第3231回 第2戦でブラジルに勝利

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■女子も全大会に出場している王国ブラジル

 期待を集めて始まった女子ワールドカップであるが、フランスは初戦でジャマイカとスコアレスドローに終わった。開幕前から、ベテラン選手や得点力のある選手の不在や負傷による離脱が心配されていたが、その通りとなった。 フランスの所属するグループFのもう1試合はフランス-ジャマイカ戦の翌日に行われ、第2シードのブラジルが大陸間プレーオフを勝ち向いた第4シードのパナマを4-0と下した。 フランスの第2戦の相手はそのブラジルである。サッカー王国ブラジルは女子も強豪である。ただ、男子と異なり、南米では強豪国が少ないことから、予選段階でもまれていない。今大会の予選を兼ねた2022年の南米選手権もグループリーグ、決勝トーナメントを通じて6戦全勝で無失点で優勝を決めている。本大会も9回すべて出場している。

■初戦を勝利したブラジル、引き分けたフランス

 ブラジルにとってもグループFの最大のライバルはフランスであったが、そのフランスが初戦で勝ち点1、フランス戦に勝利して決勝トーナメント進出を早く決めてしまいたいところである。
 そしてフランスは初戦で勝ち点3を獲得できなかったことから、このブラジル戦は勝ち点3が欲しい。両チームは前回大会も決勝トーナメント1回戦で対戦しており、本連載第2518回で紹介した通り、延長後半にアマンディーヌ・アンリが決勝点を決めて、フランスが2-1と勝利している。そのアンリをエルベ・ルナール新監督は呼び戻したが、負傷で戦列離脱、チームの精神的支柱を失った結果がジャマイカ戦の引き分けである。

■選手を入れ替えて第2戦に臨むフランス

 ルナール監督はジャマイカ戦とは選手を入れ替え、GKはポーリーヌ・ペイロー・マニャン、DFは4人で右からエブ・ペリッセ、マエル・ラクラ、ウェンディ・ルナール、サキナ・カルシャウイ、MFも4人で右からケンザ・ダリ、グラス・ゲヨロ、サンディ・トレッティ、セルマ・バシャ、FWは2トップで右にウジェニー・ルソメ、左にカディディアトゥ・ディアニという布陣である。攻撃面でも高さが武器になっているラクラを中央に配し、ルナールとコンビを組む。また、右サイドは選手を入れ替え、経験のあるダリを起用した。
 ブリスベーンのラングパーク競技場で、フランスのキックオフで始まった試合、フランスは積極的に攻めあがる。6分にはペナルティエリア内に入ったカルシャウイがブラジルのアントニアに倒されるが、主審はファウルを取らない。
 これを除いて最初に得点のチャンスが訪れたのは13分のフランス、ダリからのクロスをルソメがヘディングで合わせるが得点にはならず。これで目が覚めたのか、その直後に黄色いユニフォームのブラジルもシュートを放つ。

■ウジェニー・ルソメが先制点、ウェンディ・ルナールが勝ち越し点

 17分にはカルシャウイのクロスをダリがペナルティエリア内でつないで、ルソメがシュートを決める。ルソメは代表90得点目となり、そのうち6点がワールドカップ本大会、最年長のゴールスコアラーとなった。
 フランスが優勢に進めているがブラジルの2トップ、デビーニャとゲイスがしばしばゴールを狙うが、フランスのGKペイロー・マニャンがストップする。
 前半は1-0でフランスがリードして折り返したが、ブラジルは後半に入ってボール支配率を高め、58分にデビーニャが左サイドからのクロスをオフサイドぎりぎりのところからシュート、これが同点ゴールとなる。
 65分にはルソメはベンチに退き、19歳のビッキー・べショーが入ってくる。べショーは交代直後からよい動きを見せるがブラジルのGKレティシア・イシドロにふさがれる。 決勝点を決めたのはフランスのベテラン主将であった。83分に右CKのチャンスをつかんだフランスは、バシャがファーサイドに蹴りこむ。これをルナールがブラジルの守備陣をうまくかわしてヘディングで決める。代表通算35ゴール、前回のワールドカップでは4点を決め、ワールドカップでは強いところを見せた。
 フランスはこのまま2-1でブラジルを下し、待望の勝ち点3を獲得したのである。(この項、終わり)

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