第1996回 オランダ、ロシアに連勝 (1) 守備陣を支えるラファエル・バランとポール・ポグバ

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■メンバーエントリー前の最後の国際試合となるオランダとロシアとの連戦

 前回の本連載は2月から3月にかけて行われたラグビーの6か国対抗のフランス代表の模様について紹介してきたが、6か国対抗が閉幕し、サッカーの代表チームがいよいよ今年初めての試合を行う。3月下旬のインターナショナルマッチデー、フランスは25日にオランダとアウエー(アムステルダム)で戦い、29日にロシアとホーム(スタッド・ド・フランス)で戦う。
 今年の代表チームの目標は6月に行われる欧州選手権、32年ぶりの地元開催ということもあり、ディディエ・デシャン監督など首脳陣はこの2016年をターゲットにチーム強化を行ってきた。その欧州選手権は6月10日に開幕するが、選手エントリーの締め切りは5月12日である。すなわち、選手決定の前に行われる最後の試合がこの3月の連戦となる。勝敗よりも選手選考という点で注目が集まった。

■ウーゴ・ロリスとスティーブ・マンダンダに次ぐ第3のGK

 今回は守備陣のメンバー争いを紹介しよう。
 まずGKであるが、主将を務めるウーゴ・ロリス(イングランド・トットナム・ホットスパー)と2番手のスティーブ・マンダンダ(マルセイユ)は当選確実であり、問題は第3GKである。一方、試合に出場する可能性が極めて低い第3GKはチームのまとめ役的なベテラン、さらには試合出場がかなわずともチームの規律を乱すことのない人格者的な選手を選ぶことが多い。そういう観点から28歳のブノワ・コスティル(レンヌ)がこのところの代表戦では選出されてきた。しかし、コスティルは所属チームではコンスタントに出場しているものの、代表ではいまだに出場経験がない。またロリスは29歳、マンダンダは30歳であり、3人の年齢はほぼ同じである。欧州選手権以降のことを考えるのであれば、パリサンジェルマンからスペインのビジャレアルにレンタルされている23歳のアルフォンス・アレオラという可能性もあるだろう。

■ラファエル・バランが中心となる最終ライン

 DFについては右サイドはマチュー・ドビュッシー(ボルドー)は4年前の大会でもレギュラーで、バカリ・サーニャ(イングランド・マンチェスター・シティ)、クリストフ・ジャレ(リヨン)がそれに続く。ドビュッシーは2月中旬に負傷しているため、3月の連戦ではメンバーから外れるが、気になるのはこの3人の年齢、ドビュッシーが30歳、サーニャが33歳、ジャレが32歳であり、若手の起用も検討しなくてはならない。左サイドは34歳のパトリス・エブラ(イタリア・ユベントス)と22歳のルカ・ディーニュ(ASローマ)が抜き出ている。
 また、数年前は人材難であったストッパーであるが、ラファエル・バランという22歳の若者が歴史を変えた。レアル・マドリッド(スペイン)に所属するバランとコンビを組むのはアーセナル(イングランド)で安定性を増してきたローラン・コシエルニーか同じイングランドのリバプールに所属するママドゥ・サコーである。そして4人目のストッパーはスペインのバルセロナに所属するジェレミー・マチューかあるいはイングランドのマンチェスター・シティ所属のエリアカン・マンガラが争うことになる。32歳のマチューか25歳のマンガラか、デシャン監督の悩みどころである。

■若きリーダー、ポール・ポグバの率いる守備的MF

 MFについては、23歳のポール・ポグバ(イタリア・ユベントス)の出現はフランスの財産となった。ポグバ以外の守備的MFはパリサンジェルマンのブレーズ・マツイディ、イングランドのクリスタルパレスのヨアン・カバイエが務めている。
 注目はラッサナ・ディアラであろう。かつてクロード・マケレレの再来としてレアル・マドリッドにも所属したが、ロシアのクラブに移籍し、経営の混乱に巻き込まれ、2014-15シーズンは無所属となる。今季はマルセイユに所属する。所属チームが決まり、昨年10月には5年ぶりに代表に復帰しており、11月の試合にも出場している。そして2014年のワールドカップに出場したモルガン・シュナイデルランはイングランドのサウサンプトンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した今季はまだ代表から声はかかっていないが、マンチェスター・ユナイテッドではコンスタントに試合に出場しており、忘れてはならない存在である。
 そしてこの守備的MFには期待の新人が浮上してきたのである。(続く)

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