第1921回 アルメニア、デンマークに連勝(2) 予選敗退のアルメニアに対し、快勝したいフランス

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■負傷者に代わりルカ・ディーニュとアレクサンドル・ラカゼットを追加招集

 前回の本連載は10月に行われるアルメニア、デンマークとの親善試合に向けたメンバーを紹介した。過去5年間フランス代表の試合から遠ざかっていたラッサナ・ディアラをカムバックさせたことが大きな驚きであったが、その後も驚きは続いた。
 試合の行われる10月はシーズン中であり、メンバーを発表してから負傷で戦列を外れる可能性もある。左サイドのDFであるブノワ・トレムリナスはスペインのセビリアに所属しているが、バルセロナとの試合で負傷し、代表入りを辞退、代わりにルカ・ディーニュがイタリアのローマから呼び出された。また、9月の試合ではメンバーで外れており、今回復帰したポール・ジョルジュ・ヌテップはレンヌに所属しているが、同じく合宿直前に行われたモナコとのリーグ戦で左ひざを負傷、代表から離脱することになった。ヌテップに代えて、リヨンに所属し、今季初ゴールを決めたばかりのアレクサンドル・ラカゼットを追加招集することになった。
 デシャン監督の判断基準として、リーグ戦(所属クラブ)でのパフォーマンスの良い選手を選ぶ、という点があるが、ラカゼットはようやく初ゴールをあげたのに対し、同じフランスリーグのニースに所属するハテム・ベンアルファはすでに6ゴールをあげている。しかも、今回の連戦のうちホームで戦うアルメニア戦はニースで開催されるが、ベンアルファにとってはご当地場所とならなかった。

■来年の欧州選手権の会場となるニースのアリアンツ・リビエラアリーナ

 その開催地のニースのアリアンツ・リビエラアリーナは2年前にオープンし、昨年6月にもパラグアイと親善試合を行っている。地方都市で2年連続してフランス代表の試合を開催するのは珍しいことであるが、これは来年に行われる欧州選手権の開催地であることが大きな理由である。1998年のサッカーワールドカップ、2007年のラグビーワールドカップに次ぐビッグイベントとなるサッカーの欧州選手権、ニースはそれまでの2つのスポーツイベントを開催しておらず、そのための準備であろう。

■予選敗退の決まったアルメニア、予選敗退の危機にあるデンマーク

 10月の親善試合の相手のアルメニアとデンマークはいずれも欧州選手権予選のグループIに所属するチームである。各グループによるリーグ戦方式の日程は10月で終了する。10月を迎えた段階でアルメニアとデンマークは予選の残り試合数が1、他の3チーム(ポルトガル、アルバニア、セルビア)は2試合残している。この時点の順位は首位ポルトガル(勝ち点15、残り試合2)、2位デンマーク(12、1)、3位アルバニア(11、2)、4位アルメニア(2、1)、5位セルビア(1、2)となっており、アルメニアとセルビアはすでに予選敗退が決定している。
 8日にはポルトガル-デンマーク戦、アルバニア-セルビア戦が行われる。この日の結果によっては上位3チームすべてに本戦出場権獲得の可能性がある。また、消化試合が多いデンマークは8日の結果によっては、欧州選手権行きのチケットであるグループ内の上位2チームあるいは各グループ3位の最上位チームに入ることができず、プレーオフ出場にまわる可能性もある。

■現在のフランスの課題は失点の多さ

 そういう点ではフランスにとってはモチベーションが十分ではない相手との対戦が続く可能性もある。少なくとも予選敗退が決まっているアルメニア相手には快勝しておきたいところである。
 予選が免除され、標的が来年の本大会であるフランスにとって快勝というのは点差だけではない。フランスの課題は失点の多さである。昨年のワールドカップまでは堅守を誇っていたフランスであるが、今年になってからは6試合で9失点、2014年は15試合で7失点であったから、1試合当たりでおよそ3倍の失点を許していることになる。守備陣、特にストッパーにだれを起用するかは大きな関心事であろう。(続く)

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