第1911回 ポルトガル、セルビアに連勝(6) ブレーズ・マツイディの2ゴールでセルビアに勝利

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■来年の欧州選手権に向けて建設された4競技場

 セルビアとのホームゲームはボルドーで行われる。フランスがスタッド・ド・フランス以外の競技場でホームゲームを行うのは今年3月29日のサンテチエンヌのデンマーク戦以来のことである。これまでのフランスはボルドーで4回試合を行ったことがあるが、今回の試合は来年の欧州選手権に向けて新たに建設されたスタジアムで行うことになる。1998年のワールドカップで使用された競技場の多くが来年の欧州選手権でも使用されるが、それ以降に建設された競技場で使用されるのがリールのピエール・モーロワ競技場、リヨンのルミエール競技場、ニースのアリアンツ・リビエラ、そしてこのボルドーのマットミュット・アトランティックの4会場である。昨年6月にニースでパラグアイ戦、リールではジャマイカ戦を行っているが、ボルドーはそれに次ぐお披露目の試合となる。

■保険会社のマットミュットが命名権、初めての代表戦

 ボルドーの新競技場は今年5月に完成、当初はボルドー新競技場という名称であったが、9月にフランスを代表する保険会社であるマットミュットが命名権を獲得した。日本人であればフランスで自動車を保有した際に、まず保険はマットミュットを選ぶであろう。
 マットミュット・アトランティックがこれまでに42,000人の観衆で満員札止めとなったことは2回あるが、いずれもラグビーの試合であり、サッカーの試合ではこけら落としとなった昨季最終節のボルドー-モンペリエ戦が最高の観客数であり4万人である。今回の代表の試合でそれを上回る41,500人の観衆が集まった。

■ジネディーヌ・ジダンのデビュー戦以来21年ぶりのボルドーでの代表戦

 ボルドーではこれまでにフランス代表が4回試合を行っているが、最後の試合は今から21年前、1994年8月17日のチェコ戦である。この試合では当時ボルドーに所属していたジネディーヌ・ジダンが代表にデビューし、いきなり2ゴールをあげるという伝説的な活躍をしている。こけら落しの試合にはそのジダンが駆けつけ、キックオフを行っている。
 今回のメンバーのうち、ボルドーに所属している選手はいないが、前回の本連載で紹介した通り、マチュー・バルブエナはボルドーの下部組織で育ったほか、また先発メンバーに名を連ねているブノワ・トレムリナスは現在はスペインのセビリアに所属しているが、ボルドーのあるジロンド県で生まれ、ボルドーの下部組織で育ち、ボルドーでプロ契約、ほぼ20年間、ボルドーに所属し、フランスリーグ、フランスカップ、リーグカップの三冠をボルドーの一員として獲得している。試合前の選手紹介でひときわ大きい声援を浴びたもの当然であろう。

■ブレーズ・マツイディが大活躍で2ゴール

 そしてこの試合、主将はGKのウーゴ・ロリスが務める。ポルトガル戦で主将を務めたブレーズ・マツイディがこの試合、大活躍をする。フランスは立ち上がりから主導権を握り、9分には右サイドでモルガン・シュナイデルラン、バカリ・サーニャがつなぎ、クロスをマツイディがヘディングで決める。さらにフランスはセルビアを攻め続け、25分には左サイドからのCKをバルブエナが蹴る。このCKをセルビアの選手がクリアしたが、そこにいたのがマツイディである。約20メートルのボレーシュートが見事にネットを揺らし、フランスは2-0とリードする。マツイディは代表37試合目で通算7ゴールとなる。そして昨年6月のジャマイカ戦以来の1試合2得点となった。
 対するセルビアは劣勢であったが、39分にカウンターアタックからミトロビッチが得点をあげ、1点差に迫る。セルビアは2006年8月16日にチェコと対戦したのが初めての試合であり、この試合が100試合目である。記念すべき試合でなんとかフランスに追いつき、勝ち越したいところである。
 後半はフランスの攻撃は前半ほど鋭くはなくなったが、フランスは2-1というスコアでセルビアを下し、ポルトガル戦に続いて連勝したのである。(この項、終わり)

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