第2096回 本年最後となる11月の連戦 (5) ブノワ・コスティルとアドリアン・ラビオが代表デビュー

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■1人しか交代枠を使わなかったスウェーデン戦

 舞台をランスに移してコートジボワールとの親善試合、注目は先発メンバーである。11月11日のスウェーデンとの予選でディディエ・デシャン監督は交代要員を1人しか使わなかった。これはデシャン監督になってから最小の数字であり、リズムを変えることによって逆効果となるリスクを避け、勝負に徹したことの現われといえるであろう。
 前回の本連載で負傷による離脱者が生じ、追加招集者があったことを紹介したが、追加招集者のうちパトリス・エブラ以外はレギュラー級の選手ではない。しかし、来年の予選の後半戦、さらには再来年の本大会を見据えて準レギュラークラスの層を厚くすることは不可欠である。

■スティーブ・マンダンダの直前の負傷でチャンス到来したブノワ・コスティル

 11月15日、ランスのボラール・デュレリス競技場のピッチに立った11人であるが、GKはブノワ・コスティル、DFは右からジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、アディル・ラミ、ルカ・ディーニュ、MFは低い位置にエンゴロ・カンテ、高い位置に右はポール・ポグバ、左はアドリアン・ラビオ、FWは3人で右からウスマン・ダンベレ、ケビン・ガメイロ、ディミトリ・パイエという布陣である。この中で代表デビューとなるのはGKのコスティルと守備的MFのラビオの2人となる。
 GKは本来であるならば第2GKのスティーブ・マンダンダを起用する予定であったが、マンダンダは試合前日の練習で負傷してしまい、コスティルに出場機会を譲ることになった。コスティルが初めて代表に招集されたのはちょうど2年前の2014年10月、すでに当時から第1GKウーゴ・ロリス、第2GKマンダンダという序列は決まっていたが、第3GKとして招集したステファン・ルフィエの負傷によって追加招集される。ポルトガル、アルメニアとの連戦には出場することはなかったが、その後もしばしば第3GKとして声がかかる。今夏の欧州選手権にも23人のメンバーに入ったが、試合に出場することはできなかった。すでに29才のコスティルはロリス、マンダンダと同世代である。コスティルは欧州選手権後最初の試合となる9月の連戦はロリスの負傷離脱によりメンバーに入ったものの、ロリスが復帰してきた10月以降は、第3GKの座を23歳のアルフォンス・アレオラに譲った。しかし、今回もアレオラの負傷により追加招集され、さらにマンダンダの負傷により親善試合で代表デビューを飾る幸運に恵まれたのである。もしこの試合がワールドカップ予選であったならば、デシャン監督は主将であるロリスを連続出場させたであろう。

■パリサンジェルマンの若手アドリアン・ラビオも代表デビュー

 そしてもう1人の代表デビューとなるラビオに関しては強豪のパリサンジェルマンで経験を積み、若手のMFとしてブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、エンゴロ・カンテとならぶMFの一角に入る勢いである。
 また、右ウイングのダンベレはこれが3試合目の出場となるが、初先発である。

■5年ぶり2回目の対戦となるコートジボワール

 一方のコートジボワールであるが、右サイドDFのセルジュ・オーリエ、左MFのシェイク・ドゥークレの2人がフランスのクラブに所属している選手である。  両チームは意外な感じがするが、これまでに1回しか対戦していない。2005年8月17日にモンペリエで親善試合を行い、フランスはウィリアム・ギャラス、ジネディーヌ・ジダン、ティエリー・アンリのゴールで3-0と勝利している。奇しくもこの8月17日はギャラス、アンリの27歳の誕生日であり、ジダンはその11年前のチェコ戦で代表にデビューした日であった。
 そしてデシャン監督が先発メンバーに2人の代表未出場者を並べたのは2回目である。2013年3月22日のジョージア戦以来のことである。この時に代表デビューした2人はポグバとバランである。この2人はスウェーデン戦に続いてコートジボワール戦も先発出場し、フランス代表の屋台骨というべき存在である。
 アンリがデビューしたランスの地でデビューする2人の新人の将来が楽しみである。(続く)

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