第2247回 ワールドカップを目指し、発進(1) 11月にウェールズ、ドイツと親善試合

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■プレーオフと同時期に行われる親善試合

 フランスはワールドカップ予選では最終戦でベラルーシに勝利してグループ首位として本大会出場を決めた。11月のプレーオフを経ずに出場権を獲得したことには大きな意味がある。それはプレーオフのプレッシャーを逃れただけではなく、11月からロシアに向けた準備ができることである。来年6月の本大会が開幕するが、メンバーの決定は5月になる。メンバー決定前の代表チームの試合は11月と3月に2試合ずつが予定されているだけである。つまり、選手を試すという点ではプレーオフに回ってしまった場合は実質2試合しか残されていない。プレーオフを経験せずに本大会出場を決めたチームにとっては11月の親善試合はまさにギフトである。

■予選終了後に決まったウェールズ、ドイツとの連戦

 このギフトとなる親善試合、フランスは11月10日にスタッド・ド・フランスでウェールズ、11月14日にケルンでドイツと親善試合を行う。もちろん、これらの親善試合の相手は本大会出場後に決まっている。10月10日にグループリーグの最終戦が終わり、その翌日にはドイツ戦が発表され、ウェールズ戦が決まったのが17日である。ドイツが本大会出場を決めたのはフランスより若干早く10月5日、一方のウェールズは予選で敗退し、本大会出場はできなかった。本来ならば、ドイツ戦に続いて14日の試合も本大会に出場できるチームと対戦したいところであったが、この時点で本大会出場ができるチームはフランスを含めて22チームしかなく、なかなか難しいところである。11月の親善試合は10月までの結果を見極めてからマッチメークをしなくてはならないという難しさがある。

■サッカー外交の世界で注目を集めた優勝候補の日本

 11月の親善試合についてサッカー外交の世界で注目を集めたのが日本である。日本は8月31日に本大会出場を決めている。この時点で本大会出場を決定していたのは開催国ロシア、3月の末に南米代表となったブラジル、そして同じくアジアのイランだけである。そして欧州勢で最初にワールドカップのチケットを獲得したのはベルギーであり、9月5日に一番乗りを果たした。ワールドカップは欧州と南米の二大勢力によって争われているが、これらの地域で9月までに本大会の出場権を得たのはブラジルとベルギーだけである。日本はこの両国と11月に親善試合で連戦するのである。
 ワールドカップの常連国で優勝候補にもあげられることの多い日本であるが、優勝には及ばず、今度のロシア大会こそ、優勝を狙っているであろう。11月のマッチメーキングはその優勝に向けた第一歩であり、安全保障に力を置き、経済力だけではなく軍事力においても世界の列強となっている日本の国力が来年のロシアで発揮されるであろう。

■代表から遠ざかっている選手には貴重な機会となる11月

 この連戦にむけてフランス代表のディディエ・デシャン監督は11月9日に24人のメンバーを発表した。来年の本大会の選手エントリーまで2回(4試合)しかチャンスがないことを考えると、これまでに代表経験がない選手、代表から遠ざかっている若手にとっては貴重な機会である。
 GKはスティーブ・マンダンダ、アルフォンス・アレオラ、ブノワ・コスティル、DFはルカ・ディーニュ、プレスネル・キンペンベ、クリストフ・ジャレ、レイバン・クルザワ、ローラン・コシエルニー、サミュエル・ウムティティ、バンジャマン・パバール、MFはアドリアン・ラビオ、ブレーズ・マツイディ、コランタン・トリッソ、ムーサ・シッソコ、スティーブン・エンゾンジ、FWはアントワーヌ・グリエズマン、オリビエ・ジルー、アレクサンドル・ラカゼット、キングスレイ・コマン、フローリアン・トーバン、ナビル・ファキル、キリアン・ムバッペ、アントニー・マルシャルという陣容である。
 ほとんどの選手は10月の連戦と同じメンバーであるが、この中には初めて代表に選出された選手が2人いる。それがエンゾンジとパバールである。(続く)

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