第3600回 パリサンジェルマン、UEFAスーパーカップを制す(1) 2度目の出場となるパリサンジェルマン

 第3600回の連載を迎えることになりました。連載開始以来24年で3600回もの連載を続けることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■戦後80年の節目の年に訪日したスタッド・ド・ランス

 5月に終わったシーズンも、代表チームのUEFAネーションズリーグ、パリサンジェルマンの出場したクラブワールドカップがあったが、8月中旬にシーズン再開を迎える。かつては7月に開幕を迎えていたフランスリーグであるが、現在は他の欧州の主要国(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア)と同じ時期に開幕するようになった。シーズン開幕を前にプレシーズンマッチを行い、スタッド・ド・ランスが訪日している。前回の本連載で紹介したとおり、スタッド・ド・ランスはフランスの戦後サッカーの申し子ともいうべき存在、そのようなクラブが戦後80年という節目の年に第二次世界大戦で最後まで戦闘が行われ、唯一の被爆国となった日本を訪問したことは世界の各地で戦火が巻き起こる中で非常に意義深いことであると言えよう。

■シーズン開幕前に行われるUEFAスーパーカップ

 そしてシーズン開幕前には前年度のリーグ優勝チームとカップ戦の優勝チームが争うチャンピオンズトロフィーが行われていたが2022年を最後に別の時期に開催されているので、それについては開催された際にお伝えしよう。一方、UEFAが主催するチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの勝者で争われるUEFAスーパーカップは今年もシーズン開幕前に開催され、チャンピオンズリーグを制したパリサンジェルマンが出場した。

■前回の出場時はユベントスに大敗したパリサンジェルマン

 この大会は正式には1973年に始まり、当初はチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)の勝者とカップウィナーズカップの勝者で争われており、フランス勢は1996年にカップウィナーズカップを制覇したパリサンジェルマンが出場したことがあるだけである。1993年にチャンピオンズリーグで優勝したマルセイユは八百長事件のため、優勝チームに与えられる権利をすべて剥奪され、準優勝のACミラン(イタリア)が出場している。
 したがって50年を超える歴史の中でフランス勢が出場したのはようやく2回目、そして出場経験があるのはパリサンジェルマンだけであり、29年ぶりの出場となった。
 1997年大会まではホームアンドアウエー方式で行われており、2試合の日程を確保するために翌年のウインターブレイクなどに開催することもあった。1996年にパリサンジェルマンがチャンピオンズリーグ優勝のユベントス(イタリア)と対戦した際は第1戦は1997年1月15日にパルク・デ・プランスで行われ、第2戦は2月5日にパレルモで行われている。ちなみにパリサンジェルマンはホームの第1戦で1-6、アウエーの第2戦で1-3と連敗し、通算スコア2-9と大敗している。2試合で7点差の敗戦は、現在に至るまで最多得点差の敗戦という不名誉な記録となっている。

■1回戦制になり、15年間開催したモナコ

 スーパーカップに出場するチームは翌シーズンもチャンピオンズリーグに出場するため、シーズン中の日程確保は難しく、プレシーズンも日程的に厳しいことから1998年からは1回戦制となり、8月末にモナコのルイ二世競技場で行われることになった。このモナコでの開催は2012年まで15年間続く。欧州チャンピオンと南米チャンピオンの間で争われたインターコンチネンタルカップが東京で1980年から22年間続いたことには及ばないが、避暑シーズンの最後を彩るスポーツイベントとなり、コンスタントに1万数千人の観衆を集めた。
 そして2013年からは夏の1回戦制は変わらないが、サッカーの強豪国ではない国を中心に行われるようになった。2013年はチェコのプラハ、2014年はウェールズのカーディフ、2015年はジョージアのトビリシという具合である。昨年はポーランドのワルシャワで行われ、チャンピオンズリーグ優勝のレアル・マドリッド(スペイン)とヨーロッパリーグ優勝のアタランタ(イタリア)の試合には1回戦制となってから最多の56,042人の観衆が集まったのである。(続く)

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