第1934回 世界王者のドイツと対戦(4) ドイツに快勝、テロ事件の舞台となる

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■負傷者を抱えるドイツ、苦心のメンバー構成

 前回の本連載でフランスの先発メンバーを紹介したが、対するドイツはGKはマヌエル・ノイアー、DFはアントニオ・リュディガー、ジェローム・ボアテンク、マッツ・フンメルス、MFはマティアス・ギンター、サミ・ケディラ、ヨナス・ヘクター、バスティアン・シュバインシュタイガー、FWはトーマス・ミューラー、マリオ・ゴメス、ユリアン・ドラクスラーという布陣になった。負傷者を抱えていることから若手の起用が目立ち、通常はMFのリュディガーをDFで起用するという苦しい選択もうかがえる。
 フランスの先発メンバーのうち、昨年のワールドカップのドイツ戦に出場していたのはウーゴ・ロリス、パトリス・エブラ、ラファエル・バラン、ポール・ポグバ、ブレーズ・マツイディ、アントワン・グリエズマン、オリビエ・ジルーの7人である。一方のドイツはノイアー、フンメルス、ボアテンク、ケディラ、シュバインシュタイガー、ミューラーの6人である。

■退屈な試合展開、前半途中に爆発音

 親善試合としては異例なことであるが、フランスのフランソワ・オランド大統領が臨席、そしてドイツからはフランク・ヴァルター・シュタインマイヤー外相が隣に座る。
 試合はドイツのキックオフで始まったが、静かな展開となった。最初にチャンスをつかんだのはフランス、5分にグリエズマンがCKを蹴るが、ケディラにクリアされる。その後もフランスが優勢に試合を進めるがシュートチャンスには結びつかない。
 そして前半17分、左サイドでボールをキープしていたエブラが突然、プレーの速度を落とす。爆発音を聞いてエブラはいったんプレーを中断しようとしたが試合はそのまま続行、フランスが攻めるが、なかなかゴール前までボールを運ぶことができない。実に35分になるまで両チームシュートがないという試合になった。この試合初めてのシュートは35分のドイツのミューラー、しかし枠をとらえることなく、試合は動かない。

■前半のインジュアリータイムにオリビエ・ジルーが先制点

 ファンにとっては退屈な試合になった。昨年のワールドカップではドイツが1点を奪った段階で試合が終わってしまったが、攻めるフランス、守るドイツという構図が成立した。この試合は攻めるフランスが攻める形を形成できず、ファンのフラストレーションがたまる。先ほどの爆発音も不満を持ったファンが爆竹を鳴らしたくらいに思っていたのであろう。そして次のチャンスもドイツに訪れる。43分にミューラーが決定機をつかむがロリスが防ぐ。
 ところが、先制点を奪ったのはフランスであった。前半のインジュアリータイム、ポグバのロングフィードをマルティアルがつなぎ、最後は中央のジルーがノイアーの守るゴールネットを揺らす。このゴールはフランス代表にとって通算1400得点となるメモリアルゴールとなった。またアシストをしたマルティアルは代表5試合目にして3アシストを記録したことになる。場内は数多くの三色旗が打ち振られる。

■途中交代のアンドレ・ピエール・ジニャックが追加点

 後半に入ったところでフランスはメンバー交代はなく、後半も前半と同じようなリズムで試合は展開する。最初のチャンスを見事に得点に結び付けたフランスは、後半もドイツお家芸を奪うような試合を展開する。53分にグリエズマンがゴールを決めるが、オフサイドでノーゴール。
 ドイツは次々と選手を代えるが、フランスの選手はウォーミングアップをしているものの、メンバー交代は告げられない。最初のメンバー交代は68分、ジルーに代わってアンドレ・ピエール・ジニャックがピッチに入る。ついに欧州以外のクラブに所属する選手が初めてフランス代表として試合に出場した。そして69分にはマルティアルに代わってキングスレー・コマンが代表デビュー、さらに80分にはグリエズマンに代わってハテム・ベンアルファが登場、これで注目の3人がすべてピッチの上に立った。そして86分、マツイディのクロスをジニャックが決める。
 試合は2-0とフランスが快勝するが、爆発音は観客の爆竹ではなくスタジアムの外でのテロであった。緊急事態を知らされたオランド大統領は試合途中で大統領府に戻ったが、多くのファンは試合後に事件を知らされ、出口を封鎖されたファンはやむなくピッチを経由して恐怖の中で家路についたのである。(この項、終わり)

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