第3242回 豪州にPK負け、準々決勝の壁(1) 準々決勝で開催国豪州と対戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■準々決勝の常連となったフランスと豪州

 フランスは、今大会の台風の目と言ってもよいモロッコと決勝トーナメント1回戦で対戦し、4得点をあげ、モロッコにほとんど攻撃させることなく、4-0と勝利した。2011年大会以来、4大会連続で準々決勝に進出した。最初に準々決勝に進出した2011年大会はイングランドにPK戦で勝利したが、2015年大会はドイツにPK負け、2019年大会は米国に1-2と連続して敗れており、今回は準々決勝の壁を破りたい。
 今回の準々決勝の相手は開催国の豪州である。豪州はワールドカップには第2回大会となる1995年大会から連続出場している。当初はグループリーグ敗退が続いたが、フランスより一足早く2007年大会から決勝トーナメントに進出している。ただし、豪州も準々決勝の壁を破ることができず、2007年大会から2015年大会まで準々決勝敗退、前回大会は1回戦敗退である。地元開催である今回はその壁を破りたいところである。ファンの期待に応えて、豪州はグループリーグは2勝1敗で首位で突破する。特に決勝トーナメント進出をかけたグループリーグの最終戦は2年前の東京オリンピック優勝チームのカナダを破っている。決勝トーナメント1回戦ではデンマークに2-0と勝利し、準々決勝に駒を進めた。

■7月10日のメルボルンの戦いは豪州が勝利

 本連載第3230回で紹介した通り、フランスは豪州と7月10日に対戦している。ワールドカップ前最後のスパーリングマッチということでシドニーで戦ったが、この時は豪州が1-0と勝利している。それから1月経たない8月8日に準々決勝で対戦することになったが、フランスのエルベ・ルナール監督は大会前の親善試合のマッチメイクは自分が監督に就任する前に決まっていたものであり、自らは関与していなかったと語っている。
 豪州の監督はスウェーデン人のトニー・グスタフソン、2020年からこのチームの指揮を執る。2021年の東京オリンピックではベスト4に入る。豪州のサッカーの歴史にとって初めてのオリンピックでの準決勝進出である。グスタフソン監督はグループリーグ最終戦のカナダ戦から3試合連続して同じ先発メンバーを起用する。

■マエル・ラクラが復帰したフランス

 一方のフランスのメンバーには負傷のためモロッコ戦には出場しなかったストッパーのマエル・ラクラが戻ってきた。GKはポーリーヌ・ペイロー・マニャン、DFは4人で右からエリザ・ドアルメイダ、ラクラ、ウェンディ・ルナール、サキナ・カルシャウイ、MFも4人で右からケンザ・ダリ、グラス・ゲヨロ、サンディ・トレッティ、セルマ・バシャ、FWは2トップで右にウジェニー・ルソメ、左にカディディアトゥ・ディアニとなる。モロッコとの1回戦とは1人だけ先発メンバーを入れ替えている。ラクラを欠いたモロッコ戦ではエリザ・ドアルメイダを起用したが、ルナール監督はドアルメイダを右サイドに起用、エブ・ペリッセが先発から離れることになった。

■マチルダズというニックネームの豪州女子代表

 フランスはモロッコ戦に続き、昨年の男子のワールドカップで対戦した国と女子も戦うことになった。男子はグループリーグの初戦で対戦、フランスは先制され、テオ・エルナンデスが負傷するというアクシデントがあったが、逆転し、終わって見れば4-1というスコアで勝利し、ファイナリストへの旅が始まった。男子の豪州代表はサッカールーズというニックネームがついているが、女子の豪州代表はマチルダズというニックネームである。これは豪州の国民的愛唱歌であるワルチング・マチルダに由来しているものであるが、マチルダというのはフランスでもよくある女性の名前ではなく、寝袋という意味であり、寝袋を担いで豪州国内を放浪する様子を歌にしたものである。
 これまでのフランスと豪州の対戦成績は9戦してフランスの3勝2分4敗である。ワールドカップ、オリンピックという主要大会での対戦はなく、キプロスカップで対戦した以外は親善試合である。フランスの最後の勝利は2018年10月にサンテエチエンヌで行われた試合であり、ルナール、ディアニ、ルソメが出場している。ルソメの2得点でフランスが2-0と勝利している。2回目の準決勝進出にこの試合にもベテランに期待がかかるのである。(続く)

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