第208回 NBAファイナル (1) 史上初のフランス人ファイナリスト

■フランスのスポーツファンを睡眠不足にするNBA

 日本ではサッカーや野球のトッププレーヤーが欧州や米国で活躍しているため、深夜に彼らの姿をテレビで見るようになり、睡眠不足が生産性の低下をもたらし、日本経済の低迷に拍車をかけているという。フランスの場合も多くのサッカー選手が外国のチームに所属しているが、それは時差のない欧州の中での話であり、フランスのサッカーファンが睡眠不足になることは今までなかった。
 しかし、今年の春はフランスのスポーツファンを睡眠不足が襲ってきた。フランス人選手が史上初めてNBAファイナルに出場することになったのである。NBAについては米国と同盟関係のある日本の読者の皆様にはあらためて説明する必要のないと思うが、男子バスケットにおいて世界の頂点に立つ存在であるといえよう。米国だけではなく、世界中からトップレベルの選手が集まる。今年のドラフトには過去最多の31人の外国人選手が指名されている。東西のカンファレンスに分かれ、それぞれ上位8チームがベストオブセブン方式(4戦先手方式)によりノックアウト方式で1回戦、準決勝、決勝とプレーオフを戦い、東西それぞれのチャンピオンを決定する。その東西のチャンピオンが雌雄を決するのがこのNBAファイナルである。

■NBAで活躍するフランス人選手

 フランスの男子バスケットボールの活躍については本連載第156回と第157回で代表チームの欧州選手権予選の突破、第195回でフランスのクラブが欧州の頂点に立った1993年のリモージュの欧州クラブ選手権制覇について紹介したが、個人レベルでも傑出した選手がおり、世界の頂点であるNBAで活躍している。トニー・パーカー(サンアントニオ・スパーズ)、タリク・アブドル・ワハッド(ダラス・マーベリックス)、アントワン・リゴードー(ダラス・マーベリックス)、ジェローム・モイゾ(ニューオーリンズ・ホーネッツ)の4人がNBAで活躍している。パーカーの所属するスパーズとアブドル・ワハッドとリゴードーの所属するダラス・マーベリックスはウエスタンカンファレンス、モイゾのホーネッツはイースタンカンファレンスのプレーオフに進出した。

■サンアントニオ・スパーズ、カンファレンスファイナルに

 ホーネッツはプレーオフの1回戦でフィラデルフィア・シクサーズに2勝4敗で敗れる。一方、ウエスタンカンファレンスではフランス人選手の所属する2チームが順当に勝ち進む。レギュラーシーズン1位のスパーズは1回戦でレギュラーシーズン8位のフェニックス・サンズを4勝2敗と下し、レギュラーシーズン3位のマーベリックスはレギュラーシーズン6位のポートランド・ブレイザーズを4勝3敗と振り切る。
 セミファイナルでスパーズは昨年まで3連覇を果たしている王者ロサンジェルス・レイカーズと対戦する。この王者に対し大活躍したのが弱冠20歳のパーカーである。スパーズ3勝2敗とリードし、舞台はレイカーズの本拠地ロサンジェルスのステイプルズセンター。このロサンジェルスのファンを沈黙させたのが27得点をあげたパーカーである。パーカーの活躍によりスパーズはカンファレンスファイナルに進出したのである。

■カンファレンスファイナルはテキサスダービー

 そしてもう一つのセミファイナルでマーベリックスはサクラメント・キングスと対戦する。相手のキングスは1回戦を4勝1敗で切り抜け、マーベリックスの体力消耗が懸念された。そしてこの準決勝はもつれこむ。第5戦を終了した時点でマーベリックスが3勝2敗とリード。ところが第6戦ではキングスが息を吹き返し、3勝3敗のタイに持ち込む。最終戦はレギュラーシーズンでも3勝1敗と勝ち越しているキングス有利という声と、地元ダラスで試合を行うマーベリックス有利という声にわかれたが、最終戦はマーベリックスが112-99と勝ち、最終戦までもつれこむ接戦のセミファイナルを制し、カンファレンスファイナルに進出する。
 5月19日から始まるカンファレンスファイナルはテキサスダービーとなる。フランス人選手を抱えるチーム同士の戦いになり、史上初のフランス人ファイナリストが誕生することになったのである。(続く)

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