第88回 ブルー、ついに日本上陸(2) 男子バレーボールチーム、ワールドリーグで訪日

■栄光と無縁だったフランス・バレーボール

 前回は親善試合のために来日した男子ハンドボールについて紹介したが、今回は男子バレーボールについて紹介しよう。サッカー、バスケットボール、ラグビー、ハンドボールという他のフランス男子の団体球技が過去10年間で世界選手権やオリンピックなどの世界大会で優勝あるいは準優勝しているが、バレーボールだけは栄光とは無縁であった。1998年に日本で行われた世界選手権には欧州予選で敗退したため、出場できなかった。2000年のシドニーオリンピックにも出場していない。

■2001年のワールドリーグで躍進

 しかし、昨年のワールドリーグでは躍進を遂げた。インターコンチネンタルラウンドではイタリア、スペイン、アルゼンチンと同じプールAに入る。強豪イタリアとはホーム、アウエーとも1勝1敗という成績を残し、通算成績8勝4敗という成績で、9勝3敗のイタリアに次いでプールA で2位に入り、ファイナルラウンドに進出する。ポーランドで行われたファイナルラウンドには8チームが進出し、まず4チームずつ2つのグループに分けてリーグ戦が行われた。ユーゴスラビア、ポーランド、ブラジルと同じグループに入ったフランスは初戦のユーゴスラビアにはフルセットの末競り勝ったが、地元ポーランドに2-3、ブラジルに1-3と連敗し、グループ3位にとどまり、決勝リーグ進出は果たせなかったが、世界で5位という成績を残したのである。

■インターコンチネンタルラウンドで日本と対戦

 そして、9月から10月にかけてアルゼンチンで開催される世界選手権を控え、世界の列強にとって今年のワールドリーグは重要な国際大会である。前年同様16チームが参加するワールドリーグはまず4チームずつ4つのグループでインターコンチネンタルラウンドが行われる。フランスは日本、ユーゴスラビア、ギリシャとともにプールDになる。インターコンチネンタルラウンドは6月末から8月初めにかけてホームアンドアウエーで行われ、それぞれ2試合を行い、各チームは12試合を戦う。各プールの上位2チームが8月中旬にブラジルで開催される決勝ラウンドに進出する。

■世界王者ユーゴスラビアにホームで連勝

 フランスの初戦はホームのユーゴスラビア戦である。昨年もこのワールドリーグで勝利をおさめているとは言え、ユーゴスラビアは2000年のシドニーオリンピックの優勝チームであり、昨年9月にチェコで開催された欧州選手権でも優勝を飾っている。
 欧州選手権ではフランスは優勝したユーゴスラビアと一次リーグの初戦で対戦し、フルセットの末敗れ、7位に終わっている。現在二冠の強豪をディジョンに迎え撃つことになった。第1戦は6月28日、本来ならば国民がワールドカップの決勝戦を楽しみにしているはずの週末、パリのクーベルタン体育館にはラ・マルセイエーズが響いた。
 かつて神永昭夫がアントン・ヘーシンクに屈したこの体育館で地元パリの選手が活躍する。パリバレーは今季のリーグ戦を制しただけではなく、昨年は欧州チャンピオンズリーグで優勝し、欧州の頂点にも立っている。フィリップ・ブレイン率いる18人のメンバーのうちパリバレーからの選手は3人に過ぎないが、先発メンバーのうちステファン・アンティガ、オリビエ・キーフェーの2人が地元パリの選手である。約2400人の観衆の声援に押され、ユーゴスラビアを25-21、25-22、25-18と一蹴する。
 翌日はブルゴーニュ地方の食の都、マスタードで有名なディジョンに移動して第2戦が行われる。フランス、ユーゴスラビアとも先発メンバーは前日と同じである。初戦でつまずいたユーゴスラビアは世界王者の誇りが目を覚まさせたのか、第1セットを25-19と先取する。フランスは第2セットに入り選手を入れ替え、25-20と第2セットをとり、続く第3セット、第4セットも25-15、25-15と連取し、見事な逆転勝ちをおさめ、プールDでギリシャと並びトップに立つ。フランスはこの大会ではユーゴスラビアに3連勝、強豪国に勝ったことは大きな自信となり、7月6日、7日に東京で行われる日本戦に乗り込むのである。(この項、終わり)

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