第3241回 モロッコに快勝、準々決勝へ(2) 立ち上がりから圧倒し、大勝する

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■モロッコの男子代表の監督経験のあるエルベ・ルナール

 レイナル・ペドロス監督が率い、昨年のアフリカ女子選手権で準優勝してワールドカップに初出場となったモロッコがフランスの決勝トーナメント1回戦の相手である。女子サッカーだけではなく女性の地位向上のために強化に乗り出し、その成果が早速現れて、ワールドカップ初出場で決勝トーナメント進出となった。
 フランスのエルベ・ルナール監督はモロッコのペドロス監督よりも3歳年上であるが、選手としてのキャリアはカンヌで活躍したくらいで代表にも入ったペドロス監督に軍配が上がる。しかし、指導者としては、ルナール監督は国内外のクラブチームの監督をはじめ、経験豊富である。なかでも2017年から2019年まではモロッコの代表チームの監督を務め、ワールドカップにも出場している。

■新たな歴史を作ったモロッコ女子代表

 モロッコの男子チームは昨年のワールドカップではアフリカ勢として史上最高の4位になっており、女子も同様にアフリカサッカーの歴史を変えたい。ルナール監督率いるモロッコ代表はグループリーグ最終戦のコロンビア戦(1-0で勝利)と同じ先発メンバーでフランス戦に臨む。その中には背番号3のヌハイラ・ベンジナもいる。ベンジナはビシャブを着用して出場する。かつては宗教上の理由でビシャブを着用して試合をすることは禁止されていたが、2014年にFIFAが着用を認め、ベンジナはワールドカップやオリンピックなどの主要大会で初めてビシャブを着用して出場した選手となり、新たな歴史を作った。

■主力メンバーがそろったフランス

 フランスの先発メンバーはGKはポーリーヌ・ペイロー・マニャン、DFは4人で右からエブ・ペリッセ、ウェンディ・ルナール、エリザ・ドアルメイダ、サキナ・カルシャウイ、MFも4人で右からケンザ・ダリ、グラス・ゲヨロ、サンディ・トレッティ、セルマ・バシャ、FWは2トップで右にウジェニー・ルソメ、左にカディディアトゥ・ディアニという布陣である。ドアルメイダが負傷のマエル・ラクラに代わって出場する以外はグループリーグ第2戦のブラジル戦と同じメンバーであり、グループリーグ最終戦で休養を取ったベテラン選手も先発する。

■立ち上がりから積極的に攻めて得点を重ねたフランス

 試合は立ち上がりからフランスがパスをつないで優位に試合を進めた。昨年の男子のワールドカップ準決勝では準々決勝までは序盤から攻め続けたモロッコを封じるべく、フランスは試合開始直後から積極的に攻め、成功したが、今回の女子の戦いも同様にフランスはキックオフから攻め続ける。そして男子の準決勝同様、フランスが先制点を奪った。15分にカルシャウイのクロスをディアニがヘディングで決める。ワールドカップに入ってから4得点目となった。
 先制点を奪って勢いに乗るフランスはモロッコを攻め続け、20分には今度はディアニがラストパスを出し、ダリが追加点を決める。そしてフランスの勢いは止まらない。23分にはルソメが3点目を決めて試合を決めた。ワールドカップの決勝トーナメントで開始25分以内で3点を奪ったのは2015年の米国に続き、史上2度目のことである。フランスは圧倒的にボールを支配し、モロッコに攻撃のチャンスを与えない。モロッコはようやく40分を過ぎでフランスのゴール前に迫るが、シュートにはつながらず、結局、前半はフランスが3-0とリードして折り返し、モロッコは1本もシュートを記録することができなかった。また、フランスは枠内シュートは3本、これらのすべてが得点となり、攻撃の精度が際立った。
 後半に入って47分にモロッコがこの試合初めてのシュートを放つが、これはオフサイドとなる。モロッコは49分にもシュートを放つがフランスのGKペイロー・マニャンがセーブする。しかしながら、これがモロッコのこの試合唯一の得点チャンスとなった。
 フランスはエースのルソメが70分にも追加点をあげる。ルソメは代表182試合出場で92点目となり、ワールドカップでは通算8得点目となった。
 フランスは4-0と勝利、準々決勝に進出したのである。(この項、終わり)

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