第1933回 世界王者のドイツと 対戦(3) ワールドカップ王者を倒したいフランス

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■主力抜きでも楽観的なディディエ・デシャン監督

 攻撃陣にハテム・ベンアルファを3年ぶりに招集、19歳のキングスレー・コマンを初招集、そしてフランス代表の歴史で初めて欧州以外のクラブに所属する選手としてアンドレ・ピエール・ジニャックを復帰と攻撃陣を大幅に入れ替え、カリム・ベンゼマ、マチュー・バルブエナという主力抜きで戦うドイツ、イングランドとの連戦、指揮官のディディエ・デシャン監督は楽観的である。

■2010年大会のチャンピオンチームのスペインには1分1敗

 初戦の相手のドイツは昨年のワールドカップの優勝チームである。フランスがワールドカップのチャンピオンチームと戦うのは2010年大会の優勝チームのスペインと2014年のワールドカップ予選で対戦して以来のことである。この時はまず2012年10月16日にマドリッドで行われた試合は1-1のドロー、そして2013年3月26日のスタッド・ド・フランスでの対戦では0-1と敗れている。

■決勝で敗れたイタリア相手に2か月後は快勝

 また、2006年大会の優勝チームのイタリアとも対戦している。ワールドカップ直後に始まった2008年の欧州選手権予選で同じ組に入り、決勝から2月後の9月6日に行われたスタッド・ド・フランスでの試合では3-1とフランスが勝利、翌年の2007年9月8日にミラノで行われた試合もスコアレスドローに持ち込んでいる。さらに本大会でも同じグループリーグになり、2008年6月17日にチューリッヒで行われた試合ではイタリアが2-0と勝利している。
 そして2002年大会のタイトルホルダーのブラジルとも対戦し、2004年5月20日にスタッド・ド・フランスでの親善試合はスコアレスドロー、そして2006年のワールドカップの本大会でも準々決勝で対戦し、ティエリー・アンリの一撃でフランスが勝利している。
 このように見てみると、フランスはワールドカップの優勝チームとコンスタントに対戦し、互角の成績を残している。
 以前は1990年の西ドイツ、1986年のアルゼンチンのようにワールドカップの大会前にフランスと対戦して敗れたチームがワールドカップ大会で優勝するということもあったが、現在はワールドカップ優勝チームがフランス相手に苦戦するという構図になっている。
 このような近年の成績もデシャン監督の自信の源泉になっているのであろう。

■層の厚さを感じさせるフランスの先発メンバー

 デシャン監督がピッチに送り出したメンバーは次の通りである。フランスの布陣はGKは主将を務めるウーゴ・ロリス、DFは右からバカリ・サーニャ、ラファエル・バラン、ローラン・コシエルニー、パトリス・エブラ、MFは中央の低い位置にラッサナ・ディアラ、右にポール・ポグバ、左にブレーズ・マツイディ、FWは右にアントワン・グリエズマン、左にアントニー・マルティアル、中央にオリビエ・ジルーである。
 中盤より低い位置は10月のアルメニア戦とあまり変わらず、ストッパーに負傷のママドゥ・サコーに代えてコシエルニーを起用し、バランとコンビを組ませる。また10月は負傷でメンバーから実質的に外れていたポグバが復帰したのは心強い。また注目の攻撃陣は冒頭の3人はいずれもベンチスタート、ジルーがベンゼマの代役、マルティアルがバルブエナの代わりを務めることになる。
 層の厚さを考えればデシャン監督が自信を持つのも無理はないであろう。
 2006年大会は決勝でイタリアに敗れたが、そのイタリアには直後に行われた試合で勝利しており、現在のワールドカップのタイトルホルダーであるドイツには準々決勝で0-1と敗れているが、ブラジルでは勝負に徹して勝利をものにしたドイツに対し、今回のスタッド・ド・フランスでは地元ファンの前で見事な勝利をあげたいところである。
 これまで数多くの死闘を演じてきたドイツとの一戦、スタッド・ド・フランスは満員の観衆で膨れ上がる。そしてその中にはフランソワ・オランド大統領の姿も見える。
 8万観衆の前で始まった試合には誰しもが信じたくないようなシナリオが待っていたのである。(続く)

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