第2990回 ワールドカップ組み合わせ抽選前の親善試合(4) 好調なコートジボワールに勝利

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■来夏に自国開催するアフリカ選手権がターゲットのコートジボワール

 コートジボワール戦の前日にはワールドカップ欧州予選のプレーオフ準決勝でイタリアが北マケドニアに敗れる一方、アジアからは優勝候補のサウジアラビアと日本が出場権を得る。ワールドカップから脱落したチーム、ワールドカップに向けて準備を進めるチームと色分けされて、今回のフランス-コートジボワール戦はその対照的なチーム同士の対戦となる。昨年秋にワールドカップ予選で敗退したコートジボワールは前者である。カメルーンで行われたアフリカ選手権では決勝トーナメントに進み、準優勝したエジプトにPK戦で敗れ、手ごたえを感じたコートジボワールにとって、次の目標は来年6月に自国で開催されるアフリカ選手権である。2019年のエジプト大会以来2回目の夏の開催となる。

■4月初めに任期が切れるコートジボワールのパトリス・ボーメル監督

 コートジボワールの監督はフランス人のパトリス・ボーメルであるが、任期は今年の4月6日までである。後任の監督は未定であるが、同時に開催されるコートジボワールサッカー協会の会長選挙の結果に影響されることになる。会長選挙にはかつてのストライカーであるディディエ・ドログバが立候補している。ボーメルはフランス戦の後、29日にはウェンブリーでイングランド戦を控えており、この2試合での結果が将来につながるかもしれない。特にボーメルはマルセイユから近いアルルの出身、ベロドロームで試合をすることは夢である。

■歴代最多のティエリー・アンリにあと4点となったオリビエ・ジルー

 ベロドロームには満員札止めの6万2000人が三色旗をもって集まった。ベロドロームでフランス代表が試合をするのは2016年の欧州選手権の準決勝のドイツ戦以来、実に6年ぶりのことである。フランスは上から下まで青いユニフォーム、コートジボワールは黒と白の縦縞のユニフォームである。オランダのアヤックス・アムステルダムで活躍するセバスチャン・アレのキックオフで試合が始まった。
 フランスは立ち上がりから積極的に攻める。フランスはペナルティエリア内からの得点が多く、そのためにはボールと陣地を支配することが勝利につながる。フランスは試合が始まって15分間攻め続けたが、小休止したところ、コートジボワールが攻撃に転じる。コートジボワールは18分にはコートジボワールのウィルフリード・ザハがきわどいシュートを放ち、19分にはニコラ・ペペが角度のないところからシュートでサイドネットを揺らし、先制に成功した。
 これに対してフランスもすぐに同点に追いつく。テオ・エルナンデスのシュートをコートジボワールのGKのバドラ・アリ・サンガレが弾いたところをポール・ポグバがボールを拾う。ポグバがサイドのテオ・エルナンデスにつなぎ、テオ・エルナンデスのクロスにオリビエ・ジルーがヘディングでシュート、これがゴールに入る。ジルーはこれが代表で通算47ゴール目となる。歴代最多のティエリー・アンリの記録にあと4点となった。また、フランスはこのジルーの得点で19試合連続得点となり、記録を更新した。

■後半アディショナルタイムにオーレリアン・チュアメニがヘディングで決勝点

 一気に逆転につなげたいフランスであったが、コートジボワールも盛り返す。次第に試合は互角の展開となる。コートジボワールは過去1年半で敗れたのはワールドカップ2次予選のアウエーのカメルーン戦のみである。前半はスコアも内容も互角のままで試合は後半に入る。
 59分には試合中に負傷したラファエル・バランに代わってウィリアン・サリバが出場、地元マルセイユで代表にデビューした。後半に入ってから両チームともシュートの精度が上がり、枠内のシュートが多くなる。特に70分過ぎからは両チームとも精度の高いシュートを積極的に放つ。しかし、両チームのGKの活躍もあり、スコアは1-1のまま。
 88分には3人目の新人、ジョナタン・クロースがピッチに入り、このままドローかと思われたが、93分にフランスは右CKのチャンスを得る。マルセイユに所属するマテオ・ゲンドウジの蹴ったボールをオーレリアン・チュアメニがヘディングで決める。フランスはコートジボワールを2-1で下し、地元選手が活躍したマルセイユのファンは6年ぶりの代表戦に満足したのである。(続く)

このページのTOPへ