからあっという間に勝ち進んだ2002年の男子の再現をファンも期待しているであろう。

■ルイーザ・ネシブが復帰した先発メンバー

 不気味な存在である韓国に対し、フィリップ・ベルジュロー監督はメキシコ戦と1人だけ入れ替えたメンバーで臨む。メキシコ戦の先発から外れていたルイーザ・ネシブがアメル・マジリに代わって左サイドのMFに入る。GKサラ・ブハディ、DFは右からジェシカ・ウアラ、ローラ・ジョルジュ、ウェンディ・ルナール、ロール・ブロー、MFは右からエロディ・トミ、カミーユ・アビリー、アマンディーヌ・アンリ、ネシブ、2トップはマリー・ロール・デリーとユージェニ・ルソメという布陣である。

■マリー・ロール・デリーとユージェニ・ルソメの活躍で3-0と勝利

 この試合もメキシコ戦と同じような展開になった。4分に左サイドのロール・ブローとネシブがワンツーパスで前進、ブローが上げたクロスにマリー・ロール・デリーが合わせて至近距離からシュート、韓国のGKはセーブすることができず、フランスは開始早々の先制点を奪うことに成功した。デリーはメキシコ戦でも開始34秒でゴールを奪っており、開始4分でのゴールはこの時点で4番目に早い時間帯での得点となる。先制点を奪ったフランスはすかさず追加点を狙う。8分にはユージェニ・ルソメからのパスをトミが決めて2-0とリードを広げる。
 後半に入っても立ち上がりにフランスは得点を奪う。48分にルソメのパスを受けたデリーが得点を決め、3-0とする。試合終盤にはこれまで出場機会に恵まれなかった選手も交代出場させるなど余裕のある試合運びで、そのまま3-0でフランスが勝利、ベスト8に進出する。
 固さの見られたイングランドとの初戦、まさかの敗戦となったコロンビア戦から、メキシコ戦を転機にチームが欧州予選時の輝きを取り戻した。特に2トップのデリーとルソメの連携がよく、デリーは今大会のうち先発出場したメキシコ戦と韓国戦の2試合で3得点と好調であり、準々決勝以降が楽しみである。(続く)

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