第1997回 オランダ、ロシアに連勝(2) レスターの快進撃を支えるエンゴロ・カンテ

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■代表入りなるかエンゴロ・カンテ

 守備的MFとして新人として注目されているのがエンゴロ・カンテである。パリ出身の24歳(ロシア戦の日に25歳の誕生日を迎える)、マリの国籍も保有するが、若年層で年齢別の代表チームから呼ばれることはなかった。2011年に当時2部のブローニュと契約したが、クラブはナショナルリーグに降格、この2012-13シーズンはほぼ全試合に出場する。この活躍が認められ、翌季は2部のカーンに移籍し、チームを2部から1部へと昇格させる原動力となった。2014-15シーズンは初の1部での経験となったが、チームの中心として活躍し、クラブも13位と1部に残留した。カンテの活躍は国内外のクラブの知るところとなり、多くのクラブから誘いがあったが、結局カンテが選んだのはイングランドのレスターであった。

■イングランドのサッカーの歴史を変える可能性のあるレスターのカンテ

 決してメジャーではなかったクラブに所属したカンテであるが、このクラブが現在どのようなポジションにあるかは世界中の人々が知っている。プレミアリーグで並み居る強豪を抑えて首位の座をキープしている。誰しもが予想していなかった快進撃を支えているのがカンテである。このプレミアリーグの歴史を変えるような存在となったカンテにようやく代表チームが声をかけることになった。もちろんカンテはマリの代表からも声がかかることは必至である。

■カリム・ベンゼマの代わりはオリビエ・ジルーが有力

 そして残るは攻撃陣である。正統派のストライカーという点ではカリム・ベンゼマが現時点でのフランスの最高の選手である。しかし負傷に加え、マチュー・バルブエナとの事件によって今回も代表入りを見送られる。CFは注目のポジションである。まずベンゼマの代役となりうるのはアーセナルのオリビエ・ジルーであろう。そしてCFだけではなく、ウイングも兼ねるという点ではメキシコのティグレスに移籍したアンドレ・ピエール・ジニャックも貴重な存在である。ジニャックは今季メキシコに移籍したが、メキシコリーグでは12試合で9得点をあげている。
 右のウイングはスペインのアトレチコ・マドリッドのアントワン・グリエズマンがレギュラーとして確定である。2年前の3月に初めて代表に招集されて以来、常に代表メンバーに入り続けてきている。

■左ウイングを争う若手のアントワン・マルティアルとキングスレー・コマン

 レギュラー争いが混沌としているのは左ウイングである。かつてはフランク・リベリーという偉大な選手がいたが、その後継者はバルブエナであった。特にディディエ・デシャン監督が就任した20112年8月から昨年10月まで41試合中40試合に出場しており、デシャン監督の秘蔵っ子ともいえる存在であった。しかし、昨秋のベンゼマとの一件でプレーできる状態にはない。バルブエナに代わるのは若い2人である。
 まずモナコからイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに移籍した20歳のアントワン・マルティアルである。マルティアルはプレミアリーグではコンスタントに出場しており、10代の選手として最高の移籍金が間違いではなかったことを証明している。もう1人の若手は19歳のキングスレー・コマンである。パリサンジェルマンのユースチームからイタリアのユベントスを経由して今季ドイツのバイエルン・ミュンヘンに移籍した。バイエルン・ミュンヘンでもポジションを確保し、昨年11月に同時多発テロの起こったスタッド・ド・フランスでのドイツ戦で代表にデビュー、さらにイングランド戦にも出場している。
 これ以外には左右をこなすことができるイングランドのウェストハムのディミトリ・ペイエ、リヨン一筋で昨季のフランスリーグ得点王となったアレクサンドル・ラカゼット、昨年11月に代表メンバーに3年ぶりに招集され、2試合に出場したハテム・ベンアルファなどが候補である。(続く)

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